モモとユーラ
____コライユの村____
ふっふっふ...戻ってきたぜ!あれ?行く時と帰ってきた時と全く何も変わってないねこれはあれだな...あそこは時の流れがないパターンなのかな?よくわかんないけど...どうでもいいか!とりあえずピーちゃんにちゃんとした名前と...女神&邪神教徒を増やして教会立てて聖クリスティ教会をぶっ壊そう!って感じだね!
「俺、参上!!!」
『あっ、イノリさんっ!おかえりなさい!どうでしたか!?』
『ん。ねぇね』
「えっとね...かくかくしかじか」
『そんなことが...私たちは異邦人を案内する為に造られただけに過ぎないので過度な情報は与えられていなかったのです...』
『ねぇねと教会潰す』
「そういうことだから気長に待ってくれるっていうし私たちは私たちのペースでいこうね〜今行っても返り討ちにされると思うし」
『はいっ!私もあの御二方に遣わされた身ですので精一杯頑張りますっ!』
『ピー...名前』
「おぉ!そうだった!なにかこれがいいってやつある?ピーちゃん?」
『いえ...特には...出来れば今後もピーと呼んでいただけたらと...』
ふむふむピーちゃんはピーと呼ばれたい。しかし私には今ピーとなるなら『ピクルス』や『ピカピカチュウ』などしか思い浮かばないのだ!どうしよう助けて!私のネーミングセンスにかけるってあの神様たち正気か!?
「うーん...ピー...ピンク?桃色...桃...ピーチ...モモってどう!?桃は英語でピーチだから今後ともピーちゃんにもピッタリだと思うんだけど!」
『ねぇねセンスない』
「うぐっ...」
『はいっ!それでお願いしますっ!むしろそれでっ!今後もピーとお呼びください!!ありがとうございますっ!!!』
メルちゃん辛辣だね!でもこのピーちゃんのパァァァ!!!って擬音がきこえそうなものすごく可愛い顔を見てお主はNoと言えるのか!?否ッ!!私はNoと言える日本人になりたい!いや!ならなくていい!この笑顔の前ではNoでいいのだ!!!!
『イノリが従者【???】の名前を【モモ】と認定。これより【モモ】として表記されます。』
「そーれ可愛いねほれほれ!...って私が向こうに行ってた間はこっちの時間止まってたの?」
『?』
『いえ、それなりに時間が経ってましたよ?あそこの空間だけ時間が流れないなんてことは無いはずです!』
あっれーー?私勘違いしちゃったかな!?あの場所は神の空間で実は時が止まっているのだフフフ...なんて思ってた自分を殴りたいっ!たまたま変わってないように見えただけか...私はもうボケてきたのかもしれないぐすん。
「ところでユーちゃんは?なんであんな洞窟で幽霊やってたのとか色々聞きたいんだけど...」
『ユーラさんなら先程まで辺りを散策しておられましたよ?なんでも村の人たちの話を聞きたいとか...』
「なるほどねぇ...」
幽霊になってた期間の意識はあるけど洞窟だし何年経ったのかは分からない感じなのかな?最初は襲ってきたしメルちゃんの攻撃で正気に戻ったという方が正しいのかもしれない。そしてそれを確認するためと自分の境遇を重ね合わせているのかもしれない...
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「ユーちゃん!」
『イノリ!』
見つけたぜ...!コライユの人と話し終わるのを待ってから後ろから勢いよく抱きついた。なんかそのエルフ耳みたいなのピコピコ動いてて可愛いね?
『どうしたの?』
「あっ、そうだった!ユーちゃん時間ある?ちょっとお話聞きたいなーって...ダメ?」
『あー...ボクの事だね?いいよ。イノリには恩もあるしね!』
「やったー!」
『じゃぁ、話せるところに行こうか』
いい...いい匂いがした!この子昨日まで墓で何年も眠ってたんだよ!?凄くない?しかも抵抗もしない!これはもうあれだね私にゾッコンラブモードだね!
いけないいけない。ユーちゃんに手を引っ張られてたから少し興奮してしまった...集会所にぎゃくもどりですね!?
『さて、まずはボクをあの場所から連れ出してくれた上にこうして肉体までも取り返してくれた皆ありがとう!』
『んっ!』
『私は復活をお手伝いしたまでですっ!』
「うんうん。いいよいいよ!美少女たちが仲を深め合っている!」
『まずはボクの種族と...生まれについて話そうかな。ボクたちは精霊族と言われる一族で数多の精霊との縁を結びボクたち自らも精霊と化した一族の事だよ。』
「でもユーちゃんは半分精霊で半分が人間なんだよね?」
『そうだね...ボクは完全に精霊になりきれなかった存在。忌み子だったんだよ...ボクは剣を介して話せる精霊しか友達はいなかった。ボクらの種族はその存在でこの世界を支配出来る力を持っていると言われていた。しかしボクたちは争いを好む種族ではなく、人間たちと良好な関係を築いていたんだよ』
『ユーつよい?』
『そうですよっ!メルさん!』
『そしてボクはある人間たちに目をつけられた...聖クリスティ教会の連中だ...そしてボクの親たちは何かの取り引きをしたんだろうね。その結果が王都に連れていかれ洗脳され罪なき人を...!』
なるほどね。恐らくユーちゃんは半分精霊半分人間というなりそこないの忌み子でユーちゃんたち精霊族の人たちはユーちゃんを追い出せて何かの利益を得ていたと。そして追い出した後はあの日記の通りらしいね。
『ボクが正気に戻ったのは精霊族を滅ぼした時だった...教会の連中はボクを使い今後、危険分子となりえるであろう同族を殺させた...ボクはそのこと自体にはあまり思うところはなかったんだ。薄情だよね?表面では選ばれたモノとか言ってたけど結果的にボクを売った同族を殺しても何の感情もなかったんだ...むしろ...』
「いい。そこまで言わなくていいから...私も自分の関わる人達以外なんてどうなろうが興味無い人間だからね。それが正しいとは思ってないし私自身、今更どうやってもこの考えは変えられない...ただユーちゃんは同族よりも罪なき人を手にかけたことに怒ったんだよね?キミは大丈夫だ。何か一つでも守りたいモノがある...道を踏み外さない限りは正しい道を歩けるよ」
『イノリ...ありがとう。そう言ってもらえる少しは気が楽になったよ...』
『ユーはいい人』
『私にはよくわからないですが、この生命を与えてくれたイノリさんの言うことであれば正しいと思いますよっ!』
『みんな...』
ユーちゃんはそう感謝を込め言葉を紡ぐが同時に青い瞳が滲んでいる。同族からは見放され、その業を1人で背負ってきたのだろう...。しかしそれでも今は私たちがいる。私は可愛い子のためなら何でもする覚悟があるからね!
『ボクは正気に戻った後に今まで無かった記憶が一気に流れ込んできた。頭が痛い吐き気がする...そんな感覚に陥りながらもボクはあの教会に...聖クリスティ教会への憎しみの方が強かった。罪なき人が殺され、生きていても奴隷のような扱いを受けている。そこにボクが見てきた楽しそうでとても優しかった人間たちはいなかった。見る影もなかった...』
ユーちゃんはとても優しい子なんだね。ユーちゃんの村?集落?に来た人間にとても良くしてもらったのだろうね。それが無くなってしまうのが悲しいと...
『そこでボクは聖クリスティ教会と敵対し何度か攻撃を仕掛けたけどボク1人ではやはり厳しい...そんな中ある魔道士が手を貸してくれたんだ。そして教会に復讐したいと思っている人が僅かに集まっていた集落にボクは招かれた。その中には当然ボクが殺した人たちの家族もいた...洗脳されてたとはいえやった事実は消えない。ボクは誠心誠意謝り協力することを宣言した。最初は風当たりが強かったけど行動している内にだんだんと心を開いてくれたんだ...あぁボクの見てきた優しい人間はこんな姿だったんだと思い返せるぐらいにね』
魔道士と集落ね...
『ある日教会にこの集落を発見された。引き返して行った騎士の報告で向こうから大量の騎士たちが押し寄せてくる予定だったんだろうね。そしてそれならと皆で総攻撃を仕掛けることが決まった。そこでボクは魔道士に秘密の部屋に案内された。そこがイノリたちが来たあの場所さ。あそこは魔道士が作った場所でね?普通の人は見つけれないし入ってもなんにもなく見える作りになってるんだ。イノリたちがいきなり入ってくるもんだからボクも慌てて敵対しちゃったよ!』
そういう事ね...粛清対象になってるのは分かってたから気づかれた時点で総攻撃をかけて少しでも多くの教会関係者を消したかったのかな。しかしこの魔道士凄いな...
『あそこで秘術をかけてもらってね。万が一死んでも魂はここに戻ってくるっていう嘘みたいな魔術さ!ボクも半信半疑だったけど今更なにか呪いの類をするような人じゃないのは分かってたから素直に受けてみたのさ。あとは知っての通り...ボクたちは呆気なく敗れ集落は跡形なく消え去り、ボクの肉体は使用価値があると判断されたのか保管されまた洗脳して使用されようとしていた。しかしボクはあそこに魂を残していたからね。強引に肉体を起こすとゾンビになるし教会もボクを聖遺物として扱っていたのさ』
ヒュージゴーストになってましたよね?あなたの魂物騒すぎやしませんかね!?
『でも何故かボクはヒュージゴーストになっていてね?魔道士が集めた資料室...宝物庫を守る番人にもなっていたというわけさ!』
「その魔道士凄くない?」
『えっとね...確か【賢者アル】と言われてたね。あの後はあの子も亡くなったと思うけど残した遺産は大きい。何せ賢者と呼ばれているだけあって膨大な知識を誰にも知らせず、見つけられないようにして残していたんだから』
あそこは賢者アルという人が残したところでユーちゃんはその人に術をかけてもらい死してなお意識があり賢者の知識を守る守護神になっていたのね...
『これでボクの大体の事情は話したかな?あそこにはまだまだ色々な知識があるからまた行ってみてね!鍵あげたでしょ?』
「そういえば貰っていたような...?」
1日に1回だけあそこに戻れる鍵だね。なんかロストマジックがかけられてるらしいけどよく分からない。いつかまた行ってみよう。あとはそうだね...
「なんであの時私たちを案内してくれたの?」
『えっ?メルティが教会を潰したいって言うからそれならボクも力にと思ったんだけど...』
『ん』
ひょえーー!あなたアンデッド使役でユーちゃんの魂にそんなこと言ってたんですか!?しかも理由の内容が薄い上に雑い!いつかメルちゃんの故郷も復興できたらいいね...まだ王都見つかってないけど、どこら辺にあるのだろう?




