突き刺さる矢
【コボルトの先制攻撃。スキル〈トリプルアロー〉発動!】
ぐさり!ぐさり!ぐさーー……
右肩、左脇腹、心臓。全弾深く突き刺さった。
「ぐっ……あ」
塵芥は痛みに崩れ落ちた。肉体が再生し、矢が消え去る。
「飛び道具当てて来るねぇ、弓が上手くて羨ましいよ。俺は飛び道具からっきしなんだよ。だから」
茂みから現れたのは弓矢をつがえた犬っぽい異形の魔物。これがコボルト。二足歩行ではあるが、なんと言うか亜人とは言えない。狂人よりは狂犬という顔をしている。品性や知性を一切感じない。異形の魔物と言い切れる有り様だ。
憎悪に顔を歪めながら、塵芥は駆ける。
「コボルトよ。お前を殺す道具はこれだ。くらえ悪の鉄槌!」
何の事はない。飛び道具専門らしいので、懐に潜り込み、こんぼうで力任せに殴り倒しただけだ。コボルトが唸る。
「ぐぉるるるるる!がぁぁぁ!」
弓を捨て、噛みつき攻撃に移るコボルト。
「くっ、こんぼう一発ではだめか。それに素早い。四足歩行もできるとはな。ならば超範囲攻撃だ、【ダーク・アポカリプス】!!押しつぶれよ!」
いつかの、黒炎をまとう隕石が降って来る。木々を凪ぎ、草花を燃やし、降って来る。
どーん。
魅斗とコボルトは潰れたが、魅斗は復活した。
【コボルトを倒した】
よし、勝利。腹が減ったので、魅斗はコボルトの欠片とゴブリンの躯から肉を剥ぎ取り、焼いてみる事にした。塩はない。そこらの甘い果実を絞って味付けだ。頂きます。
まずはゴブリン肉。
「臭い。骨が多い。でも柔らかい。サンマに近い風味だな。うん、不味くない。甘ダレもいいが、塩焼きで食ったら絶対美味い」
お次にコボルト肉。
「固い。苦みが強い。食えないレベルではないが、ほろほろになるまで煮付けて、酒のつまみにでもした方が美味いだろうな。もとが臭くないので、食べやすくはあるが、この食べ方では微妙な感じだ」
なお、この盗賊、料理は殆どしません。
野草とゴブリン肉の串焼きを幾つかこさえた魅斗は、贅沢にも串焼きをかじりながら帰路につくのだった。コボルトのスキル〈トリプルアロー〉で即死してしまったため、ポーションは使わなかった。得した気分ではあるが、何だかんだで即死経験の多い異世界に、恐怖を禁じ得ない塵芥であった。




