2 王宮ダンジョン
王宮の地下ダンジョンは、アルテリア学園の中庭にある。
王宮ダンジョンとも呼ばれている。
普通、ダンジョンは、魔素溜まりに発生するため魔素が充満しているが、このダンジョンは魔素が浄化されるという特殊な性質を持っている。
学園の授業でも使われており、私も何回か行ったことがある。
魔獣を入れておくと、魔素が浄化されるためか弱くなるので、低学年向けの魔獣討伐初級者講習に使われている。
ゲームでも、3月16日のイベントで使われた後に解放され、立ち入ることができるようになっていた。
確か、授業中にスタンピードが発生するというイベントだった。
その後は、休みの日に入ったりすることもあったけれど、魔獣はあまりいないし、1階層しかないためすぐ探索も終わるので、あまり使わなかった。
チュートリアル用の簡単なダンジョンだ。
《王宮ダンジョンの最深部って何?
1階層しかなかったと思うのだけれど》
《ああ、お嬢様ときたら、何もわかってらっしゃらない。
王宮ダンジョンには隠し部屋がありまして、そこから先に5階層ございました》
隠し部屋というのは、部屋があることがわからないように設置されている部屋で、ゲームではダンジョンなどで普通に操作していると入り口が見つからず、一定の手順を踏まないといけない場所を言う。
《え、王宮ダンジョンに隠し部屋なんてあったの?》
《入り口から右の通路を進んでいくと、空き部屋があったのは覚えていらっしゃいますか?
そこで壁にあるレリーフを触ってから中央に行くと、落とし穴があり、そこに落ちると2階層に進めます。
あと、聖獣ザラトーリェーフの攻略を進めるとムービーが流れて2階層に導かれますね》
く、悔しい。
なんなのかしらね。
この、ゲームをやっている時の、自分で気がついていない隠し部屋があると知った時の悔しさ。
一方、自分が先に気が付いていた隠し部屋を、『初めて知った』とか言う人を見つけた時のどやーみたいな得意さ。
私は食堂のテーブルの下で、食事を終え、満足そうに手をなめているスビートに聞いた。
「ねえ、スビート、王宮の地下にあるダンジョンのことは知っているのかしら?」
「うん、知ってるよ。僕、そこを通ってこちらに来たんだよ。
聖霊界とこちらをつなぐ亜空間のことだよね?」
「聖霊界?あなたがここに来る前にふわふわ浮いていたところよね?」
「そうだよ、えっとね、そこは聖霊界につながってる。あと、眠れなくなった聖霊もいたよ」
「眠れなくなった聖霊?」
「聖霊は、お役目を果たすためにこちらに来ている時は、眠りながら神様にお話をしているの。
こちらにいる時間が長くなると、だんだん眠れなくなるから、お役目を代わってもらう聖霊を見つけて聖霊界に帰るの。
だけど、うっかり聖霊界に帰るのを忘れてしまうと、眠れないまま聖霊界に帰れなくなっちゃうから、気を付けろってママが言ってた。
聖霊界との通路には、そうやって眠れなくなった聖霊が、聖霊界に帰れるまで待ってるんだよ」
スビートは、さすがに聖獣様だけあって詳しかった。
だけど、ここにいる3人(2人と1匹)の中で、王宮ダンジョンの隠し部屋について知らなかったのは、私一人だ。
悔しい。
私は、この悔しさを胸に、午後から図書館に行って王宮の地下にあるダンジョンについて調べることにした。
それに、千里靴があれば、私も温泉を探しに行けるかもしれないわ!
わくわくしてきた。




