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第69話 結婚式ですか?

時間が経つのってどうしてこんなに早いんだろう………。あっという間に時は過ぎ、明日は遂にディーさんの誕生日だぁ………!!!

今は、出来上がったドレスの最終調整中。今回ロングドレスなんだよね。Aラインのフワッとしたかんじの。オフホワイトの生地に金色の刺繍。裾の方と胸元には透明な宝石がキラキラ縫い付けられてる。結婚式ですか?と思わず呟いたらジラルダさんに「とんでもない!!!結婚式のドレスは通例ではもっと裾の長い優美なドレスになります」と言われた。

ちなみにこれは街の人達にお披露目するようのドレス。十分豪華です。

しかし………これより重いドレスって事ですか?

ヨランダさんが結婚式のドレスには大小さまざまな宝石が縫いとめられるから「重いわよ~☆」と脅しをかけてくれた。うぅ。体力鍛えるべき??

普段着と違って、専用に作って貰ったコルセットもまかなきゃ、いや締めなきゃいけないからいまの私は立ってるのでやっとの気分。練習用のドレスより、丈が長いからこれで歩くの苦労しそう。現に、試しに歩いてみて下さいってジラルダさんに言われて歩いてみたけど2歩目でつまずいた。


「妃殿下、いいですか?靴でドレスの内側を蹴る感じで。でないと裾を踏んで転んでしまいます」


ジラルダさんに「さぁもう一度」と言われて何度か挑戦。うん。少しはコツが掴めたかな?


「良い感じですわミオン様。その調子です」


笑いながらエスコートしてくれるのはミーシャさん。当日はこれ、ディーさんの役目。


「歩き方はそれで宜しいでしょう。この感覚をお忘れなきように」


ジラルダさんに笑顔で言われてホッとする。ミーシャさんより厳しいから、そう言って貰えると本当に大丈夫なんだと安心できる。


「ドレスの調整もOKよ☆我ながら頑張ったわ………ミオン様ロングドレスもお似合いよっ」


目の下にクマが出来てるヨランダさんが言ってくれた。かなりハードだったらしい。

今回のディーさんの誕生日は3日間、他国の要人も招いて夜な夜なパーティーが催される。通常だと5日から一週間位、御祝いするらしいのだけど、私がもたないだろうという判断で3日間に短縮されました。

無理無理。付け焼刃で一週間とかありえない。今回は3日にしてくれてタスカッタ。

ヨランダさんは3日分の私のドレスと街の人達にお披露目する時用のドレスをつくってくれたのだ。豪華な刺繍入りの。御苦労さまでした………本当に有難う………。

ドレスは汚さないうちにお片づけ。それから、隣室で待ってもらってたジョージさんを呼んで貰う。


「失礼します………。妃殿下におかれましてはご機嫌麗しく………その、お久しぶりです………」


緊張しながら言うジョージさんにちょっと申し訳ない気持ちになる。今は、警備も物々しいし衣裳部屋であるこの部屋には女官さん達が沢山右往左往している。


「済みません。もう少し落ち着ける場所だったら良かったんだけど………」


「とんでもないです!お忙しいのは当然ですし………では、お預かりしていた物を………」


象牙のような………後で聞いたら地竜の骨だった………素材で作られた額の周りは何か分からない流線形の模様と花が優雅に彫られている。それが2個。その額の中にはそれぞれ剣の柄頭につける脱着式の飾りと儀礼式典用のタイピンが入っていた。出来上がった時に見せて貰ってたんだけど、そのまま預かって貰ってたんだよね………。こうして額に入っているのを見ると1つの芸術品のようだ。


「そのままでも素敵だったケド、額に入れられてるとまた雰囲気変わって素敵だね!!!」


「有難うございます………」


照れたように言うジョージさん。ヨランダさんも嬉しそう。


「そうだ。もう聞いておられると思うのですけど、これも直りましたのでお渡ししておきます」


そう言って出してくれたのはディーさんから貰ったあのチョーカーで。


「ありがとう!!!」


あの事件の後、慌てて探しに行こうと思ったらミーシャさんが拾ってくれた事を聞いて一安心。で、ディーさんが修理に出してくれたんだけど、壊れちゃった太い紐の部分、レディヴァント湖の水竜の髭は取り寄せないと駄目だったらしく少し時間がかかるって言われてたんだよね………。てっきり、誕生日までは間に合わないと思ってた。


「ジョージさん………大切にするって言ったのに壊してごめんなさい………」


「そんな顔なさらないで下さい。陛下が事故のようなものだとおっしゃってましたし………物は壊れるものです。でも、それを直すために職人がいるんです。余程の状態じゃない限り壊れたままじゃないんですよ」


「………ありがとう、ジョージさん」


お付しましょうか?ってミーシャさんが聞いてくれたけど断った。どうせならあの日のデートの時みたいにディーさんにつけて貰いたくて。我ながらちょっと乙女ちっく。

ドレスに合わせた装飾品はもう選ばれてたんだけど、ジラルダさんがチョーカーとドレス主体で選びなおすって言ってくれた。嬉しい。

ジョージさんとヨランダさんが一緒に帰って行き、私とミーシャさんも後の事はジラルダさんにお願いして衣裳部屋を後に、隣の自室に戻る。

椅子に座ってお茶してた所までは覚えてるんだけど、どうやら眠ってしまったらしい。

人の気配で目が覚める。


「ん………ディーさん?おかえりなさい………」


「起こしたか?大丈夫かミオン」


「う………ん。寝ちゃってたみたい」


「連日忙しかったからな。疲れてたんだろう」


座りなおそうとしたら身体にかかっていたブランケットが落ちそうになる。ミーシャさんがかけてくれたんだろう。


「あれ?ミーシャさんは??」


「レンブラントの所に使いを頼んだ。言い忘れていた事があってな」


「そっかぁ………あ!!そうだディーさん!!!チョーカー………私の首飾りが直って来たの!!」


嬉しそうに見せればディーさんは驚いた顔をする。


「早かったな。てっきり明日には間に合わないと思った」


「でしょ?私も思ってた。………ねぇねぇディーさん………つけてつけて??」


甘えるようにそう言えばディーさんが、どれどれって感じに後ろに回る。

私はおろしていた髪の毛を手で上にあげると着けやすいように下を向く。ディーさんの手が器用にチョーカーを着けてくれた。

髪を下ろそうとしたら片手で止められて首筋に柔らかい感触―――。


「ふぇっ?!」


首筋にキスされました。ビックリして、真っ赤になって。ポカポカ叩いたら楽しそうに笑われた。

か、からかわれたっ?!

椅子の後ろから抱きしめられてオデコにキスされる。


「意地悪」


「そうか?俺はミオンを可愛がっているつもりだが」


上を向けば、むくれた唇にキスされる。だめだこりゃ。反省を求める方が馬鹿らしい。

しょうがないので軽くキスを返してあげたらそのまま長いキスをされる………と。


重そうな音を響かせて扉が開いた。


「まぁ………!!!」


声はミーシャさん………ミーシャさん?!


「きにゃ――――っ!!!」


我ながらどんな声出してるんだという悲鳴をあげて思わずディーさんを突き飛ばした。涙目で扉の方を見ればミーシャさんと居心地悪そうなレンブラントさん!!!ひいっ!!!私はピョコンと飛び上がるようにして立ちあがるとバスルームへと逃げ込んだ。暫く、ディーさんが呼んでる声がしたけど無視!!!鍵をかけて閉じこもる。ミーシャさんがレンブラントさんは帰りましたよーって言ってくれるまで出る事は出来なかった………。

深音の今の気持ちは親にキスシーンを見られたレベルです。


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