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終末の黙示録  作者: 無神 創太
第四章 新たな旅立ち(上)

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第183話 空の玄関口44

「サチたちは先に行けっ!! 奴は走るんだろっ!? 誰かが相手をしないと逃げきれないっ!!」


 銃器を持つ自衛隊員と自警団員は、顔を見合わせ殿の役を担うと言う。

 しかし迎え撃つと残るは、銃器あっても僅かに二人。頭部は西洋兜でガッチリ防御され、倒すにとても容易とは思えない。


「二人でなんとかなるのかよっ!? 今のを見たろっ!! 二十体近くを一瞬で倒す、攻撃力と攻撃の範囲!! ここはみんなで残って、戦ったほうがいいんじゃないかっ!?」


 どんな苦しい状況であっても、人数いれば可能性は高まる。

 人の数こそ力であると、説いていたと言う山際所長。今このときこそ立ち上がり、ともに戦うべきだろう。


「ダメだっ!! あのバケモノ相手には、何人でも結果は同じだっ!!」


 核心をつく発言をしたつもりも、自衛隊員に一喝を受ける。

 残る二人の目的は迎撃ではなく、単に時間を稼ぐこと。上手く陽動を絡めて、注意を引くとの話だ。


「わかったっ!? 行くよっ!! 蓮夜!!」


 話を聞いては納得したかと、サチに避難を急かされる。

 残る二人は手を挙げて、左右に別れて走り展開。今まだ連絡通路を歩くブッチャーを、見据えての行動を開始した。


「クソっ!!」


 前へ振り向いてやむなく、国際線ターミナルへ駆ける。

 二人は上手く時間を稼ぎ、戻ってくると言う。それでも倒せぬ相手ならば、逃げることも容易と思えない。


「ダダダッ!! ダダダッ!!」


 後方にて奮闘する二人の、発砲音が耳に響いてくる。


「このぉおお!! 離せっ!!」


 しかし一分と経たず叫びが響き、気を引かれては振り向き後方へ。

 肩を掴まれる自衛隊員と、向き合う形で立つブッチャー。連絡通路の中央付近にて対峙し、間違いなく窮地に陥っている。


「ハルノっ!! サチっ!! 二人が危ねぇ!!」


 目に映った光景に足を止め、声を上げ伝える危険な状況。肩を掴まれた自衛隊員は抵抗するも逃れられず、自警団員はブッチャーの背後から発砲を続ける。

 しかし急所の頭部を狙っても、西洋兜あれば弾丸は通らない。無情に響く跳ね返し音に、狙いを変えては背や腕。それでも表情を変えぬブッチャーには、まるでダメージの様子はなかった。


「グヴ……」


 ブッチャーは静かな呻き声を漏らすと、思いもよらぬ行動に打って出た。

 普通の屍怪では考えられぬ、自衛隊員を持ち上げる行為。両腕をピンと伸ばしきっては、天に高く掲げる有様だ。


「たっ、助けてくれっ!!」


 自衛隊員は身動き取れぬようで、視線を飛ばし助けを求めている。

 渦中も自警団員は発砲を続け、それでも堪えぬブッチャー。窓ある方向へ歩き出しては、あっという間の出来事であった。


「は、わっ……」


 不意に間の抜けた顔をして、宙を舞っていく自衛隊員。

 ブッチャーが行ったのは、窓へ向けての投げつけ。衝突して割れるガラス片に、外へ放り出されていく体。自衛隊員は最期の言葉もなく、三階から地上まで落ちていった。


「あの野郎……」


 目の前で起きた凶行に恐怖より、許せぬと怒りのほうが増していく。

 しかしブッチャーの凶行は、まだまだ終わらない。敵意を向けた存在はもう一人と、すぐに自警団員へ向ける視線。


「ひっいいい!!」


 自警団員は恐怖に顔を引きつり、それでも自衛と発砲を継続する。

 それでもダメージ見えぬは、大きな体のブッチャー。歯を強く食いしばっては、見せる上がった歯茎。歩みを続けひたすら前に、自警団員の元へ迫っていく。


「効いていない!! 逃げろっ!!」


 ダメージないこと明らかで、ならば発砲も無意味なもの。叫びに呼応し背を向けて、こちらへ向かい走る自警団員。

 しかしそれでもすでに、時は遅しとブッチャー。走るスピードは自警団員よりも速く、肩を揺らし振り上げられる右腕。


「うぎっ!!」


 内臓が飛び出るよう嗚咽を発し、弾け飛んでいく自警団員。

 ブッチャーの右拳は横腹に突き刺さり、骨の砕けるよう鈍い音を発し壁際に。背を向けたまま横にペタリと倒れる姿は、背骨が折れたのか生者の姿勢ではなかった。


「くっ……」


 一度は膨れ上がった怒りも、新たな事態を見て冷静に。


「……なんだよ。……コイツは」


 今までの行動を見て通常とは、全く違う現実に戦慄する。いわゆる普通の屍怪であれば、食欲を原動力に行動と推察。

 しかしこのブッチャーと呼ばれる屍怪は、食欲を原動力にしていると思えない。同族と思われる屍怪を排除する行動も当然に、生者を殺しても食わぬという所作。己を除く者は全て弱者と、力を誇示している感じだ。


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