表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末の黙示録  作者: 無神 創太
第四章 新たな旅立ち(下)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

248/361

第245話 サービスエリア

「ここがその、サービスエリアか」


 高速道路を走って到着したのは、有珠山サービスエリア。

 ミサキの言った通りに、前方は灰色の街と青き海。後方には緑の山が広がって、とても開放的な場所である。


「車もそこそこ残っているわね」


 駐車場に残る車両を見て、ハルノは確認するように言う。

 五十台以上は止められそうな、中規模クラスの駐車場。三列で構成された前列には、軽自動車や乗用車にワゴン車。後方へ行けばワンボックスカーや観光バスあり、他にもトラックと二十台ほどは残されている。


「とりあえずは、中の安全確認だな。すぐに始めようぜ」


 車両ない後方端にて車を止め、【有珠山】と書かれた白い建物。民家二軒を連結させたくらいの広さで、左側は二階建てで右側は平屋の構造。左右ともに入口があって、どちらからも入ること可能。

 駐車場と建物の境界には、横に広がって三十近くの白いポール。過ぎた先には赤色や灰色に、黒色とランダムで足元にタイル。一部の場所では魚が描かれて、上手い配置で並べられている。


「……誰もいないな」


 先頭で右の建物へ入って、売店と思わしき空間。左手には飲料を並べる冷蔵庫あり、中央に置かれるは三台の商品台。右手の商品棚は壁と一体型で、五段のものが四区画。入口前に立って全容はほぼ把握でき、店内はそれほど広くはない。


「商品が全く無ければ、お金も全く残ってないし。残されているのは、キーホルダーくらいか」


 奥へ進みながら探索を続けると、最奥にて開いたままあるレジ。無理やりこじ開けた形跡あり、人力で破壊されたのは間違いない。

 終末の日より混沌となり、生者が持ち去ったのだろう。右手のお土産コーナーに残るは、有珠山の形を模したキーホルダー。それも多くは盗まれたようで、僅かに二つしか残っていない。


「蓮夜。左側に食堂があるわ」


 まだ見ぬ所へ視線を向けて、ハルノは確認のため促す。

 売店を出て廊下を進めば、左に三台の自動販売機。右に男女別のトイレがあって、さらに奥は食堂と券売機が置かれる。テーブルに椅子と四十席はあり、完全な空席と少し物悲しい雰囲気だ。


「厨房とトイレを、見回ったほうがいいわよね」

「カレーにラーメン。どっちも美味そうだな」


 緩みなくハルノが警戒する中で、目に留まったメニュー表。

 写真として載る料理は、どれも目を惹き魅力的。カレーやラーメンに加えて、天ぷら蕎麦に魚の定食。全て終末の日を境に、拝むこと難しくなった品々。目の前に提供されること想像すれば、今にも席に着いて食したくなる。


「黒木さんたちは、トイレを確認しているようね。私も見てくるわ」


 トイレは男女別にあるため、人手が足りぬとハルノは向かっていく。

 サービスエリアのトイレは、大人数が使用可と大規模。見る所が多いとなれば、加勢へ向かった次第だろう。


「なら俺は、厨房を見るか。せめて何か、使える食材が残されていれば。……って言っても、賞味期限は過ぎているよな」


 独り言を呟き勝手に納得して、食堂内右の受付と配膳台の隣。

 奥へ進めば調理機器や、冷蔵庫と残る厨房。ステンレス製品が多く、全体的に銀で包まれた空間だ。


「屍怪はいなさそうだし。冷蔵庫の中は……」


 一通り確認して見るも、誰もいなければ物色。

 しかし冷蔵庫を開けてみても、上段となる広い冷蔵室。中段の冷凍室に下段の野菜室も、何一つ物は残されていなかった。


「売店にも残されていなかったし。まぁ、あるわけないか」


 先人がいたこと明白であるから、食料は全て持ち去られたか。期待はほとんどしていなかったので、未練もなく早々に諦めがついた。


「一通りは見たはずだし。あとはハルノたちだな」


 ひとまずは合流をするため、厨房を出ようとするときだった。


「……うおっ!!」


 不意に左側で顔を会わすは、音もなく近寄ってきた存在。

 一通り安全確認を終え、心はゆとりと緩んだ状態。突如として出現した者に、一瞬にして心臓は止まりそうになった。


「……ちょっと。何を驚いているのよ」


 一連の出来事を見ていたハルノは、状況に戸惑っているようだった。

 左側の壁に取り付けられていたのは、二メートルはあろう大きな鏡。食堂に入ってすぐの場所にあり、動きもなければ見落としていたのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ