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終末の黙示録  作者: 無神 創太
第四章 新たな旅立ち(上)

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第177話 空の玄関口38

「蓮夜!! 無事だったのねっ!? 上村隊長たちはっ!?」


 避難者たちとラウンジから流れてきたのは、ピンク色の髪にゴーグルをしたサチ。日本人とアジア系のハーフで、二重まぶたにハッキリとした顔立ち。

 迷彩服を纏う二十歳の自衛隊員であるも、最年少と思えぬ落ち着いた雰囲気の人物。


「サチっ!! 上村隊長たちは、国際線ターミナルにいるっ!! 屍怪が迫っていると聞いて、俺だけ先行してきたんだっ!!」


 制止する声は届いていたものの、窮地を知り足は止まらなかった。

 上村隊長たちは後ろを付いて来ておらず、今も国際線ターミナルにいるだろう。きっと冷静に物事を判断し、次の手を考えているに違いない。


「上村隊長の所へ行って、話しをしてくるわっ!! 戻ってくるまで、誘導をお願いっ!!」


 現場での避難誘導を頼まれ、サチは連絡通路を駆けていく。

 三階ラウンジから流れる人波は、先ほどは前兆と今回こそ本流。次から次へと避難者が走ってきて、聞いた話の三百人はいるだろう。



 ***



「一ノ瀬君!! あなたも無事でしたかっ!?」


 避難する人波から逸れ、声をかけてきた人物。上向きにカールされた前髪は、トレードマークと特徴。

 ストライプ調のグレースーツを着用し、体は細く身長は平均程度といえる。声質は一般的な男性よりも高く、どこか中性的な雰囲気を纏う人物。新千歳空港の所長にして、空港自警団トップも兼任。彼こそが人々の信頼を厚くす、山際所長と本人であった。


「なんとかですけどっ!! 山際所長たちも、早く避難してくださいっ!!」


 再会の余韻に浸っている暇なく、国際線ターミナルまでの避難を促す。

 三階へ来るための階段前では、二人が加わり五人で発砲中。新千歳空港を取り囲む屍怪を誘導しても、内部へ侵入した者の効果は限定的だろう。花火で注意を引けたとして、出口は破壊された玄関のみ。外までたどり着けなければ、空港内を彷徨う他ない。


「行きましょう」

「一ノ瀬君。では、またあとで会いましょう!!」


 体格の良い側近の男性に促され、山際所長は連絡通路を駆けていった。

 国内線ターミナルからの避難も進み、すでに七割ほどが連絡通路まで到達か。避難完了までもう半分を切り、逃れられるかと思ったタイミング。


「限界だっ!! シールド!! シールド!!」


 階段前にいた自衛隊員が声を張り上げ、後方から盾を持った部隊が出てくる。

 自衛隊と自警団の両組織により、編成された十名の男たち。階段を塞ぐよう五人が横並びに、他は後方にて支える形。銃器による迎撃も限界と、盾よる押し返しへ移行した。


「みんな急いでっ!! 国際線ターミナルまで、止まらないでっ!!」


 ハルノは連絡通路にて手を仰ぎ、必死に避難誘導を行っている。


「……こんなので、保つのかよ」


 避難誘導を行っている最中も、気になるのは階段前の状況。

 腰を低く全身に力を入れ、盾で押し返す盾部隊。屍怪は体から衝突すること当然とし、至る所から伸びる汚れた手。時間稼ぎの手段と承知であるも、避難が間に合うかは不透明であった。


「みんなっ!! 急げっ!! 屍怪が迫っているぞっ!!」


 最前線で体を張る人々に応えるため、全身全霊で避難誘導に望む。

 残る人の避難が完了すれば、全員が退避可能に。最前線を重責から解放するには、避難誘導を終える他にない。



 ***



「うっ……。ぐぅおおおっ!!」


 盾部隊は全身で必死に抵抗をするも、押し込まれ僅かに生じる綻び。迫る屍怪の圧力に屈しては、右端の蓋が僅かに開く。


「屍怪が入ったぞっ!! すぐに穴を塞げっ!! 入ってきた屍怪を対処!!」


 侵入した屍怪の存在を認知し、自衛隊員は声を張り上げ叫ぶ。盾部隊の隙間を縫って侵攻するは、着衣の乱れた顔色の悪き屍怪が五体。

 盾部隊が完全に崩れれば、屍怪が雪崩れ込む事態。最悪の展開を避けるべく、奮闘する盾部隊の面々たち。持てる力かそれ以上を発揮して、留まり必死に持ち堪えている。


「きゃあああっ!!」


 侵入した屍怪は盾部隊に目もくれず、駆ける避難者と女性の元へ。自衛隊に自警団と両組織の人々も、避難誘導や盾部隊で人員を割くところ。対応に遅れが出ても、人手なく仕方ない話だろう。

 それでも武器を持たぬ非戦闘員では、屍怪との戦いにすらならない。避難する一人の女性が標的となり、掴まれては犠牲となってしまった。


「ハルノっ!! 避難誘導を頼むっ!!」


 引き続きの役割を託して、駆けて向かうは加勢。

 廊下を歩いていた二体を、両組織の面々が対処中。近くに避難者の存在あれば、銃器は使用できず武器はナイフ。弾が逸れれば避難者たちに、他にも跳弾の危険性あるからだ。


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