節穴
「よし、そしたら晴れて2人も邪神あーちゃん教の一員としていいことを教えてあげよう」
『ん?まだ何かあるのか?』
『ぜひ!』
『錬金術に関係ありますかー?』
「ある!錬金術には...ある?のか?一応聞いてて!」
『ほう?』
「この村の南から出て少し脇道に逸れると幻影の洞窟ってダンジョンがあってね?もちろん未発見だったよ」
『やはりまだまだ未発見のダンジョンは多いんですね!』
「ん。多いのかは知らないけど、いつ入っても地形が固定のやつでそこにメルちゃんと突入したら辺り一面真っ白な空間で敵の湧くところが黒いもやもやがあるダンジョンなの」
『なんだ...そのダンジョンは?本当にダンジョンなのか?』
「それでそのダンジョンは2階層目でボス部屋だったんだよ」
『珍しいですね...でもそれだとせいぜいオーガ辺りがボスでしょうか?』
「いんや、この子。ゆーくんちゃんいる?」
『イルヨ』
「ほら、この子。見える?」
『?何を言ってる?』
『え、えぇ。私も何も...』
『見えないねー』
うーんやっぱりパーティ組んだら見えるのかな?えっと...ナビちゃんはむりかぁ。すまんね...ちょい失礼?ナビちゃんには錬金術のススメ渡しとくね?
『お、おお?何だこの?ってメンバーは?』
『あ、見てください!不死姫メルティさんの横に黒いもやもやが!』
「そ、あれがボスだった。レベルは見えなかったけどメルちゃんが攻撃したらLv35ぐらいになってたかな?」
『なんだと...?Lvが見えない相手は50以上離れているって言われてるんだぞ?』
「え、まじ?知らなかったっす...ちなみにメルちゃんに初めて会った時もそうだったよ?」
『そんな相手にお前は...いや、それより続きだ。そこのボスがなんでここにいる?』
『ニクタイヲモトメテイル』
『っ!凄いですよ!文字が浮かび上がりました!』
「...と言うわけなんですよね。こちらのボス...ゆーくんちゃんはメルちゃんが【アンデット使役】で使役をしているんですが、倒した直後凄いところに案内してくれましてね?」
『ほう?そんなボスもいるのだな...しかしこいつは肉体を?』
「ん。そうだね...恐らくこの人も聖クリスティ教会の被害者で肉体はエルメスに聖遺物として保管されているらしいんだよね」
『そんなことが...?私は神官になっているんですが、そんな場所も聖遺物なんてものも聞いたことないです...』
「そうか...だとしたら意図的に隠してるのかもしれないね。そしてこの人の案内してくれた所がダンジョンの宝物庫だったのよ。とはいっても、本だらけだったけどね?ちなみにそこに瞬間移動できるアイテムも貰ったよ」
『ダンジョンには宝物庫はあるが、本だらけの宝物庫など聞いたことが無いぞ?』
「んー?まぁ、今はあんまり用事無さそうな場所だったしね。本来はもう少しレベルが上がってから行くところなのかもしれない?」
『そうですね!本などは自身が取得できるものだけは光って見えますし、レベルが上がると今までとは違ったものが取得出来たという話も聞きました』
ほーん?やはりあそこはいい所なのでは?いつかまた行こっと。
「そこで、ナビちゃんが読んでるのとあと一つは...無くなったけど合計4冊の本が手に入ったんだよね」
『ん?このNPCの読んでる本も合わせてか...』
『なんですか!?これは私のですからね!あげませんよ!?』
いや貸し出してるだけなんだけど...それはこっちのセリフだよ!?
「んで、今出したその報復者の日記ってやつ開いてみて?」
開いたら姉が一瞬で固まった。面白いな...これがムービー見てる最中のプレイヤーかぁ。ほーん??
『なるほどな。確かに聖クリスティ教会が悪だと言われている。ナギも開いてみろ』
お、固まった。よしさわさわしてみよう...イデッ!姉に叩かれたんだけど...無念。姉は姉でなんで私にはしなかった?とか言ってるしもう意味わかんねぇよ...
『これは...』
「そう。それを開いてクエスト受注したらイベント予告来ちゃったんだよね」
『((は?))』
「どうどう。おそらくその報復者って人が鍵なんだと思う。この人は誰かは分からないけどめっちゃ強い種族ってことだけしか分からないし、今だ尚教会が腐りきってるから恐らく死んでる」
『あ、ほんとだワールドクエストが受注出来ますね...』
「私は受けたけど、聖クリスティ教会に更に狙われると思うからオススメはしないよ」
『なぁ、祈。この報復者ってのはその黒い文字じゃないのか?』
「はっ!?え!?まじ?どうなん!?ゆーくんちゃん!
?」
『ソウダヨ』
え〜うっそーん。まじかぁ...この人メチャ強種族確定で尚且つ、報復者だった。うーんお前の目は節穴か?って言われても仕方ないね...
『それならご自身の肉体の場所とか分かるんですか!?』
『シンデン。チカ』
『ほう?』
「へぇ〜地下なんてものあるんだ。てかゆーくんちゃんは自分の肉体と再会出来たら復活できるの?」
『フカ。シカシ、【イノリ】ナラ...』
「あら?ふむ...そう?なるほど。ね。分かったよ肉体一緒に取り返そうね!!」
恐らくこれは錬金術ではなく錬禁術の事を言ってるんだろう。しかし今回は肉体は完全にあるっぽいしこの思念?と同化させる事なんてできるのだろうか...
『【???】の復活!?が受注されました!!!』
「おおお!?」
『なんだ?どうした』
「えっとね...この子の復活ってクエストが受注されたの」
『えっ...祈ならこの人をよみがえさせれるのですか!?』
「え?いや多分?きっと...確実にいけるとまではいかないけどね」
『クエストの内容を話せ』
「えっと...ワールドクエストの派生先で...この子の復活が成功すればグッドエンド...最低でも肉体を取り返せればクリアで...失敗はゆーくんちゃんの思念、肉体が共に消滅だって」
『パーティメンバーの規定は?クエストの期限は?』
「んっとね、神殿に入るのが7人のフルパで期限は...今日!?はぁ!?」
ちょっとゆーくんちゃん!?あなた唐突にも程があるのでは!?イベント前だしNPCは...一部を除き攻撃不可か...ほーん?これのことか?復活させてこのクソ強種族(仮)と一緒にイベントに参加しろって事だな?ほーう?いい度胸じゃねぇか!
『なるほどな。今から行くぞ。祈、私、ナギそしてメルティと幽霊本人がパーティメンバーか...』
『あと2人欲しいですね...』
『よし分かった。私のギルドから2人選出する。それでいいな?』
「え?まぁ。おねぇが言うなら間違いないし任せるけど...私とゆーくんちゃんはほとんど何も出来ないと思うよ?私はレベル低いし攻撃スキルもない。ゆーくんちゃんは恐らく何も出来ないし」
『構わん。それに始めたての妹すら守れんようなら私の名が廃る』
『えっと...私も頑張ります!』
「ありがたやーありがたや...」
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『は〜い!よろしくね〜【かるび】で〜す』
『よろしく頼むわ!ワイは【ショーへー】っていうもんや!』
「姉がいつもお世話になっております!!おなしゃす!あといきなりですが、これ開いてください!」
かるびさんはゆるふわ系のお姉さんだ。どこかぽわぽわしてるけれど戦闘になるととても頼もしい人らしい。髪はゆるふわボブの綺麗な桃色で糸目のお姉さんだね...そしてうらやまけしからんナイスバディをしてらっしゃる。なぜかスーツを着ている...これはアバターらしい。武器は...刀!?ウソでしょ!?
このピンク髪のゆるふわボブの糸目お姉さんボンキュッボン!の上にスーツ×刀だと!?属性モリモリお姉さんだ!ちなみに既に私は彼女の胸に飛び込んでいるここがエデンだ...
ショーへーさんは関西弁で喋るイケメンのお兄さんで双剣使いだ。なぜか聞いてもないのに『ワイの苗字な、オオタニっていうねん』とか言っていた。ものすごく謎だ。彼は二刀流に憧れていたらしくこのゲームが始まると同時に無いであろう双剣使いの職を探し始め、唯一の職業を手に入れたホンモノだ。
髪の毛は日本男児らしく黒や!との事で長い黒髪を後ろで縛っている。なぜこのビジュアルで刀を持たないのか甚だ疑問である。そしてこちらもアバターらしく侍よろしくな袴と三度笠を被っている。草履まで完璧だ。なぜそのビジュアルで双剣なんだッ...!!!
そして我が姉はこの2人と同じ大学らしく、既知の仲だそうだ。2人ともリアモジュだぁ!!凄いなぁ!リアルモジュール勢多いね!
『2人とも報復者の日記は開けたな?そしてその著者の本人がその黒い文字、スライムで遊んでるやつが不死姫メルティだった者、そしてそのヘンテコな髪色で謎の粒子を出してるのが私の可愛い妹だ。そこの本の虫は知らん』
「ナビちゃんです〜錬金術オタクで今は私が貸し出しした錬金術のススメって本に夢中になってます」
『ちょ、まてや...天音...アネの妹があの不死姫倒しよったんか!?』
「えぇ...まぁデコピンして倒しましたね。あとあの子私の妹ですので」
『ふふふ...凄いのね〜祈ちゃん』
「でゅふふ...いえ...それほどでも〜?」
『おい、こいつめっちゃ調子のるやんけ!?ホンマに天音の妹か!?』
『そうだ。こいつもリアルモジュールだぞ?どうだ?可愛いだろう?』
『え、いや...なぁ?目つきも天音のよーに悪ないし...背もちっこいし...性格もまるでちゃうやんけ』
『ふふっ私も少し驚いちゃったわ〜』
あのね?ぷんぷんしてる凪も可愛いけどかるびさんにそんな嫉妬しないであげてね?この人のボンキュッボンは実生活じゃ絶対辛いよ?私は抱きついて堪能してるだけなんだからここは譲らないよ!?