記憶喪失中です!!
とりあえず、お決まり展開ですね。
「えっと.........。あなたは誰かしら」
そう。私がとった行動とは、記憶喪失になること!!まぁ、この状況からして、何も分からない今の私じゃ、記憶喪失となんら変わりはないしね。
「まだ寝ぼけていらっしゃるのですね。私です。あなたの専属侍女のマリーですよ」
マリーは私がとった悪い冗談を言っているか、もしくは寝ぼけているといるからか、特に深く考えることなく、そう答えた。
(記憶喪失という設定にするにははっきり言わないとダメね。)
できるだけお嬢様のような口調で、マリーに話しかける。
「うーん。悪いのだけど、あなたの名前もこの部屋も全く見覚えがないの」
「えっ.........。冗談ではなくてですか?」
「ええそうよ。そういえば、私なんていう名前だったっけ」
それを聞いたマリーはやっと状況が理解できたのか、先程まで血色のよかった顔が一気に真っ青なった。
(ちゃんと伝わったみたい。私意外と演技力あるのかも。)
「旦那様ー!!」
顔色を変えたマリーはすぐさま誰かを呼びに言ってしまった。
すると数分も立たぬうちに、白衣を来た人とピンク色の髪の男の人がすごい勢いで入ってきた。
「リーシェ!!」
大声で叫びながら入ってきた、ピンク色の髪の男の人は顔を真っ青にして、すぐさま私に近寄り肩を揺すった。
とてつもないほどのイケメンだな。と呑気なことを考えてしまいながらも、演技は忘れない。
「私が誰かわかるかい?」
「えっと、どちら様でしょうか?」
「そ、そんな。本当に記憶がないなんて」
私の言葉を聞いたあとショックだったのか、現状が理解出来ないのか、額に手をあて固まってしまった。
同じ髪色からして家族だろうか。
なんだかみていて良心がやられる。
「あの.........」
「はっ!ボルトン、リーシェの具合は?他にも悪いところは。それと記憶はいつ戻るのだ」
私が困っていることに気づいたのか、一緒に部屋に入ってきた、白衣をまとった、白髪のおじいさん、たぶん医者である人に問い詰めた。確か名前はボルトンって言ってたっけ。
「落ち着いてください公爵様。今のところお嬢様に他の異常は見られません。しかし.........」
「しかし、なんだ」
「記憶に関しましては、原因が分からないためなんとも」
「そうか。引き続きよろしく頼む」
「かしこまりました」
ふぅー。よかった。なんとか記憶喪失という設定のままいけそうだ。
その後、医者のボルトンの説明を聞き終えた公爵様が、今度は私の前に膝をついて座った。視線を合わせてくれてるのかな。きっと、優しい人なのだろう。
「すまなかった、リーシェ。なにか他に体調に異変はないか?なにかあったらすぐ言ってくれ」
「はい」
どこまでも丁寧な心地いい声。私のことを心から心配しているのが伝わってくる。
「リーシェ、私はお前の父である、ゲリック=ル=ローズバルトだ。ローズバルト家の当主でもある。私のことはお父様と呼ぶといい」
「お父様?」
「あぁ。そしてお前はこの私と今は亡き妻フローラの娘。リーシェ=ル=ローズバルトだ」
?
リーシェ=ル=ローズバルトだって?
その名前は.........。
「.........。」
「どうした?」
「ううんなんでも」
「そうか。それなら良いが。ちなみにリーシェには2つ上と1つ年上の兄が2人と、1つ下である弟もいるぞ」
「えっ.........。お兄様と弟がいるんですか?」
「そうだ。長男のヴァージルに次男のアースベルト、そして三男のルイスだ」
「やったー!!そんなに兄弟がいるなんて私嬉しいー。」
「……?。何故かすごい棒読みなきたがしたが」
「.........。そ、そんなことより、少し疲れて来たので寝てもいいですか?」
「あぁ。しっかり寝るんだぞ。その他の説明は起きてからにしよう」
そういうと、お父様はさっそうと部屋から出た。それに引き続き先程いた医者のボルトンと、マリーを含めた使用人たちも行ってしまった。
そう今はこの部屋には私1人。
シーン.........
「.......う、うそ、でしょ」
よくよく考えたら、この体の見た目からして違和感があった。
そして、私の名前と、家族の名前まで、私の記憶にあるもの一致している。これはもう確定だろう。
「ここって、『 リトセニア王国物語』の中じゃない!!」
どんどん書いていきますよ~!!!
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