机からの贈り物
登場人物
柳技 香織
檜乃木 大樹
二人が中心に成り立つ。
年齢は共に16歳。
目覚まし時計がジリリ……っとうるさく鳴っている。
「うぅ……もう少し、寝させてよぅ!」
あたしは、目覚ましを止める。
ベッドからズルズルと、起きてきたあたしは、ぶつぶつと言いつつも、そこから視点を、時計に移す。はっ……としたように、頭の中で整理する。
「はぅ……! た、大変……今日、学校だった……急がないと…休みなのになぁ……世間一般的なら……」
何故、学校なのか……それは、あたしの通う学校には、古い伝統があり、それに沿って学校は、休みを返上させる。
あたしは、学校へ行く為、まず、駅へと向う。それが、あたしの日課。
幸い、あたしの住むこの町は、駅も近く、公園も近い。あたしはコートをたなびかせながら全力疾走。はぁはぁ……といいながら、定期を片手に改札を抜ける。
ホームに着いた頃、電車が向うから近づき、ホームへと止まる。
「ぎりぎり……間に合った……」
あたしは息を整え、コートを払った。そして、電車に乗る。電車の中は暖かく、人気は無かった。
「あっ! かおり、おは~っ」
向こうからやって来た、男の人が言う。あっ……かおりって言うのは、あたしの名前。
本名は、柳技 香織。周りの人からは、かおりって名前に、さん、が入るけど、呼び捨てにするのは彼だけ。
「だいき、おはよっ」
あたしは、彼に返事を返す。
彼の名前は、檜乃木 大樹。あたしの親友でもあり、同じ学校のクラスメイトだ。
「だいき、もう着くよっ」
「おっと……そうだった」
そんなこんなで、学校の校門の前に着いたあたしたち。学生達は、校門の警備員のおじさんに挨拶をすると、校舎のある棟へと向う。
「悪いっ……俺、用事あるから、先に行ってて!」
どうしたんだろう……何か、いつもと違うような……と疑問に思いつつも、あたしは頷いた。
大樹は、下手に笑うと、どこかへ行ってしまった。あたしは、大樹を見送ると、教室へと歩く。
「だいき……何かを隠してる。だって、いつもの、だいきじゃ無い……どうしたんだろう……」
あたしは、自分の席に座ると、机の引き出しからリボンが、はみ出しているのに気がついた。取り出してあたしは驚いた。
「えっ、えっ! ぷ、プレゼント?!」
あたしが手に持った箱は、長方形の少し、厚さの薄く、赤の包装紙に、ピンクのリボンと言う代物だった。裏には、きれいに手紙折りされた紙……そこには『Happy Valentine!!』と書いてある。
「えっ? 今日って、バレンタインだったの? ……忘れてた…でも、バレンタインは……ううん……逆バレンタインも、あるもんね!」
あたしは、そう言いつつも、自分の中で熱くなるのを感じた。
「……送り主は誰かな……この箱の送り主だろうけど……」
手紙には、『かおり、放課後、体育館で待ってる。』と、そう、書いてあり、送り主は、大樹だった。
「だいき……朝の慌てぶりはこれだったの……」
あたしは、心の中で呟く。
バレンタインのプレゼントに気を取られていると、ぞろぞろと、学生達が教室に入ってきたので、あたしは、箱を机にしまい、普段通りに振舞う。
……学校の伝統といっても、授業はいつも通り。この伝統には、理由があり、昔、この学校の総合成績は他を寄せ付けぬ、トップクラスの学校だった。でも、他の学校は、設備を一新し総合成績を上げていった。今ではこの学校はトップ3、トップに君臨する為に、伝統という、設備を確立したらしい……って……誰に説明しているんだろ……あたしってばっ!
――授業の終わりを告げる鐘が鳴り、我に帰る、視線は、教卓の先生。
「と……言う訳で、終鈴も鳴ったので……授業を終わります」
『起立っ……礼っ!』
『先生、ありがとうございましたー!!』
「……うぅー、朝の事で頭一杯……授業の内容ほとんど覚えてないよぅ……」
心の中で呟くと、周りを見渡し、大樹を探す、でも、姿はない。
「もう……授業中には居たのに……行動早いなぁ……」
あたしは、手紙に書いてあったことを思い出し、自然に体育館へと足を進める……時折、何で体育館なんだろ……行けば理由が分かるはずっ! っと、そう考えながら、高鳴る心を押さえきれずに……
体育館に着くと、大樹が待っていた。
「……よぅ。かおり……見たのか……?」
「……見っ、見たから、……居るんじゃない……どうしたの?」
「中身は……開けたか?そ、その……」
「ううん……まだだよっ……」
バレンタインは、女の子から男の子に送るものだと、前には思っていたけど、最近は逆バレンタインって言うのも流行っていたから、そのことは言わないでいた。
「い、いまなら……開けていいぞ……」
恥ずかしそうにそう言った、大樹の言葉に甘えて、箱を開けた。中身は、飴菓子だった。
――そういえば……だいきって、料理が上手いって言っていたっけ……
「……! これ……だいきが作ったの?」
「あ、ああ……そうさ、かおりに、俺の作ったお菓子を、食べてもらいたくて……作ったんだけど……だめかな……?」
「ううん、そうじゃないの……!
嬉しい!! 食べてもいいかな……?」
――いいよ。の言葉を待てずに、あたしは、飴菓子を、一つ口へ運ぶ。食感は、グミみたいに柔らかく、そして、口の中で溶けていく…味は、あたしの好きな、イチゴの味。
「美味しい……! 食べてしまうのがもったいないよぅ……ありがとっ!」
「それと……また、バレンタイン一緒に過ごそうな!」
「うんっ……次は、あたしも作るよっ!」
こうして、あたしたちのバレンタインは過ぎていった。でも、あたしは、始まりからバレンタインの事を忘れていたのが、引っかかってたけど、だいきのサプライズはすごく嬉しかった。
それぞれのカップル達は、プレゼントを片手に、想いを伝える……大切な日、バレンタイン。
カップル達は言う……『Happy Valentine! 』……と。
こんばんは、紅坂 葵です。
今回が初めての投稿です。あとがきは
何と書いたらよいのか分かりませんが、これからも、迷いながら書いていくのだと思いますが、宜しくお願いします。
初回は、バレンタインが近いと言うことでその流れに乗らせて頂きました。
ですが、上手く表現できなくて…私には荷が重かったようです、反省しております。
初回の小説は短編です。
設定では、香織と大樹は、16歳なのですが、少し、幼く感じた方も居られるかも知れません。次の時は、もう少し上手く作らないと……
香織と、大樹の名字は、実際にある木の名前をモチーフに、柳技、檜乃木と考えました。
そこから、木の繋がりから学校の机を題材に『机からの贈り物』と名付けました。
主人公の香織が、同じ学校に通う親友でもあり、クラスメイトの、大樹とのサプライズから始まる恋愛を書きました。もちろん、バレンタインが題材になっているので、内容は浮かんでいました。
ですが、初めてと言う事もあり、上手く書けませんでした……すみません、言い訳ですね…反省しています。
ですので、次回までには少し腕を上げたいと思っております。
では、またどこかでお会い出来る事を!