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終末の黙示録  作者: 無神 創太
第四章 新たな旅立ち(上)

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第171話 空の玄関口32

「なら俺からハルノに伝えますよ。トランシーバーを貸してもらえませんか?」


 話が決まったところで、新千歳空港内への連絡。明日の早朝になれば合流すると、内部にも通しておかねばならない。


「ハルノ!! 俺だっ!! 誘導作戦の準備が整ったんだっ!! 今日はもう日が落ちるから、明日の早朝にはそっちに行くぜっ!!」


 新千歳空港は屍怪に囲まれていようとも、花火を入手し合流する目処はたった。

 あとは今日一日。いや半日の十二時間ほど、耐えてくれればよい。


「……蓮夜。……もしかしたら、いえ。間違いなく、半日も保たないと思うわ」


 しかしハルノから返ってきた言葉は、計画が水泡に帰すようなもの。


「どういうことだよっ!? 国内線ターミナルに侵入されても、安全確保できているって話じゃなかったのかよっ!?」


 一階と二階の大半に屍怪が侵入したというも、シャッターを下ろして閉鎖できたとの話。食べ物や水は満足にあり、籠城も十分に可能だったと聞く。

 しかし今になって、突然の時間がないとの話。事態の急変に頭が追いつかず、状況が全く理解できない。


「一階のシャッターを閉鎖するときに、大きな屍怪に襲われたの。テラウォード・ブッチャーと言って、海外から助っ人のプロレスラー」


 徐にハルノが説明を始めるは、屍怪についての特徴情報。


「それがどうしたんだよっ!? 俺が聞きたいのは、屍怪についての情報じゃない!!」

「最後まで聞きないよっ!! その屍怪が関係しているんだからっ!!」


 話が逸れたと本線へ戻そうとするも、ハルノによると全てが一本に繋がる線。

 屍怪の侵入を防ぐために、下ろしたシャッター。ブッチャーなる屍怪が体当たりをして、思わぬ損害が出たとの話だ。


「……そんなに酷いのかよ」

「私も暫くは大丈夫かと思っていたけど。もう手が入ってきているの。崩れたら一気に来そうだから、そう長くは保たないと思うわ」


 シャッターの状況から今後について、先行きは不安しかないとハルノは言う。


「……そうだっ!! 今は国内線ターミナルだよなっ!? なら国際線ターミナルへ避難して、シャッターを閉めればいいんじゃないかっ!?」


 問題のシャッターに損壊があったとして、別の万全な物を頼ればよい話。国内線ターミナルがダメだとしても、国際線ターミナルと違う建物がある。


「それはできると思うけど。どのくらい当てになるかは、全くわからないわ」


 トランシーバー越しに聞こえるハルノの声は、暗く不安と困惑の感情が伝わってきた。

 一枚のシャッターを隔てた先には、侵入してきた数多の屍怪。再びブッチャーなる屍怪の体当たりあれば、今度こそ完全に逃げ道を失うからだ。


 そんなに差し迫っているのかよ。空は薄暗くなってきて、時期に夜だっていうのに。


「蓮夜。側からだけど、話は聞かせてもらった」


 上村隊長は手を出して要求し、応じて渡すトランシーバー。


「ハルノ。山際所長に変わってくれないか」


 上村隊長は通信の相手を、トップへ通すため要求。


「山際所長。話は一通り聞きました。それで今後について、どうするかですが……」


 上村隊長は歩道を少し離れた所へ歩いて行き、二人で先の展望につき話し合いを始める。

 自衛隊トップの上村隊長と、空港と自警団トップの山際所長。権力者たる二人の話し合いの結果は、人々の運命を大きく左右するだろう。



 ***



「簡潔に言うと新千歳空港は、かなり差し迫った状況のようだ」


 話に一応の一区切りがついたようで、上村隊長は戻ってきて説明を始める。

 現在の時刻は午後四時と、日が落ちつつある時間。今から誘導作戦を開始しても、夜になってしまう可能性は高い。


「もちろん、リスクはある。それでも空港にいる人たちを救うため、みんな力を貸してくれないか」


 上村隊長は改まった様子で、全員に協力を仰ぐ姿勢だった。

 言葉なく顔を見合わせ、困惑した様子の自衛隊員たち。最初に口火を切ったのは、若き青年の自衛隊員。


「上村隊長が決めたなら、指示に従うまでです。今までだって、そうしてきたし。これからだって。みんなもそうだろっ!?」


 フレッドは自らの意見を言い、全員の思いを確認しに動く。


「……当たり前だっ!!」

「やってやろうぜっ!!」


 発破をかけられたことにより、勢いづく自衛隊員たち。

 誰しもがみな、わかっていた。数多の屍怪がいる上に、夜が迫る危険な時間帯。全員が各々に命懸けで、決死の作戦となることを。


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