表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/58

ギルドに登録、絡んできた奴と決闘か?


エルフの貴族さん(名前はもう忘れた。御上と仲良しごっこなんぞしてたら盗賊稼業やってらんねえのよ)に剣客として招かれ、最低限、最悪の場合の、あくまで緊急時用の寝床を確保した魅斗。しかし面倒そうなので、この大剣を売り払って宿代にするか、などと企んでいた。


「冒険者ギルド、か。そそるじゃないの」

そこは日雇い労働者の溜まり場だった。個人事業主みたいな奴もいるが、ほとんどはゴロツキだ。性に合うじゃねーか。


「登録よろしく、金ないから今日から働かせて。手数料などあれば一週間だけ待ってくれ」

「ようこそ、登録ですね。では名前をこちらに。文字は書けますか」


受付嬢は猫耳娘。あー可愛い。


「読み書き計算は問題ないよ。こんな成りだがね」

「あなた、血の臭いがきついですね。読み書きが出来るのに戦闘もこなすのですか……良いでしょう。近場の野草採集クエストを受けて貰います。ついでですからガウルの川で水浴びしてくる事をおすすめしますよ。財産がないのでしたら、日払いの方がよろしいですね。ギルドが閉まらないうちに、お早めにご帰還下さい」

「何か金のかかるペナルティや禁止事項があれば教えてくれ」

「ギルドや依頼主の高額な備品等を壊したら全額弁償して下さい。クエスト失敗時や破棄時は、事前に違約金が指定されていれば、指定額分頂きます。あとはもろもろ自己責任です。ギルドの名を落とす様な行いをした方には、除名処分をしております」

「分かった」

「……理解早くないですか?結構難しい内容のはずですが、理解しています?」

「そうか。これで難しいのか。〈この辺りの人間は知識が乏しいのだな〉ァ」


魅斗が後方を振り返ると、入室時から注がれていた、剣呑でうざったい雰囲気が爆発した。それはもはや殺意や殺気と言ってよい。睨んで来る奴らに、端から一人一人睨み返しながら言ったからな。当たり前の化学反応である。


「おい新入り。死にに来たのか」

「舐めた事抜かすじゃねえか」

「教育してやらないとなぁ?」

「ふざけてんなぁー」

「飯が不味くなったわ。殺すか」

ゴロツキどもが立ち上がる。


「確認しますが、私闘も自己責任なんですか」

「その通りですが、床を汚したら掃除して貰いますし、壁を壊せば弁償ですからね」


「ダーク・フレア。命なき者は燃やすべからず」

魅斗の放った黒炎も爆発した。


「ぐわああ」

「黒い炎だぁ?何の魔法だよ気持ちわりい。レジスト!」

「趣味の悪い色だな。プロテクション」

「ぐわああ」

「ぐおおお」


愚か者が3人くたばる。おーお、1人焼きすぎたな。ありゃ助からんわ。火の耐性がなかったのかな。手加減なんて難しくてやってらんねーぜ。1人殺したら2人も3人も変わらんべ。罪ってのはそういうもんだ。全員燃えちまえ。


「ぐえええ」

「ぬあああ」


一丁上がり。この魅斗サマを殺そうなんざ甘いね。こちとらプロよ。しかし生意気にも2人、魔法を弾いた奴がいるな。ならば食らえ、こんぼう攻撃!


「ぐはっ!」

割れたザクロみてえだな。さ、残り1人だ。


塵芥は嗤った。

「まだ、やるかい」

「……ふん。才能のある奴に喧嘩は挑まねえよ。せいぜい夜道に気をつけろ」

「なら殺しておくか?」

「チッ!悪かったよ。ほら一文無し、浴場代をくれてやる。これで手打ちにしろ」

靴でも買うか。


「お前まじで血ィ臭え。ここは食堂にもなってんだ。こっちから手ぇ出したんで、こいつらの死体は片付けておいてやる。だからお前は風呂入って出直して来てくんねえか」

あー、そりゃあ悪かったな。風呂行こ。


「まあ、強い奴は歓迎してやるよ。組めば戦力になるような奴はいた方がいい。色々教えてやる。一番安い浴場は地下街のエメラ亭だ。飯は少し高いが、うまいから一度食っておくといい」

「飯代もよこせ」

「はぁ?そいつらの懐から取れよ。お前がやったんだから。こっちにも生活があんだよ。ああ、俺はクドローノな。お前は」


「俺は塵芥。塵芥魅斗よ。よろしくな、先輩?」

「はっ。優秀で不遜な後輩ほど憎たらしいものはないな。まあ使える人材にはしてやるよ。その方が今みたく絡まれても庇われやすいしな」


「ほう?随分厚待遇だな。死に損ない」

「お前に絡んだら優秀な仲間達が軒並み死ぬだろうか。そいつらを案じての事さ」


この黒炎そんなに強いんかね。多分魅斗さん的には、悪のカルマが強い奴はだいたいこうなると思うんだがね。体感。まあ強いならいいや。ふはは。


倒した奴等の焦げた装備品も魅斗のものになったが、ソッコー売った。道中で得た大剣もろとも。そのまま使えばいいのにって?は。誰が好き好んで、てめえで殺した同族のお古なんか使うかよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ