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終末の黙示録  作者: 無神 創太
第四章 新たな旅立ち(上)

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第169話 空の玄関口30

「走れっ!! 駐車場まで走れっ!!」


 部隊の最後尾にて叫ぶフレッドは、後ろを気にして余裕は見えない。

 アウトレットレットモールから退却するため、左右に店舗が並ぶ野外通路を強行的に走る。道中には屍の怪物と化した屍怪がおり、四方八方と至る所から迫っていた。


「屍怪の存在は、デンジャラス!! 噛まれりゃ即座に、アンデッド!!」


 狙いを定め引き金を引くジョシュは、右前方から迫る屍怪の迎撃を担当。

 打ち上げに必要な筒を両手に持ち、自衛隊員二人は花火玉のケース。手の塞がる三名を中央に守るため、左右の前方に自衛隊員とジョシュ。フレッドを殿役と後方に配置し、即席の逆三角形フォーメーションだ。


「ヴガァァ!!」

「うぉっ!!」


 両手を伸ばす屍怪が間近に迫り、思わず足が止まって体が硬直する。


「屍怪の恐怖に、ストップ!! 仲間を信じて、ムーブ!!」


 アサルトライフルにてジョシュが発砲し、頭を撃ち抜かれて倒れる屍怪。両手に筒を持ち抱えれば、愛刀も持てぬ丸腰の状態。有事に際し自力で動けぬなど、ほとんど初めての経験。

 店舗から出てきたり前方通路から迫ったり、各所に多数の屍怪がいる現在。護衛する仲間たちを信頼しているも、対峙と異なる別の恐怖感の存在。自分の命を他者に任せることは、想像を超えるものがあった。


「後ろを気にせず進めっ!!」


 最後尾のフレッドは振り向くなと、声を張り上げ急ぎの前進を促す。

 フレッドが受け持つ後方は、倒し損ねた屍怪も加わる。強行作戦と大きな音も厭わずあるから、今や四十体か五十体は続いているだろう。


「見えたぜっ!! 出口だっ!!」


 通路を曲がって視線を先に、【GATE 1】と書かれた門が映る。

 アウトレットモールへ入るため、最初にも通った場所。門を抜ければ五台のジープあり、上村隊長たち待つ駐車場だ。


「もう少しだっ!! みんな頑張れっ!!」


 出口となる門が間近に迫りフレッドも、顔を向けるほんの刹那のときだった。


「フレッド!!」


 ラップ口調ではない初めての、ジョシュによる叫びが響く。


「何っ!?」


 慌てて顔を戻すフレッドの前に、迫っていたのは屍怪犬。行進する屍怪の合間を縫い、四肢を躍動させ飛びかかった。


「……このっ!!」


 フレッドはアサルトライフルを盾に、飛びついた屍怪犬から身を守っている。

 後方の屍怪とは安全を意識し、十メートルは離れているだろう。一気に詰められるなど、予想外であったに違いない。


「フレッドっ!!」


 事態の暗転を目撃しては、前進していた足も止まる。

 屍怪犬に飛びつかれたフレッドは、バランスを崩して地を背に転倒。下敷きになるよう恰好で、顔に迫りつつある汚れた牙。首元を掴み必死に抵抗しているものの、容易に逃れられそうもなかった。


「キャウッンッ!!」


 屍怪犬の横腹に黒い靴がぶつかり、叫びを発して後方へ飛ばされる。


「ここらじゃあ無敵の、ガンマン!! 狙えば即座に、ジ・エンド!!」


 駆けつけ横腹を蹴り上げたのは、後方まで下がってきたジョシュ。手を前に出しラップ口調で、構えるのは銃器のハンドガン。


「ダンッ!!」


 向けられた銃口から火花が散り、流線型の弾丸が発射される。回転する弾丸は空気を裂き、一直線に向かうは屍怪犬。

 迫る屍怪犬の存在を、最初に気づいた者。故に誰よりも速く動け、即座に対応することできたのだ。


「バシュッ!!」


 狙い澄ました弾丸は、屍怪犬の頭部に命中。埋め込まれたかと思えば、ほどなく貫通し消えてしまった。


「ファインプレーだぜっ!! ジョシュ!!」


 臨機応変に咄嗟の判断で動かねば、最悪の事態も想定できただろう。側から見ていて何もかも、文句のつけようない対応だった。


「助かった。ありがとう。ジョシュ」

「怪我がなければ、オッケー!! 早く手を取り、スタンドアップ!!」


 倒れているフレッドが礼を言い、ジョシュはすぐさま手を伸ばす。

 屍怪犬を退け一段落と、心に僅かな隙が生まれたとき。差し向けられたジョシュの手を、フレッドが触れようとする瞬間だった。


「ジョシュ!! 危ねぇ!! 後ろだっ!!」


 手と手が触れ合うより前に、突如として店舗から出てきた者。

 フレッドを前にして、死角となる背後から。紫色の顔をして白目を向く、男の屍怪が襲いかかったのだ。


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