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終末の黙示録  作者: 無神 創太
第四章 新たな旅立ち(下)

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第265話 函館7

 ―*―*―蓮夜視点 ―*―*―


「ショピングモールの駐車場か……」


 五稜郭組の使者から送られてきた手紙には場所が記され、話が具体的なところまで進んだとしみじみ思う。


「函館山と五稜郭からおおその中間地点。しかも見通しが良く、隠れる場所も少ない。五稜郭組が中立性と公平性を保とうしたのは明らかだろう」


 仲村マリナは指定された場所に、特異な点はないとの見解を示す。

 日時については任せるとされ、ボールは今こちら側にある。一方通行の決定にならぬよう、配慮されての提案であろう。


「待ち合わせ時間は、明後日の午前十時。これで決まりだ」


 五稜郭組へ手紙を届ける時間も考慮し、一日の余裕を持って日時を指定。


「待ち合わせの場には私と、他にも二名を同行させよう。五稜郭組が何かしてくるとは思えないが、屍怪の対応を含め念のためだ」


 仲村マリナは最後まで責任を持つと意志を示し、段取りや諸々に不都合ないよう配慮してくれた。

 平和的に話が進むと想定されるも、終末世界にいるのは屍怪。函館にも相当数がいると想定され、安全地帯の外となれば油断は命取りだ。


「当日に備えて、必要な準備は怠らないように。武器の手入れもしっかり行なっておいてくれ」


 仲村マリナは万全の体制で望めるように、注意を促してから去っていった。

 五稜郭組のスパイ容疑が晴れてから、愛刀の黒夜刀を含め荷物は返還された。ハルノたちとの再会は待ち遠しいところも、屍怪に対する対策は万全でなくてはならない。



 ***



「良かった。蓮夜。無事だったのね」

「ああ。ハルノも元気そうだな」


 ショピングモールの駐車場にて先んじて待つハルノと再会し、心配は安堵へ心がふっと軽くなるのを感じた。

 生きて会うのは、何日ぶりだろうか。健在な姿を捉えた瞬間から、それだけで胸が高鳴り踊った。


「……ミサキは?」


 四百台は止められそうな広い駐車場を見回し、あるべき姿が見当たらないことに問う。現場にいるのは口元に緑のターバンをした二人に、口元に白いターバンをした二人。

 他には茶髪で小麦色の肌に体格が良く、右目下に泣き黒子の目立つ男性。茶色の半袖シャツにはサンマと虹がプリントされ、ジーンズを着用して佇む。そして同行を志願した仲村マリナと、人数を数えても全員で八人しかいない。


「無事よ。顔見知りがいるらしいから、今は五稜郭に残っているわ」


 ハルノの説明に一先ず納得しては、とりあえずのところも安堵。

 しかしハルノと言葉を交わす中でも、駐車場に漂うのは緊張した空気。函館山組と五稜郭組の面々は時々に視線を向け、互いを牽制しながら状況を探り合っている雰囲気だ。


「君が一ノ瀬蓮夜君か。彼女から話は聞いている」


 発言をして近づいてくるのは、五稜郭組でも白いターバンのない男性。雰囲気から一兵卒ではなく、指揮権あるリーダー格であろう。


「あなたは……」


 一方的に知られている様子も、こちら情報なく完全な初対面。説明をなくして何もかも、理解のできないところ。

 どんな相手か知らなければ、決して油断はできない。


「オレは五稜郭組リーダーの魚村海斗。仲間は人助けのつもりで行動したが、意図せず二人を引き離すことになりすまなかった」


 自己紹介をしつつ当時の事情を説明し、魚村海斗は誠実に頭を下げた。


「あの、えーっと。いえ」

「私も同じように謝罪をされたわ」


 唐突な対応に拍子抜けしてしまい、ハルノも事前に頭を下げられたと言う。


「助けられはしたわけですし。こうやって無事に再会できたわけだから、なっ!?」


 誠実な対応であれば責める気もせず、結果が良ければ許容できるところ。ハルノに顔を向けて意見を求め、事は後腐れなく解決でよいと思った。


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