攻略対象にはきょうだいたちも含まれます
攻略対象の情報が遂に解禁です!!!
ローズバルト家次期当主
長男 ヴァージル=ル=ローズバルト
お母様譲りの漆黒の黒髪は短くきり揃えられており、父譲りの灰色の切れ長の目を持ち、リーシェと同じく眉目秀麗。年齢はリーシェよりも2つ上の、12才で、現在は王立アカデミーの生徒だ。
そんなヴァージルは一言で言えば、
「まさに完璧主義者です!!リーシェ様も似たようなところはおありですが、ヴァージル様は自分にも厳しければ、他人にも容赦ない方なので、近寄り難いイメージがあります」
ヴァージルは文武両道でありながら、努力家でもある。それゆえ、他人に厳しく、次期当主としての責任をずっと背負い続けている。
親族達からの重責に耐える子供時代だなんて、頭が固くなるのもと当然だと思う。
( 小説でも、冷血なイメージだったわ。なんというか、クールなお兄様って感じね。)
「リーシェ様はヴァージル様とあまり中が、よろしくありませんでした。まあ、お互い忙しくされてましたので、お話する機会も少なかったかもしれませんね」
小説の前半ではヴァージルとヒロインであるリーシェの中は険悪だったけど、リーシェが諦めずに話しかけることで、ヴァージルの心が折れるのよね。
(てか、もっと妹に気をかけなさいよ!!)
「リーシェ様というより、ヴァージル様が距離をとられていたので、リーシェ様はおそらく、お嫌いではなかったように、マリーは思います」
(確かに、あのヒロインが兄を嫌うとか、ありえないって話か。そもそも、リーシェの兄弟全員攻略対象なのよね。)
小説のネットサイトでも、その冷たい性格が1部の読者に人気だった気がする。
「続いて、次男のアースベルト様ですね」
次男、アースベルト=ル=ローズバルト
「アースベルト様は……なんというか……」
「……?。アースベルトお兄様はどんな人なの?」
急にマリーが、固まってしまった。なにか話しにくいことでもあるのだろうか。何故だろう、とてつもなく嫌な予感が……
「正直よく分からないお人です」
「分からない?」
アースベルトは小説では前半に名前が乗るぐらいの人物だが、物語後半にいくにつれて色々と明かされる事が多いキャラでもある。
腰まであるほど長い黒髪を1本に束ね肩にかけ、空色のどこか気だるそうなその右目の下には、泣きぼくろがあり、普段無口なところも相まって、ミステリアスな不思議な雰囲気を持っていたりする。
その見た目のせいで、年齢がリーシェの1つ上とはとてもだけど、思えない。年齢詐欺に等しい。
「アースベルト様は、いつも、お1人で過ごされることが多く、使用人の私達も会話する機会はあまりありません」
「そうなのね」
やっぱり。
無口な設定上、声を聞いただけども奇跡なのかしら。それに加え、引きこもりって……
「でも、妹であるリーシェ様とは会話されているところはよく見かけます。リーシェ様もアースベルト様とはしたしそうでした」
( ヴァージルとは違って、親しくはしてたのね。ヴァージルと仲が良くないって聞いた時は焦ったけど、幸い兄2人とも不仲ではなくて良かったわ。片方だけども親しい方がいいもの。)
妹には親しいのは、リーシェがヒロインだから?それともアースベルトも攻略対象だから?
兄として妹を気にかけているから?そうだとしたらヴァージルも見習って欲しいけど。
うーん。ここは小説には書かれていなかったら、よく分からないわね。
「アースベルトお兄様は、他の兄弟とは会話するの?」
それを聞くと、マリーは口を一文字にして黙り込んでしまった。
「マリー?」
「私が知る限りですが、おそらくリーシェ様だけかと」
お、おう。
どうやら、私の私の2番目の兄はシスコンのようだ。さすが恋愛小説の世界……
今は、ヴァージルと同様、彼も王立アカデミーに通っている。今は1年生だろうか。
「……」
「リーシェ様?」
たった今ひとつの疑問が浮かんだ。
あの引きこもりで、無口で、年齢詐欺な彼に果たして話しかける人がいるのだろうか。
うん。
アカデミーで友達がいると信じ、ここは妹として触れないでおこう。
そうしましょ。
「最後は、リーシェ様の唯一の弟君のルイス様ですね!!」
「ル、ルイスか……」
三男、ルイス=ル=ローズバルト
彼はこの3人の中からいうと、1番やばい人物である。
小説を読んだ読者も、ネットでは「これが、ヒロインの弟?」「正直、怖い……」などと、ある意味話題になったことも。それでもルイスが好きって人もいたりしたけど……
もちろん、私は断然前者だ。
「ルイスは、私の弟なのよね?だったら、仲は良かったの?」
「それは、もう良すぎるくらいに。 ルイス様はリーシェ様と1番仲が良く、リーシェ様もルイス様のことを大変可愛がっておられましたよ」
(良すぎるくらいね……)
「お兄様達とはどうなのかしら?私と仲が良かったのだから、他の兄弟とも仲がいいはずよ」
「うーん。それは、なんとも.........」
マリーが困ってしまうのはよくわかる。すごく分かるぞ。
三男のルイスはまさに、大のシスコンなのだ。
それもただのシスコンではない。姉であるリーシェを女神のように慕い、時には監禁まで行ってしまう。
(まだ、幼いから希望があると思ったのに。)
姉のストーカーから、リーシェの私物を盗んだり、その所業はもうシスコンの域を超えている。
あのピンク色の綿菓子のようなふわふわの髪に、キラキラと子犬のような灰色の瞳、天使のような、愛らしい顔は見るの全てにため息をつかせる程だというのに。
リーシェと1つしか年が変わらないから、仲良くできると思ったのだけど。
(まだ、間に合うかな。)
希望は話を聞いている限りだと限りなく薄いだろう。それでも、まだルイスは9才だ。今のうちから、英才教育という名の、人格補正を行えばまだなんとか。
「御安心を、今は記憶喪失のため、混乱を招かぬよう旦那様が若様達にリーシェ様への接近命令をだしております」
マリーが私の考えを察したのか、3人が今はリーシェに近づけない状態であることを教えてくれた。
さすが、私の専属侍女ね。
「通りで、誰も尋ねてこない訳ね」
他の2人はさておき、リーシェのストーカーである?(現在は分からない)ルイスが来ないのは少し、いやかなりおかしい。
「と、言うことは今はつかの間の平和ってところなのかしら」
「リーシェ様が落ち着かれましたら、接近禁止命令は解除されると思います」
十中八九、解除されて1番にリーシェの元を訪れるのは弟のルイスだろう。
「はぁー」
マリーは、リーシェの問題兄弟達を解説した後、また紅茶を入れてくれた。
専属侍女は伊達じゃないのか、マリーの入れる紅茶は香りが高く、美味しい。
心を落ち着かせる時や、考え事をしている時なんかはピッタリだ。
「ふふっ」
「何?」
紅茶を飲んでいると、マリーが私をみて小さく笑った。
「お嬢様は、ゆっくりで大丈夫ですよ。ただでさえ、記憶がないというのはご不安でしょうから」
そう言い、たんぽぽのような、可愛らしい、そして小さな笑顔を浮かべる。
(兄弟は欲しいとは思ったけど、私にはこの天使のように可愛い、マリーが入れば十分かも。)
今日の私の専属侍女はあいも変わらず天使のような優しさで私の隣で笑顔を咲かせる。
この作品はエブリスタでも投稿しています。