表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/95

第77話 ※番外編※ヨランダさんの語る事

十二人姉達に囲まれて私は育ったわ。フリフリピンクは当たり前の環境。

遊びはもっぱらオママゴトや人形遊び。幼いころはそりゃあもう可愛かった私は姉達と同じようにドレスを着せられてた。だから、私の身体が父親のように大きくなって来た時は我が身を呪ったわ!

ドレス、似合わなくなっちゃったんだもの!!!男物の服は可愛くないし………。けど、分かってた。

男物の服を例えフリフリにした所で可愛くないし私には似合わないって。

だから、私その鬱憤を晴らすためにドレスの絵を描いたわ。

その絵は姉達に好評だった。ある日、一番下の姉がこう言ったの「ヨランダ、あなたの描いたドレス着れたらいいのに」その一言で私の将来は決まったの。

自分が着れないなら、私の理想のドレスを着て貰えばいいじゃない!!!

その後は独学で勉強したわよ。我が家は貧乏ではなかったけど子供の数が多いし、私を高い学費の服飾学校になんてとても入れられなかったからねぇ。

父親と母親は普通の学校を出てお城勤めのお堅い官吏職について欲しかったみたいだけれど。

13才になると、私はお城の傍にある小さな古いドレスショップ『リンゼイ』に住み込みで弟子入りしたわ。親父さんはとっても頑固。今までとった弟子は、耐えられずに辞めていって今は、後継者がいなかったの。息子さんは後を継ぐつもり無かったしね。

怖い人よ?でも、この国一、と言えるほどの技術を持った人だったわ。

親父さんのスタンスは見て盗め。それでいて、あまりに出来なければ怒られるからね。一緒に入った子は一週間で逃げてったわ。

私に言わせるとみんな根性がないのよ!!!

技術なんて最初から盗めるはずないじゃない。勉強して知らなきゃ何処盗んでいいかも分からないしね。だから怒られるのも当たり前。親父さんは怒る時さりげなく何処を見ればいいかのヒントをくれてるわ。そこに気付かなきゃ駄目なのよ。

大事なのは失敗から学ぶ事。怒られてもめげない、怒られる理由に気付こうとする事。

私もかなり怒られたし殴られたわ。でも親父さんに言わせると「ヨランダ、俺にこんなに怒られなかったのはおめえだけだ」になるらしいんだけど。

親父さんが病気で引退を決意する時と、私が独立するときは丁度重なったの。

私、思い切って『リンゼイ』の名を使わせて欲しいってお願いしたわ。だって思い入れがあって無くなるのが寂しすぎたんだもの………。

でも親父さんは許してはくれなかった。「ヨランダ。古臭いものにしがみ付くんじゃねえ。おめえは流行をつくる職人だ。新しい道を行きな」思わず泣いちゃったわ。男が泣くんじゃねえって怒られたけど。それで私は店の名前を親父さんの名前、マイアスにしたの。

親父さんは苦虫を噛み潰したみたいな顔をしたけど。知ったこっちゃないわ!


お店をはじめてから有難い事にすぐに顧客がついてくれたわ。最初は1人でやっていたこの店も私自身が弟子を取る立場になって従業員も増えた。

そして気がついたらマイアスのルル・ヨランダと言ったらすぐ分かる程有名になっていたの。

そんな時よ。ミオン様と出会ったのは。まるで虎の子のようなシナヤカナ肢体。私達とは違う見た目だったけど可愛いものは可愛いの。一目惚れよ。陛下の奥さんじゃなかったら私が結婚を申し込んでたかもしれないわ。まぁ、振られてたと思うけど。私にも妻がいるしね。

そう私結婚してるのよ?妻と言っても利害関係が一致した同士みたいなものだけど。

私はお金目当ててやってくる女性が嫌だっただけだし、彼女ルーシアは見た目を目当てにやってくる男が嫌だった訳よ。最初の出会いはルーシアが私の店にやって来た事。男がこれでもかって位に群がってたわよ?第一印象は男を侍らせる人形のような顔の魔性の女だったわ。

それに私の店に来てキラキラした顔でドレスを見ないなんて嫌な女と。

ちなみにルーシアの私への第一印象は「口調が気持ち悪い男」だったらしいけど。

その時の事、後で聞いたら無理矢理連れて来られたらしいのね。その頃は男どものプレゼント攻撃に辟易していて上手く笑顔がつくれなくなってたらしいわ。

次に再会したのは何処かの貴族の夜会よ。

私はお金目当ての女性のおべっかに疲れて誰もいない裏庭に逃げたの。

そんな時、泣いている女性が居たわ。ルーシアよ。

彼女、男に暗がりに連れ込まれそうになったのね。逃げられたけれどちょっと酷い状態だった。

ドレスの裾は破けてたし、毛並みも乱れていたわ。

可哀想になってドレスを直してあげて毛並みも整えてあげたの。

彼女言ったわ「私、こんな顔嫌いだわ!この顔の所為でこんな事ばかり」折角ドレスの似合う綺麗な顔をしているのにもったいない話よね。でもルーシアはそれだけ嫌な目に合ってきたって事よ。

「なら、私達婚約した事にしない?私もお金目当てにやってくる女性が苦手なの。今も逃げてきたのよ?貴女も私を虫除けにすればいいわ」気付いた時には思わずそう言ってた。

ルーシアは驚いたようだったけど、私が彼女の顔目当てで言ってないのがわかったのね。

後日、正式に婚約したわ。

最初は形だけのものだったんだけど………何故かしらお互いウマがあったのよね………結局結婚しちゃったわよ。


そう言えば、ミオン様が虎の子がどんなのだかが気になるって言うので我が家のレシィちゃんとマールちゃんを見せてあげる事になったの。ミーシャとエルザ同伴で我が家に遊びに来てくれたわ☆

その時ルーシアを紹介したのだけれど………。


「ヨランダさん結婚してたの?!」


「そういえば言ってなかったかしら………結婚して5年になるの」


その言葉にルーシアが微笑みながら頭を下げる。

言わないで!!言葉づかいがアレだから独身だと思ってたんだと言うのはなんとなく理解できるわ!!!初めて会った人に妻の話をすると必ず驚かれるもの。


「初めましてルーシアさん!ヨランダさんにはいつもお世話になってます」


ミオン様がそう言うとルーシアは花が綻ぶように笑ったわ。


「初めましてミオン様。夫から、良く話をうかがってますわ!本当に可愛らしい虎の子のような方ですのね。お会いできて嬉しいです」


ルーシアも可愛いものが好きだものね。絶対ミオン様を好きになるって思ってたのよ。

さぁどうぞとミオン様を部屋に招き入れる。

「みょうん」「みょあん」とレシィちゃんとマールちゃんが挨拶に来てくれたわ。


「わぁ!この子たちが虎の子?!足長いっ!!!毛は短めなんだね。可愛いーっ!!!」


灰色の毛の2匹がミオン様にスリスリとご挨拶。


「声が不思議ー!!猫っぽい外見なのに『にゃー』じゃないよ!!!」


ミオン様がしゃがみ込んでレシィちゃんとマールちゃんの耳の後ろや鼻先、尻尾の付け根をカリカリしてあげてる光景は何処か癒されるわぁ。ミオン様ったら虎の子が気持ちいい所を知ってらっしゃるのね。レシィちゃんとマールちゃんが、もっともっとって言ってるのがわかるもの。


「うふふ☆可愛いでしょミオン様!この子たちは私達夫婦の子供も同然よ。まぁ、来年にはもう1人増えるけどっ」


ちょっと照れながらそう言うと、ミーシャとエルザが歓声を上げたわ。


「いやだ!おめでとうございますルーシア!!ヨランダ!!!」


キョトンとしていたミオン様も事情が分かったみたいね。


「ヨランダさんお父さんになるの?!」


ミオン様の尻尾がきゅっとなった後、嬉しそうにユラユラ揺れ始める。ミオン様………尻尾、伸びたわね………。今は耳が変化している最中なのですって。身体が変化していくって大変そうだわ。


「昨日分かったんです。だからまだ皆知らないの」


頬を染めて言うルーシアに私も照れたような笑いを浮かべたわ。

私がお父さんですって!!!まだ信じられないわよ。でも嬉しい!!!

早くミオン様にも御子ができるといーわ―☆私達の子と仲良くしてくれるといいんだけどっ!!!

あぁ!期待は膨らむばかりよ。元気に産まれてきてねっ私の赤ちゃん!!

想定外の事が起きました。ヨランダさん結婚してたよ!!!

書き始めた時にはルーシアさん影もなかったのに………。

ヨランダさん来年にはパパさんです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ