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終末の黙示録  作者: 無神 創太
第四章 新たな旅立ち(中)

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第234話 地獄の谷17

「なろぉ!!」


 頭部の破壊は確実性が高いものの、効率を考えると力の無駄使い。

 狙うべき場所を変更し、それでも急所の首だ。屍怪においては絶命とならずも、目と口しか動かぬなら危険度は低い。迫ってくることなければ、それで十分との判断だった。


「コノ!! コノッ!!」


 別個体と対峙していたウィルは鬼気迫る表情で、突っ伏した屍怪にクワを振り下ろしている。

 止めを刺すためか何度も、振り下ろす度に散る肉片。すでに頭は潰れ動かずあるから、やや過剰とも思える攻撃のあり方だった。


「行くぞっ!! ウィル!!」

「ハイっ!! わかりマシタ!!」


 動かずしてもう十分と制止し、素直なウィルと撤退を開始。


「……出口か。でもこのままじゃあ、屍怪が外へ出て来ちまう」


 地下駐車場から坂道を前にし、振り返って立ち止まる。

 外とはいえ比較的に安全であり、動き易かった登別と地獄谷。これからはショベルカーを修理して、土砂の排除が作業として待つ。また水や食料の補給が必要となる可能性もあり、多数の屍怪が出てくるのは望ましくない。


「……ダメか。……反応しねぇ」


 壁際にある【↑◎↓】のスイッチから、【↓】を押してシャッター降りることを願う。

 しかし停電しているためか、うんともすんとも言わず。八割ほど閉まった状態で、右側に傾きのあるシャッター。閉めようとした痕跡あり、左側に不具合あるのかもしれない。


「蓮夜。ポータブル電源をお願い」


 ハルノに何か案あるようで、渡される黒く四角い機器。

 すぐに構えるのはコンパウンドボウで、狙いと定めているのは左端。どうやら矢を用いて破壊をし、シャッターを降ろすつもりようだ。


「頼む」


 もはや結果が伴うこと願うのみで、一直線に放たれる弓矢。

 しかし相手がシャッターなれば、弾かれて無残に落下。願い祈りも虚しく、好転には繋がらなかった。


「もう無理デス!! 逃げまショウ!!」


 屍怪が近くに迫っていることで、危機感を募らせるウィル。

 手の届く高さにシャッターなければ、力尽くと強硬手段も選べない。加えて時間的な猶予もなく、屍怪の侵出を止める手立てはなかった。


「……そうだな。ここはもう、諦めるしか。行こうぜ!! ハルノ!!」


 打つ手なくして逃げる以外に、選択肢はないと撤退を判断。

 悔しくも結果が伴わず、屍怪が外へ侵出する事態に。それでも全力で対応したから、何もかも仕方のない話だ。


「……これは、賭けね」


 ハルノにはまだ考えがあるのか、神妙そうな顔をして呟く。


「みんな!! 少し離れてっ!!」


 ハルノは全員に対して促し、坂道へ向かっていく三人。


「ハルノっ!? どうするつもりだよっ!?」


 思惑が見えずして問うは、人払いをするその真意。


「銃で撃つわっ!! 上手くシャッターが落ちればいいけど。ダメなら屍怪の刺激にもなるから。動きを加速させる可能性もあって、これは一種の賭けね」


 ハルノが持ち出したのは新千歳空港にて、譲り受けたハンドガンだった。

 ここぞと言うときに、使える強力な武器。それでも発砲音を響かせるから、相応のリスクは孕んでいる。


「放っておいても、どちらにせよか。ウィル!! ポータブル電源を頼むっ!!」


 決して失えぬ物を託して、黒夜刀を構えて待機。

 何も行動をしなければ、屍怪は外へ浸出するだろう。失敗しても結果が同じであれば、リスクはあってないようなもの。


「もし屍怪が飛びかかってきても、俺が逃げる時間を稼いでやるぜっ!! ハルノ!! 外すなよっ!!」


 地下駐車場から出ようとする屍怪を前に、シャッターを降ろすため最後の賭け。

 ウィルがポータブル電源を取りに戻り、再び坂道へ向かったタイミング。時間的にも猶予はなく、放たれる弾丸のみが頼り。


「誰に言ってるつもり!? これだけ近い距離なら、外すわけないわっ!!」


 十メートルもない距離なれば、腕に覚えのあるハルノ。

 自信を持って発砲し、放たれていく弾丸。空気を振動させる発砲音を響かせ、引っかかりあるシャッター左端に一直線。


「ヴガァァ!!」


 発砲音に反応してか、勢いを増す屍怪。よもやシャッターが降りずして、外へ出ること止められない。


「ガラガラガラッ!!」


 突如として勢いを増して、降り始めたシャッター。

 弾丸は適所に命中したようで、引っかかりを破壊したか。手を伸ばし迫る屍怪を前に、完全な封じ込めを成功した。


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