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終末の黙示録  作者: 無神 創太
第二章 生者の帰路

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第67話 忍び寄る黒い巨影9

 刀を抜刀してゆっくり歩む中、ブラッドベアーも気づき近づいてくる。

 中間地点にて相対す。牙を見せ睨むブラッドベアーに、視線を逸らさず対抗。互いの間合いを保ちつつ、両者ともに未だ動かず。今にも始まる戦いを前に、緊迫した空気に包まれていた。


「ちょっと! 蓮夜!! 何をやっているのよっ!!」


 相談なき突然の行動に、疑問を投げかけるハルノ。初動の機会を待つ両者に、叫びは開始を告げるゴングとなった。

 先手を打って前進。刀を水平に滑らせ、全力を持って斬りつける。


「グルルルル……」


 声を震わせ警戒をする、目前のブラッドベアー。

 初撃は腕を捉えるも、深手とはならず。しかしそれでも、酷く憤慨しているようだった。


「うおおおぉぉ!!」


 隙あらば反撃の猶予を与えず、先制して連続の攻撃。頭上に構えた刀を、巨体に狙いを定め振り下ろす。

 左肩を捉える、全力の黒き刃。しかし厚い毛皮に守られているためか。ブラッドベアーにダメージの色は薄かった。


「グルオオオ!!」


 間髪入れぬ連続攻撃は、ブラッドベアーの怒りを買ったようだ。鋭い牙を見せて身をよじり、威嚇するよう苛烈なる咆哮。

 振り上げられる右腕。身を屈めて回避するも、風圧は並のものではない。


 これくらいで……怯んでたまるかよっ!!


 極限まで高めた集中力を持って、一進一退の攻防戦となった。隙を突いては幾度も斬撃を浴びせ、振り払うような反撃を紙一重で。時には大きく後退して、確実に回避。

 ブラッドベアーの一撃は丸太を薙ぎ払い、大きく削り爪痕を残す威力。一度たりとも、まともに受けるわけにはいかなかった。


 集中だっ! ほんの僅かな気の緩みも、一瞬の迷いも許されねぇ!!


 閃光が飛び交うような、熾烈な攻防。ビリビリと肌を刺す、異様なまでの緊張感。

 それでも怖気つくことなく、確実に斬撃を積み重ねていく。


「蓮夜さん!! 後ろ!!」


 足場の上にいる美月は、唐突に大きな声で叫んだ。

 目を向けると背後にあったのは、鉄の壁。回避するのに後退していたため、倉庫の端まで追い詰められていたようだ。


 くっ……。マズいっ!!


 壁際まで来たからと言って、ブラッドベアーは手を抜くわけでもない。

 振り上げられる、人智を超えた剛腕。無慈悲なる攻撃は、目前に迫っていた。


 避けられないっ!! こうなったら、受けるしかねぇ!!


 回避をやむなく諦め、刀を盾に防御の姿勢。足腰に力を入れては、両の手できっちりと支える。


 ……おっ、重すぎる!!


 盾とした刀に直撃する、ブラッドベアーの剛腕。

 対人間ではありえないだろう。圧倒的なパワー。強烈な衝撃は体の芯まで響き、抗う術なく弾き飛ばされた。


「がはっ!!」


 数メートル飛ばされた所で止まるも、防御の上からでもダメージは大きかった。

 目前の景色は歪んで霞み、意識も遠く曖昧になるレベル。本来ならすぐに体勢を整えるべき場面でも、足元が定まらず立ち上がることさえ難しかった。


 早く立たねぇと。ブラッドベアーはもうすぐそこまで、来ていやがるってのに。


 こちらが立てぬからと言って、甘えを許さぬブラッドベアー。今にも追撃を喰らわせようと、四肢を躍動させ迫りくる。


「行くよっ!!」


 唐突に耳に届く、ハキハキとした彩加の声。

 木材を釣り上げるに、使用されるクレーン。凹型の大きなアームは宙を加速し、ブラッドベアーのいる方へ爆進していく。


「ガウッ!!」


 予期せぬタイミングで横腹を突かれ、驚きの叫びを漏らすブラッドベアー。突然の衝撃には耐えられず、巨体は数メートル先へ飛ばされていった。


「……どうなってんだよ」


 突然の展開を飲み込めず、アームの来た方向へ視線を向ける。

 足場のクレーン前にいたのは、手を挙げて喜ぶ彩加と葛西さん。どうやら二人が上手く操作をし、援護に回ってくれたようだ。


「二人がやってくれたのか。……本当に助かったぜ。戦っているのは、俺一人じゃない! 今ここで、ブラッドベアーを倒す!!」


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