9 女の子の正体暴いてみました
「だだ、誰だ!」
俺は女の子に離れるように小屋の壁に張り付く。
もう心臓に悪い!驚き死ぬかと思ったぞ!
…誰なんだ…?
黄土色の髪の毛に緑の瞳、それに猫耳?
まさか…
「お前、ベルか…?」
で、でも、ベルが何でベルが人に?
…あ。1つ心当たりがあるな。
俺はベルのスキルノートをパラパラめくる。
ベルのスキル。
ひっかき、
変身…。変身…?
こんなの入れてないな。
つまりランダムが引いたのか?
「ふぁああ…。」
女の子はあくびをしながら起きた。
すると、お?という顔をし、自分の体を見始めた。
「体があるぞ!お!喋れるぞ!すごいぞ!」
そんなことを言って俺を見てきた。
「お前やっぱベルなんだな?人になってるけど。」
「おお、えっと…、なんて名前だっけ?」
「ただしだ、ただし!ったく、助けてもらったやつの名前ぐらい覚えとけ!」
「そんなこと言って、結局死んだじゃねえか。」
こいつ。
「あぁ?お前、お前のせいで俺も死んだんだからな!お前を助けたせいだ!」
「そんなこと言って、異世界だ!って嬉しそうに騒いでたじゃねえか。」
こいつ!
「お前いい加減にってぇ…、」
俺はベルの体に目がいく。
「おおお前全裸じゃねえか!」
俺はとっさに顔を伏せる。見れねえ。見たいけども!見れない。
ベルは、おおうと声を上げて胸元をおさえた。
「つっ、たく。ちょっと待ってろ。ここから動くなよ…まずいから。」
「分かってるぅー。」
俺はダッシュで洋服店に向かった。
「帰った。入るぞー。」
「おう!」
壁越しに声がする。
開けるとベルは藁で体を覆う形でいた。
「これ服。外にいるから着替えろ。」
「了解です!」
元気な声が帰って来た。
「できたぞー。」
ちょっと待ってると声がかかってきた。
「はい。」
俺はドアを開ける。
今日買った服を着たベルがいた。
サイズが分からなかったから取りあえず適当に買ったため、ちょっと大きくてダボッとしているが、まあいいだろ。
「いいじゃないか。で、早速だが色々状況整理するぞ。」
「そうだな。」
まずは…、
「えーっと、どういう感じなんだ?今戻れるのか。」
「んーちょっと待て。」
ボンッ
煙が上がり、そこには猫のベルがいた。
「おお、戻れるんだな。その状態では喋れるのか?」
「ああ、一応。喋れるけど喋りにくい。」
「そうなのか。じゃあ戻れ。」
再び煙が上がり人姿のベルが立っていた。
俺はベルのスキルノートを見る。
「ベルは一応召喚獣判定だな。どうすればいいんだろうか。」
「更新でもできるんじゃねえの。」
「そうだな。取りあえずギルド行くか。」
「おーう!」
ベルはピンと手を上げる。
ギルドに向かう途中。
「お前ってこの世界とか人間とか、そういうのって猫のときから理解できてたの?」
「まあ人と暮らしてるんだし多少分かるさ。例えば、人が大きい声出してるときは怒ってるときか焦ってるとき、…後は性行為してるときだな。」
何言ってんだこいつ。何かズレてんな。
「…じゃあ猫たちはみんな人とかに対して多少は知識あるんだな。」
「そうだな。」
そんなことを話していると、ギルドについた。
「じゃ、じゃあ…、君はネコォ、ベルちゃんなんだな?」
「おお!」
「はは!面白え!」
周りがざわつく。
ギルドに着いたあと、俺はベルについて冒険者、通称ベル愛好家の皆さんに説明した。
「で、でも…、もうネコォの姿には戻れないのか?」
ちょっと悲しそうに1人冒険者が言った。
それに同情するように他の冒険者たちもうつむく。
「いやぁ、戻れるぜ?」
ボンッ
煙を上げ、ベルは猫の姿になった。
『おぉおおおお!!!』
歓声が上がる。
やっぱこいつら本当は超純粋なんだな。
猫大好きじゃん。
「まあ、この状態だと喋り難いがな。」
そう言ってベルは人型に戻る。
「超いいじゃねえか!ただし!よくやった!」
「お、おう。」
冒険者は俺に感謝する。
「じゃあ、そういうことだから。ちょっと俺たちはカウンターに用があるから。またな。」
俺は冒険者達に手を振る。
「おう!またな!」
冒険者達の威勢のいい声が帰ってきた。
「じゃあ本当に当たりを引いたんですね。おめでとうございます!」
お姉さんはにっこり笑う。
「はい!で、ベルなんですが、今は召喚獣判定ですけど、どうすればいいですかね?」
お姉さんは。
「そうですね…。まあ冒険者判定に変えることはできると思いますよ。でも、召喚獣スキルなんて使える方いないと思うので、戻さないのがいいと思いますよ。冒険者スキルは他の冒険者に教えてもらえばどうにかなると思うので。」
確かに。
「そうですね。確かに戻さない方がいいかもしれないですね…。で、どうだベル?」
隣を見るとベルはこっちの話も聞かずにボーッと上を見ていた。
「おい。聞いてたか。」
そう言うとベルはえっ!という顔をして。
「きっ、聞いてたよ!」
「じゃあ何つった?」
「すいません聞いてませんでした。」
「おい。」
即撤回じゃねえか。プライドってもんはないのか。
お姉さんは苦笑いでいる。
「召喚獣のままの方がいいらしいからそのままでいいかって話だ。」
「うん、いいよ。」
ベルはダラッと返事をした。
「ったく…。お前の話をしてるんだぞ…。…だそうなので、相談に乗ってくれてありがとうございました。」
「いえいえ。」
お姉さんは手を振る。
「じゃあ早速クエストだ!」
「おおー!」
俺たちは手を上げた。
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では、次回からも
「猫と異世界転生してみました。」を、
よろしくお願いします!