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終末の黙示録  作者: 無神 創太
第三章 変貌の街

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第73話 殺意

 物音一つしない、市内の総合病院。日当たり悪く暗さある廊下には、傾き倒れた車椅子が一台。

 待合室のソファには、血の付いた絵本。他にもブロンド髪の人形や、玩具の機関車が残されている。


 ……小児科。ここか。


 頭上の【小児科】と書かれた看板を確認し、目的地としていた小児科の診察室へ。

 足元に散らばるは、カルテにガーゼや聴診器。無人の椅子と机に、血の付いた診察台。医者と看護師なき診察室は、荒れ果て散々たる状況だった。


 吸入器。これだな。


 薬品庫を物色して、薬と吸入器を入手。着用する黒いシャツとパンツのポケットに入れ、用済みの診察室をあとにする。

 来た道を戻り向かうのは、正面ではなく裏口。正面玄関の方では車が突っ込み、今は通ること叶わないからだ。


 いつからだ。屍怪を見ても恐怖より、殺意が上回ったのは。


 裏口から出た先にあるのは、車が三十台ほど残される駐車場。曇りがかった空の下には、醜悪な身形へと変貌した屍怪の姿があった。

 先頭を歩くのは水色の病院服を着た屍怪で、顔や首元のシワが目立ち髪も白く高齢。腕に針が刺さったまま、点滴スタンドを引きずり迫りくる。


「……」


 ベルトにホルダーを固定し、持ち歩いていた刀。鞘上部にあるレバーを横へスライドさせ、安全装置を解除。

 満を持して抜刀するは、深き漆黒の刃。持ち手の部分にあった凹みは、膨らみができてトリガー化。人差し指で引いては、刀身は熱を帯び赤く染まっていく。


「……来いよ」


 特殊な鉱石で作られた、愛刀である黒夜刀(こくやとう)。鞘上部の台形状に厚い機械装置では、熱を作る機能と蓄電。

 銀の縦線が二本入った鞘下部にはソーラーシートが埋め込まれており、日あれば常に充電される使用。満タンとなれば三十分ほど高熱を発すことでき、刀身を燃えるような赤へと変化させる代物だ。


「……(ほむら)


 黒夜刀の刀身を赤く染め、高熱を発す性能を焔。斬るというより焼き斬る斬撃は、容易に目前の屍怪を両断した。


「全て。ぶっ殺してやるよ」


 駐車場を徘徊し寄ってくる屍怪は、確認できる範囲で五体ほど。今までの戦闘において培った経験値から、普通に戦っても相手できそうなもの。

 黒夜刀・焔の性能は、現状において過剰と言える。しかし屍怪を目前に対峙し、憎悪と憤りの感情が抑えられなかった。


「ウアアアアア」


 斬撃により両断されては、呻き倒れていく屍怪たち。

 結果として駐車場の屍怪を、全て一掃。地に伏した様を一瞥し、病院の敷地をあとにした。


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