宿取りと飯処探し、そのはずだった
いやはや、街ん中に居る時くらい、血生臭いのは勘弁して欲しいんだがね。今しがた立ち寄った温泉付きの宿で、何やら死体が転がってたんだと。魅斗さんはやってないよ。小さなご令嬢サマとその執事サマに推理ショーが始まってしまった。魅斗さんなんと、容疑者の一人です。うぜえ。皆殺しにすんぞ?お?
ーー
「俺はグラン。双剣使いの冒険者だ。他殺体は撲殺だろ?俺がやったんなら、袈裟がけにずばーんだよ。俺は違ーう!」
「ミリーナだにゃ。メシを食いに来ただけにゃ。さっさとメシにするにゃー!」
「わしゃゴルボスや。ミリーナとメシ食いに来ただけ。斧使いやから、俺も殺る場合は斬撃でずばーんやぞお前。疑うんか?」
「私はフィガロですわ。リザードマンの狩人で、弓使いにございます。この弓は大きくて丈夫ですが、これで殴りはしませんよ。高価な一点物なんですから」
「我はサイリ。拳を使うが、拳でああはならん。頭がぺしゃんこではないか。うぷ、おぇぇ」
「僕はバルク。斧使い」
「俺はレイバーン。剣士。バルクは仲間ね」
「わちきはザリヴィーじゃ。占い師」
「あたいはモーリー。えっと、戦ったりはしないんだけどね、お豆腐売ってますよ!」
「塵芥魅斗です、魔法使いです」
容疑者多くない?
あと一点物の弓は高く売れそうだね。そういや、その手の品を売る為のコネも作らないといかんな。ふふふ。
ゴルボスとミリーナは白だろー。マイファミリーは無条件で白だから。信じてる。
グラン?んー?何処かで聞いたような。
占い師さんなら犯人探せそうじゃね?何となく、その人が白か黒かくらいは分かりそうな職業名ですもんね、えへへ。
ご令嬢サマが開口する。
「私は……んん、貴族ですが、お忍びですので……この場はベルンとでもお呼びになって下さい。こちらの執事はセバスチャンとでも」
「むむむむぉほん!ベルン様。世の執事を、とりあえず全員セバスチャンとかセバスと呼ぶのはどうかと思いますぞ!わたしめはバロヌスと申します。お見知りおきを」
執事とご令嬢が恭しく礼をする。
「ザリヴィー殿。占い師のお力が必要です。真実の解明に、ご協力をお願いしますわ!」
「……それは良いが。相応の報酬は頂けるのじゃろうね?魔力回復のポーションもご支給下さいよ。まさかわちきの自腹で、とは言いますまいねぇ。占術は魔力消費が凄まじく、一日一人が限度じゃて。それを、これだけの人数いっぺんに占うんなら、かなりの負担である事、ご配慮下さりますかねぇ」
尤もな意見であるが、恩着せがましい。
ベルンは怯まない。
「良いでしょう。ただしあなたが犯人であれば、例外とします」




