表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末の黙示録  作者: 無神 創太
第五章 本州上陸

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

312/361

第309話 ファッションショー

「似合っている、かしら?」


 ハルノが身に纏うのは、ゼブラ柄のファージャケット。ハート模様の白いプリーツスカートと、大胆で華やかなギャル風の装いだ。


「なんか俺も、こういう服は着ないから……」


 胸に大きく【S】と描かれた黒地に黄色の袖をしたスタジャンに、右足に龍の刺繍が施されたバギーパンツを履いている。普段の落ち着いた服装から一転し、ストリート系のファッションに身を包んでいた。


「ハルぴょん!! 超オシャレ!! マジヤバくね!?」

「うほぉお!! 蓮夜さんも超キマってるじゃないっすか!!」


 服を提供したトミぽよとトモキは、新たな装いに目を輝かせて歓声を上げる。


「でもやっぱり、脚元が寒いというか……」

「俺もなんかダボダボして、少し動きにくい気がするぜ」


 しかしハルノはスカートの露出部分に寒さを感じ、バギーパンツのゆとりに違和感を覚えていた。


「ハルぴょん。オシャレには多少の我慢は必要じゃん」

「えっーと、オシャレよりもまずは保温性や機能性を重視したいのよね」


 トミぽよはオシャレを優先する一方で、ハルノは実用性を重視している。

 季節に合わせた衣替えが必要な状況。我慢してまでオシャレを追求するのは、適切とは言えないと感じていた。


「これなら悪くないわね」


 ハルノはオレンジのボアジャケットに、白いパンツを合わせた装いに満足げだ。

 今までと変わらない色の組み合わせは、鮮やかなオレンジとクリーンな白の対比。ハルノらしいと言うか、明るく爽やかな印象を与える。


「俺としても、ここが落とし所って感じだな」


 暫く続いたファッションショーの後に今回は、紺色のアウターにベージュのパンツを選んだ。

 こちらも色合い変わらず、定番のスタイル。二人の所有する服には派手な物が多く、比較的して落ち着いた選択だろう。



 ***



「こんな廃バスっすけど、それなりに過ごしやすいんっすよ」


 トモキは終末の日以降に、この場所を住処としていると語った。

 廃バスの前には焚火がくべられ、料理や暖に使用するとの話。置かれる四脚の椅子に各々が座り、キャンプにでも来ている気分にさせた。


「不便とかはないのかよ?」

「不便っすか。まあ今となったら贅沢は言わないっすけど、特には風呂っすかね」


 水道が使えないため入浴に、苦労しているとトモキは言う。


「近くに川があるんだけど、そこから水を汲んでドラム缶に入れるの。それで火を焚いてお湯を沸かして、それがお風呂。マジでヤバくね?」


 トミぽよは生活の実態を語り、やはり万全とはいかない様子だ。


「車内に備蓄があったようには見えなかったのだけど、食料はどうなっているの?」


 廃バス内を案内され確認していたようで、ハルノは気になっていたところを尋ねた。

 現在の状況下では、食料の確保が重要な課題である。補給場所が確保できているのならば、少しでも分けてもらいたいところだ。


「それがあ〜、最近ヤバめなの」

「周辺のスーパーやコンビニはほとんど回りましたから。食料については今日も探していて、オレっちたちも苦労をしていたんっす」


 トミぽよがため息を吐いて言えば、トモキは置かれる現状を説明した。

 終末の日から時間が経過し、食料問題は生存者にとって深刻な課題となっている。初期の頃は店などで何とか補給できても、半年も経過すれば難易度は高くなってきているのだ。


「ああっ!! そう言えば!! スーパーやコンビニとは違いますけど、行きつけだった心当たりがあるっす!!」


 唐突にトモキは声を上げて、説明したのは盲点となる場所。景品として食料や飲料があることは、訪れた経験から間違いないという。


「パチンコ店か。たしかにやらない人なら、行かないだろうし。穴場にはなるのか」


 周辺を歩き回った二人が言うのならば、スーパーやコンビニは望み薄なのだろう。他よりも可能性があるのならば、訪れてみる価値はあるのかもしれない。


「おいっ!! トモキ!! あれだけギャンブルはやめろって言ったのに!! まだやってんのかっ!!」

「あはは、ほんの遊び!! 遊び!! それに今回はほら、行った経験が活きるって話!!」


 トミぽよが厳しい口調で問い詰めると、トモキは笑いしながら言い訳をした。

 二人も食料の確保には困っているらしく、パチンコ店への案内に積極的な姿勢。互いの利益が一致することから、四人で協力して向かうことになった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ