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神々の黄昏

『そんで妹のイノリやったか...職業は錬金術で合ってるか?』

「錬()術ですね。レベルも17と低く初期装備なので寄生させていただきます!よろしくお願いします!」

『おぉ...そうか...んでな?ココ最近になって錬金術士()()が問答無用で教会のヤツらにキルされとるんは知っとるか?自分?』

「え?知りませんけど...私コライユに住み着いてるんですよね!いいでしょ!?」

『おい、ショウそれは...』

『そうね〜ちょっと街に入るのも危険かも〜?』

『隠密行動して神殿まで辿り着けますかね...?』


お?なんだなんだ!?職業錬金術士のプレイヤーが教会にやられているだって!?絶対これ私関連だよね...すまん!錬金術プレイヤーの諸君!我はアンノウン様の為にキミらを囮にするぜ!


『んっ。ねぇね神殿いく?メルわかる。』

「おぉ〜そうだった!はい!皆さんメルちゃんは謎のソナーが備わってるので神殿には割と楽に辿り着けるかと!」

『そうなんか?まぁ徘徊者(ワンダリング)やったしそれぐらいはできるんか...?スキルかいな?』

「いえ、そんなスキルは無いですね...何故でしょう」

『確かに私たちもいきなり攻撃仕掛けられましたもんね...あれなら行けるかも知れません』

『そうだな...念の為、ギルドメンバーに神殿までの道のりは予め偵察してもらいつつ、教会のヤツらの足止めも頼むか...』

「そんな事できるんだねぇ...ねぇ、おねぇ達のギルドってそんなに大きいの?」

『ん?このゲームでは大きい方だとは思うぞ?なにぶんウチはなんでも屋と呼ばれてるからな』

『私たちのギルド【神々の黄昏】は色々やってるよよ〜?』

『せやな!ラグナロクって言うよりこっちの方がかっこええやろ!?』

「へ、へぇ〜かっこいいギルドっすねぇ〜...」


う、うーん...?ラグナロクって方がカッコよくない?横文字の方が見た目的によろしくなーい?ショーへーさんって少し変わってるなぁ...


『そうですね。お義姉様はPK...特に不意打ちを得意とし、かるびさんはPvPでは負け無し、ショーへーさんは攻略の鬼と言われています』

「えぇ...うちの姉だけズルくない...?」

『スキル構成的に仕方がない。先手必勝だぞ?まぁ、先手を防がれても負けたことは無いが』

『そうなんですよ!お義姉様は暗殺者(アサシン)なので人に対してはものすごくお強いんですよ!?』

「おぉう...分かった...」

『そしてかるびさんは侍、ショーへーさんは双剣使いなんですよ!お2人ともとても強いんですから!』

「ほーん...で?凪はなんで魔術師ですよ〜って見た目なのに神官なの?」

『こいつはプレイヤーで初めて教会の神官になったもんや!ナギは回復やシールドを貼れるからワイたち前衛組の要やな!』

『装備はこれが1番魔力とMPが上がるので...』

「じゃあ、ナギはヒーラーってことね。あとはうちの子だね。メルちゃんは魔術師だよ。闇と風の複合属性の魔術を主に使うよ。レベルは1桁だけどなんかめっちゃ強いから安心してね。」

『複合属性か...未だに少ししか発見されてない複合属性魔術と闇属性とはまた珍しいものを...』

『ここには魔術班がいませんからね。詳しいことは...』

「あ、あとそうだ。この中に【精霊魔術のススメ】って本開ける人いる?これなんだけど...」

『精霊魔術やと...?聞いたこともないわ...』

『前衛は魔法とか使えないしね〜』

『どれ、貸してみろ...なるほど無理だな...お前たちは?』


ここに居る人全員精霊魔法の本は開けなかったし精霊魔法っていうのを初めてみたらしい。少し残念だが、これは私のアイテムボックスの奥底で眠っていてもらおう...


________________


『それで作戦だが、まずはうちのギルドで動かせるものは教会関係者の足止めや私たちがエルメスに入ってから神殿までのルート先導...前衛にかるびとショウ、後衛にメルティ。サポートはナギ、幽霊は無能で私は奇襲や戦闘になった際の攪乱をするが祈はどうする?』

「レベル50程度の騎士の攻撃なら避けれるよ。あと光と聖属性は無効だから...敵をひきつける囮とその属性の時は盾になるよ」

『なるほどな。それでナギのシールドも効かなかったのか』

『なるほどな...。ワイらはレベル50やから何とか相手にできるがレベル1の時に騎士の攻撃避けたらしいな自分?』

「そうなんですよ...そしたらここら辺の魔物の攻撃が遅くて遅くて...」

『へ〜さすがね〜?これならなんとかなるんじゃな〜い?』

『私は祈の囮役などには少し不満がありますが...それでいいと言うのでしたら...』

『よし。では行くか...不備はないな?』

「うん。おっけ〜メルちゃん!ゆーくんちゃん!いくよ!!」

『んっ』

『ワカッタ』


____エルメスの街____


私たち【神々の黄昏】の面々はギルマスの『アネ』さんを慕っている。みんなは姐さんと呼んでいる。本人は勝手に集まってきたや、所詮は烏合の衆だとか言っているがそれは違う。最初はベータ組で対プレイヤーには強いと言われていただけだったらしいのだが。


本格的に『アークスオンライン』のサービスが開始されるとこの手のゲームに慣れている人やベータ組のPKが多発した。もちろん私もやられた。PKは相手の装備やアイテムをランダムに奪えるのだ。ゲームはじめたての人は全員等しく1000ギル所持しており、装備もそれなりに高く売れる。ちなみにギルがゲーム内通貨でゴルが課金の通貨の名前だ。銀と(ゴールド)をかけているのだろう。


ギルを狙ったプレイヤーが我先に攻略せんがために俺たちの糧となれと言わんばかりにPKをしていたのだが、そんな中初心者を守るプレイヤーがいた。それがアネさんだ。PKを狩るPK...【PKキラー】言われ相手には先手必勝、必ず先に攻撃を仕掛け私たち初心者を逃がす時間を作ってくれるのだ。


その後倒した相手のドロップ品を必ず差し出し、ベータ組ならではの色々な情報を惜しげも無く教えてくれる。本人はこんなことでこのゲームをやめて欲しくない。もうすぐ妹と一緒にこのゲームをやるのだ、と必ず言葉を紡ぐのだ。


そしてその内PKキラーがいるから狩られるだけ損だということが広まり初心者狩りのPKは収束した。

そして助けたプレイヤーは覚えており、見かけるとあの後はどうだ?楽しくやれているか?など色々気にかけてくれる。そしてまた新しい情報をくれる。あそこのダンジョンはお前の職業に合った装備がドロップするだとか...この手のゲームは外部の攻略サイトやブログ、SNSなどに載せるとすぐに情報は消され、内容によってはおまわりさんのお世話になるようになって久しい。規約で書いてるからね?破ったらそうなるよ。


そして野良のパーティーなどで姐さんに良くして貰った同士は自然と集まるようになった。あのときに助けて貰った。姐さんからまた新しい情報を貰ったなど色々だ。そうして交流していたらいつの間にか大所帯になっていた。それもそのはず、この手のゲームには欠かせない色々な情報や人が集まるのだ。


ある者は攻略の為に情報を欲しがり、ある者は一緒に戦うパーティ、ある者は新しい素材での生産をいち早く試したい...ある者はゲームに内での話し相手が欲しい...色々な人が集まってきた。そして私たちは姐さんを探し出しギルドを作ってギルマスになってくれないかと頼み込んだのだ。そしたら承諾する代わりにいくつかの制約と2人ほどをサブマスにしたいと言ってきたのだ。私たちは姐さんの紹介ならと、それを了承した。


そして紹介されたのが【かるび】さんと【ショーへー】さんだったのだ。この2人はプレイヤー間では有名で、かるびさんは侍というあまり使い手がいない職業で『闘技場』というプレイヤー同士で戦い、どちらかにギルをbetするという1部のプレイヤーには人気の賭博場に入り浸り、未だ無敗を誇る怪物だ。


一方、ショーへーさんは見た目は武士そのものだけど武器は双剣を使い珍しい職業やスキルもちなのでは?と言われ、ダンジョン攻略やフィールドボス撃破はこの人の名前がほとんど残されているのだ...

後から知ったのだが姐さんはこのショーへーさんから情報を仕入れ、許可を貰い初心者などに情報の横流しをしていたそうだ。


しかし姐さんは、私たちに一人一人に合う情報などを選別し、問いかけにはすぐさま答えてくれ、分からない時はすぐに調べてくれたりもする。助けてくれた上に親身になってくれるのだ!横流しするのはどうなんだと言うのもあったが、仕入れた情報を整理整頓し、私たちに合った事を的確に伝えてくれるので多くの人は未だに姐さんを慕い続けているのが現状だ。


そんな中、最近は忙しいのかあまりログインをしていなかったので心配していたのだがなんでも妹がこのゲームをやり始めたらしく、それに合わせるように現実での用事を終わらせていたそうだ。


そして...唐突なイベント予告で盛り上がっていたのも束の間...そんな時に姐さんからギルメンに通達があったのだ。


『妹と神殿に突撃する。警護を頼みたい。エルメスの南口から神殿までの道のりの確認。その最中、教会関係者の妨害を頼んだ』


皆は最初なぜ教会に敵対を?と思ったのもつかの間、また新しい情報を掴んだのだろうかという顔にギルドの面々が変わっていった。


さて、私たちは姐さんの警護に向かいますか!

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