表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/58

武器屋より先にお豆腐屋へ行く転生者

翌日。


魅斗はモーリーの豆腐屋さんに来ていた。

温泉宿で買った豆腐が美味しかったらしい。


ジタの豆から作った豆腐はぴりっと辛い。

カヤの豆から作った豆腐はしつこい甘さ。

ムルの豆から作った豆腐は酒にあう苦さ。

オロの豆から作った豆腐は小さいのに腹にたまる油っこさだった。

まだまだ20種類くらいある。


「色々あるなぁ。これ全部30Gかー、これは穴場を見つけてしまったようだ。全種買わずにはいられん」

「魅斗さん、これも美味しいですよ。【オカラドーナツ】!お豆腐を三つ以上お買い上げの方に、シークレットサービスでお渡ししている非売品になります。何味かは食べてみてのお楽しみ~!」


モーリーははしゃいでる。そんなに賑わう店ではなかったらしく、固定客らしい固定客がつきそうで嬉しいとの事だ。寂れた店だが生意気にもイートインがあるので、どかりと腰を下ろして、午後の買い出しについて予定を考える。武器屋によるつもりが、ついつい、旨そうな匂いにつられて豆腐屋に入ってしまった。


オカラドーナツはピリ辛だった。

「ジタの豆のオカラかな。嫌いじゃないね」


さて、表向きには6500Gの収入だったワケだ。

昨日は宿泊に550G、お湯を借りて100G、食費で1250G使った。1900G消えた。残金4600G。スッた金の残高は20000G。ポーションは3つあるのでもう要らない。さて、武器屋に行くか、防具屋に行くか……そろそろまともな装備が欲しい。


「では、間を取ってアクセサリー屋さんなんてどうでしょうか?苦手な魔法属性や、毒や麻痺などの状態に、ピンポイントで強力な耐性をつけられますよ」


そう言って、モーリーはカヤの豆のクッキーを茶請けに出してきた。お茶は店内で買ったものだ。魅斗が色々買ったので、無料サービスでいいらしい。お茶もクッキーもオカラで作ってるらしい。オカラって錬金術の素材みてえだな。


そうだ、錬金術カッコいいじゃん。便利そうじゃん。盗賊兼錬金術師になろう。魔法系の入門書とかあるかな。


モーリーに相談してみる。

「入門書ですかー。魔法って勉強して身につける方もいますが、独学では厳しいですよ。学園にでも行かないと」


学園編は嫌です。魅斗さん学校だいっ嫌いだから。前世はスラムに生まれて、拾ってくれた奴になんたら学園に行かされたけど、そこで学んだ事は読み書きそろばんぐれぇのもんよ。最初の一年以外クソゴミなんで、二年目にはばっくれて盗賊団の末端のパシりのパシりのパシりとかやってたよ。その現場経験の方が断然カネになっている。それが塵芥さんなんですよーだ。永久就職のお相手を探したい奴だけ真面目クンごっこしてやがれってんだ。ぷいッ。


「待てモーリー、勉強して身につける方【も】いる、と言ったな。勉強しなくても身につける方法があるのか?しかもそちらが主流だったり」

「そうですよ。スクロールというアイテムを使えば、大抵の魔法は習得できます。学校に入るのと同じくらいお金がかかる代物ばかりですけどね……」


うん?そんな高いなら盗めばいいじゃんか。

盗賊さん、無双の予感……!


「昔は消耗品が市販されていたんですが、違法な複製や窃盗による被害が相次いだので、今では市販はされていないんです。消耗品でもなくなり、所有者から所有権ではなく使用権を買い、一時的に使わせて頂く形での販売が主流のようですよ。当然厳重に保管されています。覚えたい魔法があっても、所有者を探すのがまず一苦労でしょうね」


マジか。大物狙いは足がつきそうで嫌なんだよな。まあそしたら、魔法は追々だな。八方塞がりじゃ保留にするしかねえや。もし無防備なスクロール所有者を見つけたら、それは積極的に奪うとしよう。一財産になりそうじゃねーか。


「ありがとうモーリー、取り敢えずアクセサリー屋にでも行って来る。毒とか麻痺の耐性は確かに必要になりそうだ」


魅斗は豆腐屋を後にした。その後、タスマリンの埋め込まれた魔導チョーカーを買った。炎の魔法に対する抵抗がかなり強いものだ。自分の炎で死んでたら世話ないからな。8000Gした。


残金14000G。ん、もっと残るだろって?豆腐屋で散財し過ぎたんだよ。豆腐は全種類買ったし、オカラ茶とオカラクッキーも色々な味の奴買っちゃったしな。ちょっと摘まみ食いしよ。


4色入りオカラクッキーを堪能しつつ、宿に戻る魅斗だった。

「あっ、これ少し苦めだな。絶妙なほろ苦さがカヤの甘さを引き立て、中々上品な甘さに……苦いのは何の豆だったか……」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ