2 異世界を歩いてみました
超適当に異世界に送られた俺は何やらにぎやかな、町の中心部の様なところにぽつんと立っていた。
ここがどこだかも分からないし何をすればいいかも分からない。
クソ!女神のやつ!
そんなことを考えてたら何だか目に涙が浮かんできた。
あーもうどうすれば…
グスッ、グスッ
なんか泣いちゃった。
別に泣き虫なわけじゃないけど、何より俺は死んだんだし。
異世界に行けるとワクワクはしていたが、急に恐怖と不安が襲ってきた。
もう俺は親には頼れない。
一人で生きていかなきゃいけないんだ…!
何だか小さいときにショッピングモールで迷子になったときみたいな感覚だ。
ショッピングモールなんて17歳の俺から見ても巨大だし、異世界なんてショッピングモールと比べ物にならない程クソでけえ。
ひくひく泣いてると、遠くから声が聞こえてくる。
「お母さん、あの人なにしてんの?」
「見ちゃだめよ。行きましょ。」
おい、人をモンスターやら何やらのような扱いしないでいただきたい。
まあ確かに町中で大人がひくひく泣いているのはホラーかもしれない。
てか俺は大人といえるのか?この世界も成人は20歳なのだろうか。
分からないことだらけだ。
とにかくこんなところでつっ立って泣いてたって進まねえな。
とりあえず町をうろついてみるか。
そうすればなんか分かるだろ。
まずはギルド的なものに行ったほうがいいよな。
よしよし頭の中で計画が立ってきたぞ。
メソメソしてないで出発するか!
「にゃう」
高い声が耳を通る。
足元にはじっと俺を見つめている猫がいた。
「あーそうだ。ベル。お前もいるしな。まあ一人ではないな。人間じゃないのは惜しいけど。」
転生する前は邪魔だと思っていたが、何だか今は心強い。
俺はベルを抱き上げ、胸辺りに抱える。
「さあ、行くぞ!」
そんな物語の主人公のようなくさいセリフを放ち、足を動かしだす。
周りには赤めの焦げ茶のかかった瓦をのせた、クリーム色の家が立ち並ぶ。クリーム色の壁にはツタが気持ちばかりに覆っている。
そうそうこんな感じ!夢にも見た異世界まんまだ!
テンション上がってきた!
「にゃう、にゃぁにゃ」
なんかベルが鳴き出した。
ベルも日本とは違う町並みに興奮してるのか?
てかベルはどんな気持ちなんだろうか。
なんか死んでなんか浮いてなんか知らない男となんかよく分からないところを進んでるんだよな。
ベル目線なんかだらけだな。
それにしてもにぎわっているな。
やはり町の中心部なんだろう。
簡易な屋根のようなもので展開されている屋台みたいな店がたくさんある。
これもまた雰囲気を出してる。
歩いてるだけで結構楽しい。
長らく歩いていると、周りとは一際目立つ大きな建物にぶつかった。
剣や盾やらが描かれている旗がいたるところに掛けられている。
ここがギルドっぽいな!
おお、ワクワクするぅ!
ここから俺達は胸踊る冒険を始められるぞ!
やっとスタート地点にきた!
心臓の鼓動が大きくなってきているのがわかる。
「よし、入るぞ!」
「にゃう!」
俺はギルドの重いドアを思い切り開けた。
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では、次回からも
「猫と異世界転生してみました。」を、
よろしくお願いします!