精霊魔術!
「それでこの何かの機械でボックスを見ればいいんだね?」
『そうだ。私もアップデートされてからは初めてその箱を見るが...ちゃんと適応されているみたいだな。』
『結構変わりよったなぁー前まではよく分からん形してたしな!』
『すごいね~』
『メルも見たい』
『私も気になりますっ!』
『それ中々たのしいよね〜』
ユーちゃんはやったことがあるみたいだね。賢者アルと行動していた時かな?この世界の子たちはそういう認識みたいだね。なかなかに興味深い...
「ではまず?の部分の紹介から致しましょう!」
『?剣』
『?杖』
『?ローブ』
『?布』
『?リング』
『?リング』
『?ネックレス』
『?袋』
『?袋』
「になります!武器と防具、アイテムが2つにアクセサリーが3つです!」
『なぜこれを早く実装しなかった...』
『ほんまそれな!めっちゃ分かりやすくなったなぁ!』
『カテゴリーが広すぎてダメだったもんね〜』
そしてこの上から投入できる機械でびっくり箱的な四角い?ボックスを入れると...
『?剣はロングソォードです!!!』
『?杖は精霊の原木です!!!』
『?ローブは精霊術師のローブです!!!』
『?布は騎士の腰布です!!!』
『?リングはナナクサリングです!!!』
『?リングはえんげーじりんぐです!!!』
『?ネックレスはパールネックレスです!!!』
『?袋は魔石袋です!!!』
『?袋は魔石袋です!!!』
という風な感じで下から出てくるのだ!出てくる時は箱なのだが、鑑定してからプレイヤーが触れると装備やアイテムの形に変化するという仕組みだ。
「おぉっ!?いきなり変化するからビビったのだが!?」
『慣れたらそうでもない』
『デカい机に置いてたやろ?これが理由や』
『ここは変わってないみたい~』
『メル初めて見た』
『おおっ!すごいですねっ!』
『久々だ~』
「でもこれ直接装備出るなら鍛冶師とか要らないのでは?」
『そうでもない。もちろん宝箱からでるのにもいいものがあるが強化なんてのもあるからな』
『せやで。鍛冶師は作るだけやなくて装備の強化もできるんや!』
『しかも作った装備の方が強いことが多い〜?』
あ、そうなんだ。基本的には作ったやつの方が強くてたまに宝箱からいいのが出るみたいな感じなんだね。それなら鑑定要らなくない?なんでこんな二度手間を?
『鍛冶師は要らない装備を鉱石や魔石に変えることが出来る。お前の顔に鑑定は不要だと出ていたから答えてやったぞ』
「すみませんでした!鍛冶師ってそう見ると必要な職業ですね」
『強い装備を溶かすとそれだけいい金属なんかも手に入ることもある。そこは持ち主の判断次第だな』
「へーでも武器は錬金できないのかな?」
『出来るらしいが私が知る限り出来た装備の効果は芳しくない』
「...私は錬金術を極めるからね!装備は自分で作りたいな〜って」
『それもええんちゃうか?嬢ちゃんが自分で作りたいっちゅうなら』
『何事も挑戦だしね~』
「うんうん!かるびさんありがとう!」
『ところでこの装備の詳細は見たのか?』
あ、忘れてた...どれどれ?
両手剣【ロングソォード】(コモン)スロットなし
ごく普通の両手武器
力+60
とある鍛冶師の失敗作
杖【精霊の原木】(レジェンダリー)スロット○
精霊の死骸が固まったとされる木。杖としても使用可能。
MP+100 魔力+10
なぜ精霊がこのような形になるのかは未だに解明されていない。この原木には大いなる可能性が秘められているかもしれない。
体装備【精霊術師のローブ】(エピック)スロットなし
とある精霊術師が着ていたとされるローブ。
MP+500 魔力+50
精霊を介した時にこのローブの本質が分かるであろう。
腰装備【騎士の腰布】(アンコモン)スロットなし
教会騎士団に入ればもれなく支給される腰あて
防御+20 素早さ+5 魔法防御+10
騎士が長年愛用した腰あて。汗臭さが染み込み装備するとたちまちにおいが鼻につくだろう。
アクセサリー【ナナクサリング】(エピック)スロット○
ナナクサを象った指輪。
素早さ+20 魔法防御+50
ナナクサという花を象った金色の指輪。そこには匠の技が詰まっている。
アクセサリー【えんげーじりんぐ】(コモン)スロットなし
えんげーじりんぐ。
器用さ+1
とある職人が子供にプレゼントするために作った代物。子供の指の大きさのため装備することは不可能だろう。
アクセサリー【パールネックレス】(アンコモン)スロットなし
真珠を繋ぎ合わせたネックレス。
魔法防御+60
魔法に抵抗があると言われる真珠を繋ぎ合わせたネックレス。貴婦人の間での贈り物としてよく流通している。
アイテム【魔石袋】コモン
使用するとランダムな魔石を入手できる。
「うーん?ちょっとしょぼくない?原木以外はあんまりレア度高くないね…」
『そうだな。私は特に貢献してないからな。私の分を祈が持っていけ』
『ワイは魔石袋貰ってええか!?〜赤箱やったんやろ?しょぼないか!?』
『私も〜他のは錬金術に使っていいよ〜』
「おお!ほんとですか!では魔石袋以外はありがたく頂戴致します!」
『精霊の原木っちゅうやつもレジェンダリーにしては能力がなぁ』
『低いよね~』
これってユーちゃんに聞いたら何かわかるのでは?しかもアイテムボックスの奥底にしまってた精霊魔術のススメもユーちゃんなら読めるのでは!?
「ねね、ユーちゃんこの原木って何かわかる?」
『あぁ、それはね精霊と仲良くなるためのものなんだよ。ボクは害のない人間ですよ〜仲良くしましょう〜って感じのやつだね。精霊魔術を使いたいならそれがいるかもね』
『なんだと?』
『せやったらワイ欲しいんやが!?』
『私も~』
『うん?キミ達は無理だと思うよ。素質がない。あるのはあの魔術師の見た目をした神官ちゃんだね。あの子なら使えると思うよ。素質は十分だ』
「凪が…?」
『そうそう!ナギ!なんで神官なんてやってるんだろうね?絶対こっち側なのに』
マジですか...凪なら扱えると?でも精霊魔術のススメ開けてなかったよね?
「じゃぁ、この本は?凪も開けなかったんだけど!?」
『これはボクみたいな半精霊でも開けるし精霊と心を通わした者になら誰でも開けるものだよ?』
「な、なんですとーー!?」
凪ちゃんや…キミが居ないこの場所で君の強くなれそうな事が起こったよ...ピーちゃんとキャラが被るって嘆いてたけどこれで凪が救われそうだ...!
「とりあえず凪に連絡してみるね」
____<ナギ視点>____
私はあのクエストで役に立ちませんでした。そしてピーちゃんという可愛いピンク色の髪をした天使のような子とキャラも丸かぶりをしているのです...これだと祈に愛想をつかされそうで私は焦っています。
このゲームは祈もやる予定だとお義姉様に誘われてからはこれから一緒にできるであろう祈の為に一生懸命頑張りました。そのおかげか神官という職業を見つけられました。しかし回復などが主な手段なので錬金術士だと言う祈とは相性があまりよくありませんでした。
そして騎士団長ラウンドとの戦闘後に決めたのです。あのピンク色の髪をした子も祈のパーティになるのでしょう。そしたらそこはあの子に任せればいい。パーティにヒーラーは2人も不要なのです。私は攻撃されて回復が前提のサポートなどではなく祈の為に攻撃ができる職業に就こうと...そう決めたのです。
私は祈とゲームをやるためにここまでやってきたのです。今更転生など躊躇いません。お金がかかるのは少し難儀ですがあのゲームをしている祈は終始とても楽しそうにしているのです。私はその横に立っていたいのです。
そう思っていたのですが祈から連絡がきました。なんでも、あの精霊魔術の資格が私にあるというのです。あの澄み渡る青空のような青い髪をした子…ユーちゃん?が私を指名したらしいのです。ですが、レベル50になると職業の変更は出来ないはずなのです...ですが祈のいうことなのです私は疑いを持ちません。信じてそのまま会いに行きましょう。
____ギルドハウス____
ログインをしたら祈がエルメスのギルドハウスでギルドメンバーの人たちと会話をしていました。とても楽しそうですね。ピーちゃんやユーちゃんといった新しい面々に皆も少し浮き足立っているのでしょう。
『あ、凪!こっち!きてきて!おねぇが待ってる!』
「わかりました!」
私をひと目みるとすぐに表情が明るくなる様子はすごく…とても可愛いですね。えぇ。これはもはや相思相愛なのでは?いえ、しかし祈は可愛い女の子なら誰にでもすぐに飛びつくのです。…もう少し様子みをしましょう。
『それで、精霊魔術なんだけどコレ装備できる?』
「これは木ですか?」
『精霊の原木って言ってね?なんでも精霊魔術が使えるようになる装備らしいユーちゃんがいってた!』
ギルドルームに移動した私たちはそこでお義姉様やかるびさんも待機していました。おそらく精霊魔術に興味があるのでしょう。
『お、ナギ?でよかったかな?ボクはユーラ!半分は人間だけど半分は精霊なんだ!よろしくね!』
「はい、よろしくお願いしますユーラさん」
この人懐っこい顔をするユーラさんと名乗った方は前のクエストで同行していた黒いモヤモヤだったらしいのですがとても可愛いですね…この世界には敵が多すぎます…
『それでまずはこれを装備して欲しいんだ!ユーちゃんが言うには精霊と心を通わせれば大丈夫だって!』
『たぶん大丈夫だよ!ナギには素質がある!半分精霊だけどわかるものはわかるからね!』
「はい…装備しました…が何も変化はないですね?」
『ちょっと待ってね…炎!どう?精霊が見えない?ごめんね…ボクは剣を媒介にしてしか呼び出せないんだ…』
「なにか…何者かが…辺りに飛んでいますね?」
『うんうん!ボクの見立ては正しかったみたいだ!ようこそこちら側へ!』
ユーラさんが言葉を発するとあの方の周りに赤い小さな粒子のようなものが現れました…これは私とユーラさん以外には見えていないそうです。
『やっぱり大丈夫だね?そしたら精霊魔術を行使できるように頑張ろう!ボクが教えてあげるよ…とは言ってもボクは付与しか出来ないけどね…なに!大丈夫さ!この本があるからね!』
「はい!よろしくお願いします!」
そう言いながらユーラさんは本を掲げました。すると
『隠し職業【精霊魔術師】を発見しました!!!』
『【精霊魔術師】に転職しますか?この行為を行うとレベルやステータスがリセットされます!!!十分に考えた上で操作を行ってください!!!』
私は迷うことも無く転職のはいのボタンを押します。2回も確認ボタンがでましたね…これで私は精霊魔術というものを扱えるのでしょうか…?
『お?すごいね?一気にこっち側に近づいた!ボクと似たような感じかな?ふふん!嬉しいね!こんな風にボクと同じような存在の人間に会えるとは!』
『え?何か変わったの?凪?』
「え、えぇ。精霊魔術師というのに転職致しました…自分ではよく分からないのですがユーラさんには分かるみたいですね」
祈には分からないようなのでこれは精霊にだけ見えるような変化なのでしょう。
『よし!それじゃぁまずは火の精霊サラマンダーを呼んでみようか?大丈夫。精霊自体は常にそこら辺に漂っているからね!』
「えっと…どうすれば?」
『この本によると…えっとね…炎を司るサラマンダーに気に入られよって書いてるね…』
「えっとその…読めるのですか?私には文字が読めなくて…」
『あ、凪も読めないんだね!』
『あー…異邦人だから仕方ないか…わかった!ボクが教えてあげるよ!ナギはもう精霊達と心を交わした。そして一緒に教会を潰す同士だしね!』
「ありがとうございます」
そうお辞儀をしてユーラさんに精霊言語なるものを教えてもらう日々が始まりました。




