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終末の黙示録  作者: 無神 創太
第四章 新たな旅立ち(中)

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第198話 再出発

 青とオレンジの色をした、二台のツーリング自転車。ペダルに足を置き進む国道は、森を切り開き造られた道。

 左右ともに背の高い木々が生え、奥まで続いては終わりが見えない。間違って入り込んでしまったなら、迷ってしまうこと避けられないだろう。


「うっほぉおおっ!! 久しぶりだぜっ!! この全身で、風を切る感覚!!」


 傾斜の緩い坂道となっては、自然と上がる自転車の速度。

 否応なく髪は後ろへ流れて、体感温度は二度ほど下がる感覚。風を受けるというのは、昔からとても好きだった。


「今はこうして走っているから、体感は良いでしょうけど。地球温暖化から変わって、沸騰化なんて言われる時代よ。残暑も厳しく水分補給は小まめに、適度に体を休めながら進みましょう」


 熱中症に罹ることを心配し、対策を怠らぬよう促すは朝日奈(あさひな)ハルノ。オレンジ色に近い明るい髪を、高い位置で結んだポニーテール。母親が日本人で父親が外国人と、ハーフで綺麗な翠色の瞳が特徴的。オレンジのブラウスに、白いパンツを着用した幼馴染。

 暦の上では秋になろうとも、まだまだ残暑の厳しい九月。朝夜こそ気温は下がろうと、昼間ともなれば三十度を超える日々。北海道とはいえ近年では暑い時期に、外出自粛警報が発令されることも。自宅で過ごしてもクーラーなければ、体温調節機能の落ちた老人。学校では体育の授業中に、生徒の死亡も発生している時代。避暑地と考えられていた時は、今は昔と遠い日のことである。


「了解っ! まだまだ長い道のりだしなっ!! 何より体が大切な資本だから、病気や怪我には気をつけないとだぜっ!!」


 坂道を下っているから、ペダルを踏む足は軽い。

 千歳市を過ぎ次の目的地は、隣の街である苫小牧市。港あることから船でもあれば、乗って本州を目指す算段だ。



 ***



 ……暑い。さっきまですこぶる快調で、とても気分が良かったのに。

 まさか、こんなことになるなんて。マジで思ってなかったし。考えうる限り、最悪の事態だぜ。


 自転車を降りては、路肩にて停車し奮闘。何か尖った物でも踏んだのか、タイヤからは空気が抜け潰れてパンク。

 修理キットは所持しているから、パンク場所の特定を行なっていた。


「どう? なんとかなりそう?」


 付き合い立ち止まることになったハルノも、修理の進捗を確認と近くに寄ってくる。

 パンクをした場所は、自転車の前輪。進行方向を決めるに、言うことを聞かないハンドル。現状のままだと、走行はとても無理といえる。


「……全く見つからねぇ。修理方法は教わったんだけど。場所を特定できなければ、対策の講じようがねぇよ」


 自転車を使用すると決めてから、不測の事態を想定し準備はしていた。

 中でもパンクの修理方法は、いの一番にと経験。目視で発見できなければ、空気の抜ける音で確認。他にはチューブを水に入れ、気泡を出させ発見する方法。もしくはチューブ自体に水を通し、穴の空いた場所を見つける方法だ。


「水があれば、違う方法も試せるんだけど。こんな場所じゃあ、無理だしな」


 周囲を見渡しても見えるは、緑に溢れた木々と森林。


「先に進めば民家があると思うから、そこまで手引きするしかないわね。もし民家がなくても、先にはウトナイ湖があるわ。水を使用したいなら、最悪そこまで耐えるしかないかも」


 ハルノはリュックから地図を取り出し、記載ある情報から施設の先読みをする。

 新千歳空港から離れまだ、一時間も経過していない所。再出発してから早くも、出鼻を挫かれた形だ。


「民家があるわっ!! 蓮夜!! 早く来てっ!!」


 先行して物見をするハルノは、手を振って呼んでいる。


「やっと、休めるってわけか」


 炎天下の中でリュックを背負い、自転車を引いて一時間ほど。

 暑さの影響で額からは、汗が滲み首まで伝わる。全身に熱が溜まる事態となっては、一刻も早く涼みたいところ。


「他に休めそうな場所は、どこにもなさそうだし。行ってみようぜ。自転車を修理するにも、時間と場所が必要だしな」


 太陽が頭上にある中では、強い日差しを受けてしまう。日影に入れば体感温度も、多少は下がるというもの。

 先にある山を開いた高台には、民家三軒ほどの集落。ここは休憩に自転車の修理も兼ねて、ハルノと二人で訪ねることに決めた。


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