再開と復活!!
「ハァハァ…しんっど!」
私は3人に騎士団長を足止めしてもらい大きな白い棺へと走り、今はそのコンクリート並みに硬い棺をショートソードで壊している。クリスマッマが壊れないようにしてくれたのだ。しかしこのオブジェクト壊せる設定になってるね。ゲームだとよくこのオブジェクトは壊せません!!!みたいなのあるけどこれは違うみたい
「おっ!キタ!え…?なか空洞じゃん!しかもくっらぁ!クリスマッマ用意って何したの!?」
『ん〜?準備〜?』
何とか壊せたけど棺というより実際はコンクリで、外見を棺に見せかけていたみたいだ。にしても暗すぎる。クリスマッマは準備したと言うけれど何一つ変わってない。ほんとになにかしてくれるの!?
「ん?ん〜…この一軒家ぐらいの広さで肉体って言われてもなぁ…ゆーくんちゃんみえるかな?」
『コッチ』
「お、なんかみえるね!さすがゲーム!」
ゆーくんちゃんが自身の肉体が分かるというのでその方角へと進んでみることに。するとそこには,,,普通の棺があるではないか。そして棺の少し横に煌びやかに装飾された白いひと振りの剣が地面に突き刺さっている。これで間違いないのだろう。
「うっし!あけるよー?よいしょっ…お?おおお??すっげー!!!ゆーくんちゃんは【ゆーちゃん】だったんだね!」
『ヤット…』
棺の中には、見てくれよ…これで死んでるんだぜ?と言いたくなるような美人さんが眠っていた。
未だに生気を感じさせるような白い肌に、ほっそりとした体躯。それでいて透き通った海のような色をした美しい髪。透明感のある妖精みたいな少女が眠っていたのだ。
「うおっ…すっげー美人さんじゃん!ゆーちゃん!この後はどうすれば!?」
『じゃあ〜いくわね〜?』
『【???】が【???】を発動。【???】がこの場に転送されます。『この行為はめが…』だぁ〜め♡『【???】により女神の介入が拒絶されました!』【???】が転送されます!!!』
え?あなたもそれできるんですね!?わたくし、もう驚きませんよ?しかもコイツッ…直接脳内にッ…!!さてさて何が送られてくるのでしょうか!?お?さっきクリスマッマが現れた時と同じ感じになったな…そしてそれが…うええええぇぇぇ!?
『……あっ!イノリさんっ!ご無沙汰していますっ!これからよろしくおねがいしますっ!!!』
…なんとクリスマッマからはピーちゃんが送られてきたのだ!
____<ナギ視点>____
あまり状況がよくありませんね…私とお義姉様、そして自称祈の妹のメルティさんがなんとかして騎士団長さんの足止めをしているのですがこれがなかなかうまくいっていません…神様?は空中に浮いているだけです。
『ッ!!メルティ!確認してから攻撃しろッ!』
『しらない。殺す』
『ふはははは!!仲間割れなぞしおって!仲良く葬ってくれる!エクスカリバー!!』
『騎士団長ラウンドがエクスカリバーを発動!!!』
『んっ!』
『まずいッ!』
『守り給え!ホーリーシールド!』
『騎士団長ラウンドの攻撃をメルティが相殺しました!!!』
『なんだと!?』
『ぶい』
メルティさんは連携がイマイチ取れないようでお義姉様が攻めあぐねています。そしてあのエクスカリバーという技は有名な伝説になぞらえたものなのでしょうか?ホーリーソードという剣から光り輝くビームを打つようなものではなく、剣の等身が2倍以上に長くなり、光を纏うです。そして、それを振るうと斬撃も飛ばしてくるという近接殺しの2段構えですね。
剣自体を近接武器で受け止めてもその後に剣の軌跡を辿って斬撃が追撃してくるのです。しかしそれをメルティさんは難なく受け止めました。血で作ったような鎌を手にしていたのです。
『ねぇねのほうが強かった』
『舐めた真似をッ!』
『ホーリーソードッ!!』
『騎士団長ラウンドがホーリーソードを発動!!!』
『アネの身代わりが25,743ダメージを受けました!!!』
『アネが騎士団長ラウンドに34,726ダメージを与えました!!!』
『アネが水遁 水鉄砲を発動。騎士団長ラウンドに17,426ダメージ!!!』
お義姉様は暗殺者でありながら忍術をお使いになられます。くノ一という職業で奇襲や先手、身代わりの術などの搦め手などを得意とし、火遁、水遁、雷遁…などなどの各属性攻撃を扱えるのです。さすがは私のお義姉様ですね!
一方私はヒーラーとしては優秀だと言われているのですが、ダメージソースになり得ません。神官という珍しい職業ですがこのクエストみたいなのがこの先もあるとお荷物になりそうですね…なので転職をしようか絶賛悩み中です。少しぐらいなら課金をしてもいいでしょう…。
『おっまたせー!!!このイノリ!戦場に帰還致しました!!助っ人も連れてきたぜぃ!』
メルティさんとお義姉様が騎士団長と戦闘している時にこの場に似つかわしくない…そしてとても頼もしい声が聞こえました。あの人はいつも重要な…いえ、おいしい所を攫っていきますね…それでこそ私が愛してやまないヒーローの姿ですからね。
____<大棺の中>____
ピーちゃんがいる…あのキャラクリの空間でしか会えないとされていたピーちゃんが!!!しかも少し姿が変わっている!前は桃色の長い髪の毛にこれぞ天使!って感じの白いワンピースみたいなのを着ていたのに今は…私より少し小さな身長のスレンダーさんで、肩あたりまで届くセミロングが風に吹かれて靡かれている桜を思わせるようなサラサラのピンクの髪。それをハーフアップにして蒼天のような青い大きなリボンで留めている。そしてとても可愛い大きなアホ毛!桜色のくりっとした瞳もとても綺麗だ。服は相変わらず白のワンピースだがスカートの先端部分が綺麗なピンクに染っていてる。
「いい…いいよ!ピーちゃん!!!可愛くなったねぇ〜〜!!」
『あっ…はいっ!ありがとうございますっ!アンノウン様に見立ててもらいましたっ!』
「いいねぇ〜いいよぉ!さすがあーちゃんだ!分かっていらっしゃるぅぅ!!!」
『ちゃんと贈り物は届いたかしら〜?』
「はい!クリスマッマバンザイ!」
『ではっ!この方をまずは復活させてしまいましょう!!!』
「あれ?これって錬禁術士の仕事じゃないの?ゆーちゃんも私なら可能性があるって言ってたけど…?」
『そうですねっ!私とイノリさんなら大丈夫ですっ!』
「おぉ?私もなんかするんだねぇ!?」
『はい!ではまず…』
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ピーちゃんによると、【生命を冒涜する合成板】とは別の【生命を司る宝典】というのを扱うそうだ。これに関しては既にピーちゃんから受けとっている。あーちゃんに持たされたそうだ。なんでもここに記されている起動言語を私が発した後に死体などの命を吹き込むモノに対してMPを捧げるらしい。その上で死体と一致する思念や怨念などがあればその死体を蘇らせると共に、その思念と死体を結びつけるという代物だ。
生前の肉体、残った思念などがある場合に限られるが上手く行けば元々生きていたような感覚で死体が目を覚ますらしい。死体のみの場合は残念ながらゾンビみたいな亡骸になるそうだ。
【生命を司る宝典】(レジェンダリー)
とある死霊術師が故人の為に創った本。生前の死体と思念などの残滓が一致すればその者は、はたまた生き返るであろう。
死霊術師にはすぎた代物。彼らは死人を使役するのだ。生者には興味が無いのだろう。これは生命を造れ、手のひらで弄び万物を相手にする錬金術士の手に渡った。
「あれ?これだとピーちゃん居なくてもいけるのでは?」
『万全を期すために私がMPを負担します!』
「そんなことできるんだ?」
『はいっ!任せてください!』
「では、いきます!」
「生ヲ分ツ軸、死ヲ分ツ線。彼ノ者に生命ノ息吹ヲ」
『彼の者と共に!!』
『【???】が魔力供給を発動。イノリに【???】のMPが持続的に供給されます!!!』
「ゆーちゃんいける!?」
『アリガトウ』
そう空中に文字が現れると目の前にあるゆーちゃんの肉体に黒いもやもやが吸い込まれるようにして中に入っていった。そうすると辺りに青い狐火のような粒子がことごとく現れ、肉体の周囲を照らすようにして舞っては消えていく。そして肉体の辺りを中心にして青く輝きはじめる。この薄暗い空間に淡い青が輝き始め、幻想的に映る。
『イノリが【生命を司る宝典】を使用しました!!!』
『錬禁術士確認…肉体確認…思念の残滓確認…一致。同一人物と断定…肉体と魂が結びつきました!!!』
『追加のMPを消費してこの者を蘇らせますか?』
「追加とか聞いてないけど!?いえす!!」
『確認完了…【叛逆の勇者ユーラ】が目覚めます!!!』
『んっ…』
「おおおお!?ユーラ?ゆーちゃん!?ゆーちゃんだよね!?」
『やりましたねっ!イノリさんっ!』
『ボクは本当に…』
わなわなと震え自らの体を確認した後、彼女のマリンブルーの大きな瞳がこちらを見つめていることに気がついた。眠っている時から分かってはいたがとても可愛い!!これは私も…
『ほんとっにっ!ありがとうッ!』
「ふぉぉぉぉ!?」
え?やだ。美少女に抱きつかれちゃった。あら、いいにおいしますね?どれスゥゥゥーーーッ!これはっ!美少女の味!…君何年眠ってたの?なんでこんなにいいにおいするんでしょうね?あらやめて、泣かないで。ほらヨシヨシ。君、耳が尖ってるね?あれかな?エルフってやつかな!?
「ユーラ?ちゃんはエルフ?勇者?なの?」
『ぶぇ゛っ?半精霊っ!』
「半分が人で半分が精霊って感じ?」
『ぞう゛ッ!』
『イノリさんって本当に誰にでもそうやって抱きつくんですね…』
あらやだ、ピーちゃんが怒っちゃった。ごめんね?でも泣いてる子を引き離せはさすがに酷じゃない?あとジト目やめてね。かわいい!スクショスクショ!スクショが止まんないぜ!!
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あの後は少しユーラちゃんが落ち着くのを待っていた。しかし幽霊だからゆーちゃんって呼んでいたのだが本当にユーちゃんだったとは…今後もそれで呼んでねっ!といわれたのでもちろんノータイムで承諾した。
「ユーちゃんどう?動けそう?」
『問題ないね!しかも神様から加護も貰えたっぽいんだよね!』
「なるほど…クリスマッマとあーちゃんかな?」
『ん〜?それはわかんないけどあの騎士団長は倒せそうだよ!まだ起きたばっかりだし準備運動がてらボクが相手するよ!』
「やったーー!ユーちゃん好き!可愛い!」
『それほどでも〜?』
『私も行きますっ!』
「あれ?帰らなくていいの?」
『ええっと…はいっ!任せてください!一通りの魔術は扱えますので!』
「ほ〜ん?見習い神だったよね?その力見させてもらうぜッ!!」
____<地下墓地>____
「おっまたせー!!!このイノリ!戦場に帰還致しました!!助っ人も連れてきたぜぃ!」
良くぞみんな耐えてくれた…ここからは私…じゃなくてユーラちゃんが相手するぜ!!
『上手くいったようね〜?さすがだわ〜!』
「フッ…クリスマッマとあーちゃんの為ならなんでもするさ!!」
『あらあらまぁまぁ〜』
『なぜ…なぜ叛逆者が…ッ!!!』
『もう大丈夫そうね〜?後は任せるわ〜?またね〜イノリちゃん♡』
「はい!後で甘やかしてくださいね!!」
『いいわよ〜?あとその子もよ・ろ・し・く・ね♡名前もちゃんとつけてあげてね〜?』
『【???】の気配が無くなりました!!!神域が消滅しました!!!』
やっぱりピーちゃんはこっちに残るっぽいね!後でいい名前つけてあげる!…ネーミングセンスないとか言われてるけど私大丈夫かな?まぁなんとかなる!ここから先はユーラ先生に任せるぜ!おねがいします!先生っ!