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エピローグ・魔王という存在

「ミリーナ、ゴルボス……。無事だったか。はあ」


魅斗は黒炎のヒドラ形態から解放され、ヒトガタに戻った。まだ手首足首からはぶすぶすと黒炎があがっているが、膝をつき、自我を取り戻したようである。


ゴルボスは伝えた。クドローノ達冒険者はみな基本的に戦ってはいるが、低位や中位のスケルトンに遅れは取っていない事を。非戦闘職の王都民も、大多数が城の地下にある結界内に避難完了している事を。すると漸く、魅斗の火炎は鎮まり、安堵に崩れ落ちるのだった。冷静さを持ち直した魅斗の問いかけに、ゴルボスは肩を竦めて見せた。


「……それで?忌避級最上位アンデット、エルダーリッチとやらはどこにいる。王都はこいつの出現で壊滅したと聞いたぞ」

「奴は既に飛び去った。時計塔の広場、居住区、商店街など再起不能なまでに破壊の限りを尽くしてなお、地上滅亡の予言を残してな……」


「待てゴルボス、突飛すぎる。地上滅亡だあ?そりゃ具体的にどういうこった」

「忌避個体とされる魔物が、エルダーリッチ以外にも各地で復活するらしい。古の時代、勇者に討たれた魔王軍四天王の二つ名を冠する、最恐にして災厄のネームドモンスター達だ。奴らは奴らの主たる魔王の復活を宣言していった」

ずらりと並んだビッグネームに驚きよりも呆れが勝る魅斗。というかだ、魔王とはなんぞや。実感すら危うい。


「魔王ねぇ。そんなやべーのか」

「身振り一つで山が消し飛び、町は廃墟と化し、河は溢れて湖になり、闇の吐息には森や田畑が腐って荒れ地や毒沼になるだろう。そんな風に、簡単に地図を書き変えちまうくらいにはやべーんだよ」

「そりゃまたやべーな……」


「改めて聞くとやべーにゃ」

「やばいっすね」

「うはーやばいやつやー」

ミリーナと黒髪の少年少女がウンウンとうなずく。

コウタが呼び出したゴスロリはもう消えてる。


「で。どうすんだそいつらは」

「それぞれ緊急クエストとして討伐依頼が出るだろうよ……」

「共存とか和平は出来ねーもんかね」

「魔物と?冗談だろ」

喋る個体となら理解しあう事も出来そうなものだが、と言いかけてやめた。いつかのワイバーンベビー戦も、先刻の骨の竜との戦いも、そんな悠長な考えを持つ余裕はなかった。


基本的に人にとって魔物とは、死そのものであるのだ。 鍛練や才能により得られる様々な能力があってはじめて、冒険者として魔物に抗えるが、基本的に人は魔物に食われるもの。


ゴルボスの即答と、周囲のうなずく様子を見るに、魔物との共存など奇抜過ぎる思考だったようだと常識を再認識する魅斗。


「じゃー戦争だな。魔物を全部滅ぼすか!うちら人類が全部滅ぼされるか!それだけの話だ。分かりやすいのは魅斗サマ的に大好きです。今度またこの街を攻めて来る魔物がいたら、俺が速攻で灰にしてやるよ。骨までな」

「うひー。黒炎無双タイム再来の予感にゃー」

「もうヤケにはなるんじゃねーぞ……」


ひとまずは一件落着だが、魅斗達の戦いはまだまだ続くだろう。だがハッピーエンドの後の世界は誰も知り得ない。神々の絵本は、このページで終わっていた。これは遥か昔、ある異界の盗賊が魔王と対峙し、伝説の英雄となるまでの物語。とあるファンタジーな世界での、有名なおとぎ話だ。


「王国の平和を脅かす者は、黒炎を纏うヒドラに連れて行かれてしまうぞ。黒い炎に焼かれながら食われてしまうぞ。」そんな脅し文句を聞かされ育った王国民は皆、盗賊にだけは絶対ならなかったという。


後の魅斗には、王都スタンピード戦線におけるドラゴンゾンビ単独討伐の功績により、国から多額の報償金が払われた。これで盗賊稼業ともおさらばかと思いきや、一部の貴族が結託して盗賊魅斗を指名手配。冒険者稼業を退いた彼は知人の紹介により、この世界でも裏社会の人間となるのだった。






















ってな所で、書き溜め分終了!

第一部・完だよ!読破ありがとー!!


幾多の戦いを経て、魅斗君もだいぶ強くなってきました。取り敢えずはミリーナとゴルボスが無事でよかったね。


いやー早く魔王サマを描写したいぜ。手下の一人すらまだ出て来ませんが、そういう大物は万を持して登場させるものですよね。段階を少しずつ上げて行くからこそ、その最後にいる邪神やら大魔王やらは輝きを得るのです……!


という事で、完全に自己満足な作品でしたが、もし人気出ちゃったら続編、魔王編なんてやるかも知れません。このタイトルはきっぱりとここで完結にしますから、第二部や外伝等を書く場合は別のタイトルでやると思います。


良かったら感想等書いて行って下さい。

では、また会う日まで。(お財布は頂いて行くぜ!)

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