3 闇の結界
更新遅くなりすいません。
「試練云々はさておき、侵入者を捕まえないと、皆様お困りの様ですわ。
3階層に移動しましょう。
あと、闇の結界の解除方法はわかりますか」
私は提案した。とりあえず、王位承継とか、面倒なことは、後でピョートル殿下にやってもらえばいい。
「結界を見ればわかると思う。
後、トノリ君かどうかも結界を見ればわかる。少し、特殊な術を使うからね」
「3階層へは、この仔が案内できます」
ライオンは、自分の足元でころころ転がっているスビートを前脚で押し出した。
「スビート、3階層に案内するようお願いしてもいいかしら」
「うん、僕、できるよ」
「おお、良いお返事ですね。成長したみたいでよかったです。心を鬼にして光の通路から放り出してよかった」とライオンが嬉しそうにおっしゃった。
なるほど、獅子は子を千尋の谷に突き落とすっていうものね。でも、スビートったら、この程度でこんなに喜ばれるなんて、どれだけ甘えん坊だったのかしら。
スビートを先頭に、私とピョートル殿下で3階層に向かう。
「この猫は、スビート君というのですか?」
「ええ」
「僕、猫じゃないよ。聖獣だよ」とスビートが後ろを振り返って主張した。
「そうみたいです。ザラトーリェーフというのは、黄金のライオンという意味らしくて、スビートという名前は私が付けました」
私が説明すると、ピョートル殿下はまた涙目になった。
「え、試練の第一階梯である聖獣ザラトーリェーフ様に会うというミッションを達成するために、何年も教師をやりながら光の通路の1階層を探し回っていたのに」
「あら、お気の毒」
ダンジョンの1階層にいるはずのスビートは、甘えん坊なので修行のために先代の聖獣ザラトーリェーフ様に外に出されていたのね。
しかし、失礼ですけど、不憫なイケメンはいいわね。なんだか、助けてあげたくなるわ。レオニード先生の姿だから、なおのこと、不憫が似合う感じです。
なぜ、レオニード先生の姿に戻ったのかを聞こうかしらと迷ううちに、3階層に着いた。
一面に黒い幾何学模様が展開されている。
「あ、あぶない」
ピョートル殿下に向かって光の玉が飛んできたのを、私はとっさに手でつかんだ。
妖精なのだろうか、目がぎょろぎょろした小人だ。しかし、興奮している様子で、キーキーと叫びながらもがいている。
「どうしたの?落ち着いて」
スビートが言った。
「知り合い?」
「うん、光の妖精さんだよ。前に遊んでもらったんだ。なんだか興奮しているね」
妖精は、なかなか正気に戻らない。
「あの幾何学模様はトノリ君で間違いありません。
また、あの結界は、術者が常にエネルギーを送り込むタイプのようです。
結界の解除方法は、トノリ君を結界から連れ出すか、最悪、トノリ君を殺すか、トノリ君を説得して解除してもらうかのいずれかですね。
あの結界の術式はトノリ君が設計したもののようで、外から解除魔法をかける方法は、術式の解析に時間がかかると思います」
ピョートル殿下が教えてくれた。
「闇の結界の先には入れないのですか」
「結界よりも強いエネルギーをぶつければ、入れますが、中では闇の攻撃を受け続けることになりますので、徐々に体力が落ちると同時に、狂います。
トノリ君の結界の厄介なところは、精神攻撃を伴うところですね。
私は、光のスキル持ちなので、結界に穴をあけることはできそうですが、中に入ると耐えられるか自信がありません」
「3階層にいる光の妖精は、みんな、人間の世界に行って病気になった子たちなの。
だから、精神攻撃を受けると、大変だよ。どうしよう」
スビートが涙ぐんだ。
ピョートル殿下は私がつかんでいた光の妖精に手のひらを当て、何かをつぶやいた。光の妖精は、落ち着いた。
「効いたみたいだ。よかった。外れスキルだが、役に立ったね」
「大丈夫?」スビートが話しかけた。
「ああ、なんだか、自分がすごく悪い子になった気がして、辛くなっちゃった。
君は、聖獣ザラトーリェーフくんだね」
「そうだよ、あのね、名前を付けてもらったの。僕、スビートだよ」
「助けてくれてありがとう。スビート。仲間はどうなったかわかる?」
「ここにたくさんいた子たちだよね。ごめん、わかんないや」
「スビート、結界の周りを探して他の妖精をここに避難させてくれるかしら。
あと、ピョートル殿下は闇の結界を破っていただけますか。
私は、打たれ強いみたいなので、中に入って光の妖精がいないかを調べます。
その間、殿下はここで、混乱している妖精を正気に戻していただけませんか」
「そうしましょう」




