クエスト報告
「ほい、野草な」
「おかえりなさい魅斗さん。はじめてのクエストはどうでした?コボルトが出ていたみたいで、お怪我をされていなければいいのですが」
「倒したぞ、コボルトもゴブリンも」
「ゴブリンまで居ましたか……ってそれ、何食べてるんです?まさか」
「ゴブリン」
「うわあ。ワイルドだ」
受付嬢の猫耳娘が軽くひいてる。
「少し味と香りをつけて焼いてみたが、なかなか美味だ。食えないレベルかと思っていた」
「味と香りですか……確かに、魔物の肉にしては臭くない様な?あれ?ちょっと美味しそう」
「だろう」
「あたし疲れてるのかな……」
「ここは食堂も兼ねているんだったか。酒はあるか?査定が終わるまで、一杯だけコレで飲みてえ」
「はーい。ではお席にどーぞ!30分くらいで終わりますからー」
やり取りを終えた魅斗はテーブル席を占領した。ほぼ誰もいないので、足を伸ばして悠々とくつろぐ。
すると二人の飲んべえが、ふらりと寄ってきた。
「おう坊主、うまそうなもん食ってんな。酒奢ってやろうか?」
「いい臭いがするにゃぁぁ。お兄さんそれいっぱいあるにゃー。分けてにゃ。売って売ってー!」
先に話し掛けて来たオッサンはゴルボスと名乗った。斧使い。隻眼……魅斗と同じく片眼を封じているようだ。雰囲気からして、カタギではなさそうな感じがする。
そのゴルボスの連れらしき猫耳娘2人目は、ミリーナと名乗った。右腕指先から首筋まで走るいばらのタトゥーが威圧的。魔法が得意らしい。
「うまそうだろう?聞いて驚け、魔物の肉なんだぜ。コレ」
「っは?マジかよぅ、そんな美味そうな匂いなのに?」
「えっ?クソ並みに臭く、クソ並みにクソ不味いと名高い、魔物の肉かにゃ?」
「がははは、それはちょっと信じられんなぁ!」
「にゃははは、それはちょっと信じられんにゃあ!」
「はっはっはっはっは。だが魔物だ」
魅斗とゴルボスとミリーナは急に真顔になる。
ぷつり、もぐもぐ。睨みあいつつ、魅斗は串焼きをかじる。ゴブリン肉だ。
「魅斗さんお待たせ~。エールだよ」
「ナイスタイミング」
ごく、ごく、ごく、ぷはー。
「やはり、酒があるとなお美味い」
「ごくり」
「ごくり」
「串焼き一本500、いや、300G」
「むむ、高くないか……」
「しかし妥当な気もするにゃ……」
「おっと布教用、残りわずか10本……!(自分用は別途確保している)」
「2本!いや3本くれ!はいよ、900Gなッ!」
「あたいは4本にゃ!虎の子の1200Gだにゃッ!」
ガツガツ!もぐもぐ!
「受付嬢の。こいつらに200Gのエールを2つ追加だ……安心しろ、これくらいは奢る。せっかくだから真髄を味わえ」
「お前は神か」
「酒の神が舞い降りてやがるにゃあ」
「そんな気はしてましたよー。ハイ、どうぞ。本当に美味しそうですね、私はお仕事中だから買えませんが」
ごく、ごく、ごく、ぷはー。
「染みるぜ」
「染みるにゃ」
「泣くほどかよ……」
様子を見た受付嬢が聞いてくる。
「どうやって味付けしたんです?」
「果汁で揉んで味付けしてから、丸焼きよ。焼いた後、更に果汁をかけている。よく見てみると緑の粉もふりかけられてるだろ?それは干して刻んだ野草だよ。それ以前に、思うにお前らは下拵えの処理をいい加減にしているから、魔物肉が臭いだの食えないだの言ってるんだろうけどね……」
まあ、食文化の革命にまで興味はない。せいぜい一人じめしてやるさ。身内にだけは、こうして分けてやってもいい。そう、こいつらはもう魅斗サマの身内だ!顔突き合わせて飯食ってるんだからな!よーし、今度からこいつらと飯食お。御腰につけた無防備な銭袋も、お前らだけは見逃してやる。せいぜい敵対しない事を祈るぜ。




