雪国ルッカ
「この雪の中を進むのだー!うおおおおぉ!ていっ!ピーちゃんボールそれいけ!」
『きゃ!?』
『ねぇね。メルも』
「う〜ん?しょうがないなぁ〜メルちゃんシュート!」
『祈…少しは警戒してください一応魔物出るんですからね?』
『僕も投げてくれる!?』
「キミは私より大きいから無理だ!諦めなさい!」
『そんなぁ…』
あれから少し歩いていくと雪が深く積もっている所まできた。この先にルッカの街があるみたい。そして私は採取できる場所があまり発見出来なくて持て余してたところ、この深さの雪なら投げても痛くないだろうしピーちゃんとメルちゃんをスライムソファーと同じように投げて遊んでいる。2人も大喜びだ。…寒くないの?
「凪、まだつかないの?採取ポイントもあんま見つかんないしホントにルッカって所が素材収集に向いてるの?」
『素材が取れるとは言われてますが私は生産職じゃないので詳しくないんです…』
「あっ、ごめんね…ギルドハウスに行って裁縫職人って職業の人達に聞いてみたいね」
『すみません…それがいいと思いますよ。素直にルッカに入れたらですが』
「あ〜…そうだよねぇ。聖クリスティ教会の連中が…それっ!なにか仕掛けてくるかもしれないもんねぇ」
『その…お仲間さんを投げながら会話するのはいかがなものかと…』
「え?いやだって可愛くない?犬みたいで!もっかい投げて!遊んで!みたいな感じで何度も来るし、しっぽと耳が見えるみたいだよ?」
この2人のかわゆさが分からないだと!?お嬢様の目は節穴でございますかぁ!?
「およ?新しい採取ポイントはっけーん!」
『ボクも投げて欲しかった…』
【氷板】:氷の板。すぐに溶けてしまうので扱いに注意
ただの薄い板状の氷だったぜ…でも素材らしいし取れるものは取っていこう!
____ルッカの街____
「さてさて皆様準備はいいですかな?ギルドハウスまで一直線で行きますよ?マップ準備おーけ!凪!先導しくよろ!」
『はい。こちらのギルドハウスも中央にありますので交戦は避けられないかと。ギルドハウスまで最短距離で行きましょう。この際教会は無視です』
『ん。来たら殺す』
『お任せ下さいっ!』
『邪魔者は排除だぁ〜!』
『それでは行きますよ!』
「ごーごーごー!!」
うわっ!?こっちでも教会の連中が来るね!?やはり私はどの町でもお尋ね者なのだろうか!?
『こちらを右です!』
『邪魔』
『ホーリーバインド!』
『ボクはまだ出番が無さそうだね〜?』
「殺意が高すぎる」
メルちゃんが視界に入った途端教会騎士や神官をキルしていくのでこちらは走ってるだけとなっている。しかしこの街相当入り組んでますね!?迷路みたいだ!
『次はこちらを左に!』
「おっけーー!」
この迷路みたいな雪国ルッカという所は何故か少しだけ寂しい感じがする。閑静な住宅街と言えば聞こえはいいけどそれ以前に住民をあまり見かけてないのよね…住民NPCは声を上げて通報はするけどこっちを見るとあからさまに動揺してるんだよね…なんでだろう?そんなに邪神教徒が嫌か?あーちゃんとクリスマッマは最高なんだぞ!?全てを語り尽くすには何年もかかりそうなのでいまは泣く泣く省くけど!
『なんかこの街おかしい…?ボクだけかな?』
「いや、私も少し気になってた。プレイヤーは少ないし、ここの住民も覇気がないと言うか…」
『においがする』
『邪悪な気配がしますね…』
なんだと…?メルちゃんは恐らくなぞのレーダーだろう。しかもピーちゃんも感じるほどの何かがいるのか。実質、コライユでプレイヤーなのは私だけしかいなかったけどこの街の大きさにしてはプレイヤーが少ない気がするんだね…エルメスしか行ったことないからわかんないけどね?
だって素材回収に向いてるって言われてるのにすれ違ったのはこの街の入口付近にいた2人だけなんだよねぇ…
『噴水が見えました!あそこの右にギルドハウスがあります!』
「いぇーい!ウイニングランだ!」
ごーる!私たちはセーフティエリアに入れて勝ったのだ!ふははは!教会の犬どもご苦労だったな!私たちはこのルッカの地に降り立ったぞ!!
『ギルドポータルの転移先に雪国ルッカが追加されました!!!』
キターーー!!これであのギガンテスとかいう割とあっさりやっつけてしまったけどあれが出る道とおサラバできる!結構長かったなぁ!2時間ぐらい?
『ビックリした〜』
「あ、可愛い」
私は理性を失った。ギルドロビーにハレンチな服に身を包んだ黒髪のロリっ子がいたからだ!
「うおおおおぉ!!結婚してくれ!今から結婚しようぜ!お前オレの嫁な!」
『は?』
『祈』
「あ、すみません。少しハレンチなロリっ子がいたので少し興奮してしまいました…凪沙さんその真顔怖いからやめてね?」
『ほんとですか?私以外にもうやりませんか?』
「はいっ!凪以外にはやりませんっ!恐らく…」
『…まぁ、よろしいでしょう。』
『えっと…ナギっちこれは?』
『えぇ、すみません。おきなさん。あたらしくサブマスになったイノリとそのパーティーメンバーです』
【おきな】と言われたハレンチな格好をした子は凪の知り合いみたいだね。凪がサブマスだからかな?しかしこの子…黒色の猫耳フードつきのクロップドシャツでへそをだし、当然のように黒い下着のようなものがあらわになっているし、何より下半身のショートパンツの前のボタンが外れていてピンクのパンツ紐が見えてるよ!綺麗な骨盤に引っかかってるよ!いい!素敵!
「ハレンチなロリっ子よ…祈と申します。結婚を前提におつk『祈?』あ!痛い!痛い!やめて!耳引っ張らないで!ごめん嘘だから!ほんとに!」
うぅ…酷い目にあったよ…凪のいけずぅ…
『面白いねッ!キミっ!【おきな】だよヨロシク?』
「よろしくお願いします!ハレンチな子!」
ふっ…きみの前では全てが霞んで見えてしまうのさ…いけないよそんな格好は…
『アタシ【おきな】と言うんだ〜よろしくね♡』
うおおおおぉ!!かわいいぞおきなちゃん!これはあれか!?語尾に♡をつけるとアレに見えてしまう人なのでは!?八重歯も最高!!
『言っとくけどアタシ高2だかんね?』
「なんっ…だと!?」
『祈っちホントに顔に出やすいねー!!』
祈っちだと…!?その呼び方可愛い!え?リアモジュ!?歳上なのに!?
「リアモジュ同士なかよくやろう!是非!」
『うんうん。よろしく〜♡』
『祈、この方は裁縫職人で私たちのギルドの中でとても腕のいい方なんですよ』
『おっ、そう思ってくれてるとは〜この子たちは…NPC?』
「そ。この子がメルちゃん。私の妹ね?そしてそこの天使がピーちゃんね私の妹。そしてそこのボクっ娘がユーちゃん。私の…私の何?」
『えっ!?イノリ嘘だよね!?ボクだけ何も無いの!?』
「えっと…うーん…友達だ!」
『なるほどぉ〜?みんなもよろしくねっ♡』
『ん』
『よろしくお願いしますっ!』
『友達のユーラです…ぐすん』
ごめんねユーちゃん…キミは私より背が高いから妹3号には適してないんだ!ごめんね!キミはともだちだ!イッツフレンド!
『で、ここになんの用なの?』
「えっと、じつらここら辺でいい素材が手に入るって…あ、あと私錬金術士だよ。あとギルマスのおねぇの妹でもあったりなかったり?」
『へぇ〜…あの人の妹がコレねぇ〜祈っちほんとに姉妹なの?』
うん。私もそう思うけどね!?この感じ毎回言われるな!これ!?
「あとはね、装備が欲しくてお願いしに来たんだ」
『ふ〜ん?見たところ初期装備ね?なにか材料になるの持ってきたの?』
「ふっふ〜ん!これを見よ!メタルインゴットだ!」
『わぁお♡これって鍛冶師共が独占してたやつじゃなぁ〜い!試したかったのよね〜!!』
「あれ?そうなんです?半分は返してくれましたよ?」
『それは〜ホラ、あれじゃない?……何かあったのよ』
この子さてはバカだな?でも珍しいって言ってたし…戦闘職の人は鎧装備が欲しくて鍛冶師の人たちにメタルなスライムのドロップ品を渡すのかな?
「なんか熱に弱いらしくてですね…しかし防御力と魔力防御力が高いみたいなんですよねこれ」
『見せて?…ふんふん。なるほどねっ!火に弱いんでしょ?これは鍛冶師共じゃなくてアタシたちの領分じゃないの!アイツらこれで鎧でも作るつもり!?バッカじゃないの!?』
おっと…お口が悪うごさんすよおきなちゃん…でも鉱石をインゴットに加工できるのは鍛冶師で?裁縫職人はインゴットからしか金糸を紡げないから…下手に出るしかないのか…社会の縮図だぁ!世知辛い!!
「これ提供したら何か作ってくれる?余分な分はおきなちゃんにあげるけど…」
『そうね…正直アタシも使ったことないから分からないわ。祈っちには何回か失敗することを前提に考えて欲しいわね』
「私も錬金術を嗜むモノとして…ね?」
『祈っちてば〜ハナシわっかるぅ〜!』
その肘で横腹をつつくのはやめてもらってもよろしいでしょうか?凪がものすごく怖い顔をしているんですよ。ええ。姉に似てきてません?あの子…
『そうね…あとはこれに合う素材があるかなんだよねぇ〜』
「やっぱり素材が光ったりするの?」
『いんや、アタシ達は眼でみるのよ』
ほう?生産職とも言えど細かな違いまであるとは…恐れ入ったぜアークスオンライン!
「あ、そうだ。このギガンテスの素材って使えそう?」
『えっ?さっきのログはアンタたちだったわけ?』
『えぇ。そうなりますね…いきなり現れたのですが倒せました』
『ふぅ〜ん?NPCが強いのかしら?…まぁそんなことはいいわ。この布は使えそうね』
「ならそれも預ける!おきなちゃんに託した!メルちゃんが暇そうにしてるから話切り上げないとまずい!」
おーよしよし…ほっちっちしてごめんねー?メルちゃんも気になってそうなこの街のことでも聞いてみよう!
「ねね、おきなちゃん。この街ってなんかおかしくない?プレイヤーも少ないし、メルちゃん達が言うには何かがいるみたいなんだけど…」
『あぁ〜…祈っち達は知らないできたの?ナギっちもいるのに?』
「凪?」
『えっ!?すみません!私は知らないです…あとその目は…』
これは凪知らなかったパターンだね。この子は私が問い詰めると嘘は言わない…多分。何故か顔が赤くなるので何かの病気なのかもしれない。いい所のお嬢さんだし…何かあったら困るから今度、凪のお父さんとお母さんに病気かもしれないって言っとこうかな?
『なんかこの街の教会が悪魔?を召喚したとかなんとかでぇー北にある神殿が潰されてそこに住み着いたらしいんだよね…最初はプレイヤーも挑んでたみたいなんだけど手も足も出なくて無理〜!みたいな?』
「なるほどね…おねぇが何も言って来なかったっていうことは倒しても怒られないのでは?あとここの住民たちの態度なんかも気になるし…」
『祈っちマジ?アレはやめといた方がいいと思うよ?アタシからの忠・告♡』
ふーむ…どうしたものか…またしても教会関係だしなぁ。ここで倒せれば何かの足がかりになるかもしれないんだよねー
「みんなはどう?」
『悪魔というのは騎士団長ラウンドさんより強いのでしょうか?』
『ん。たたかう』
『私はっ!出来れば!浄化をしてあげたいですっ!』
『悪魔…ねぇ…ボクはどっちでもいいよ。皆に従うまでさ』
この感じユーちゃんは何か心当たりがあるっぽいんだよね…でも言わないってことは…いや、考えても仕方ないかぁ。ここら辺の情報が少なすぎるんだよねぇ…もう少し何か情報があればなぁ
「ねぇ、ここって雪国だけど状態異常とかってならないの?」
『アレっ?祈っち達はここに来るまでにならなかった?【凍傷状態】ってヤツ。そうなると素早さがグンと下がるんだよねぇ〜しかもしばらくその状態だと【凍結状態】になって身動き取れなくてHPもだんだん無くなっていくの』
「凪さん?あなたここに来たことあるんですよね?なんで何も言ってくれなかったんです?ねぇ?こっち見て?」
凪が悪い。挙句の果てに目線を逸らされた。私は凪のほっぺを両手で掴みこちらに向かせる!
「ねぇ。なんで?」
『えっと…そのですね?言わなくてもいいとか…忘れていたとかではありませんよ?決して』
「それが答えなんだよォ!」
この子なんでそんな情報を与えてくれなかったの?私メルちゃんとピーちゃんを思いっきり雪の中に放り投げて遊んでましたよ?あの子たちはそれでも凍傷状態にもなってないんですが!?
『すみません…精霊魔術を覚えるのに精一杯で…忘れていました…』
「え…いやうん。なんかごめんね?はい!おしまい!誰も悪くない!悪いのは何も言わなかったおねぇだ!」
『ほう?私がなんだって?』
『へ?』
振り返るとそこにはギルドポータルがあるであろうギルドルームから出てきた姉が立っていた…なんでぇ?ここにいるのぉ?




