第6話 気がつけば再び寝てました
気がつけば再び寝てました。
眼を覚ますとディーさんが横の椅子で本を読んでるのが見えた。私は慌てて布団をかぶる。
―――恥ずかしいっ!!!
ダダをこねて疲れて寝るなんてどこの幼児ですか!! 私!!! 気まずい思いでソロソロ布団を下ろすとバッチシ☆ディーさんと眼が合いました。
「ぎゃっ」
乙女にあるまじき声を出して再び布団にもぐり込むとディーさんがポンポンと布団を叩く。
「………大丈夫か?」
「大丈夫くないよ………こっち、みーなーいでー!!! 恥ずかしすぎるっ!!! 子供じゃあるまいに!!! また寝ちゃうなんてっ!!!」
「落ち着け何も恥ずかしい事などない。正常な反応だろう」
身もだえして、布団の中でじったんばったんする私を宥めながらディーさんが言うがそれでも恥ずかしい事に変わりはない。
「ただでさえ色々あって疲れているのだ。拒絶する心が強すぎて眠くなる場合もあると聞く。落ち着いて出てこい」
基本、いい奴だディーさん。こんな私なんてほっぽっといてやることだってあるだろうに………私が起きるまで待っててくれた。
―――でも!!! さっきの騙し打ちは許さないぞ!! そんな事を考えてモゾモゾしてたら結局、実力行使ではがされました。布団。
「おーぼーだ。おーぼー」
「分かっている。しかし、我らとて存続問題が絡んでくるのだ。時には非道な事もせねばならん。ミオンにした事を申し訳ないと思うがそれを撤回する事も出来ん。………怨むなら俺を怨んでくれ」
今言った横暴は布団はがされた事に対してだったんだけど、ディーさんはさっきの、実はもう結婚してました☆の事だと思ったらしい。
丁重に頭を下げられた。耳垂れてんのとか見ると無条件で許したくなっちゃうのがオソロシイ。
「―――許すのは無理。恨んだりはしないけど。今後、なんかする前には絶っっ対言って!!! じゃないと私ディーさんを信用できない」
そこだけはちゃんと押さえておかないとね。
こんな一人ぼっちの世界で誰も信用できないなんて勘弁してほしい。
「了解した。我が名と神に誓って事前に通告する。………ミオンに嘘はつかん」
「後、取りあえず結婚したらしい事実はどうにもならないかもしれないけど、私がどうにかしたいって行動するのは認めて」
何とかして、女神様を探して呪いを解かないとね。他にも犠牲者が出るかもしれないし。
種族の違う私がここに来たのってやっぱりコレが使命だと思うのよね。
上手くいったら家に帰れるかもしれないし………過剰な期待はしないけど。
「うむ。危険が伴わないかぎり、ミオンぼ行動は制限しない。これも誓う………誓約をしても良いか?」
「誓約って洞窟でやったみたいな事?」
「ああ。それとミオンの指先に口付る許可が欲しい」
何こっ恥ずかしい事いってるんですかディーさん!!!
「え?! なんで」
「唇がいいのならそれでも良いが」
真っ赤になって言ったら悪戯っぽい笑みを浮かべられながら言われて諦めました。
そっちより指のがいいです。
「ディークラウド・エル・ガ・シザリオン・ルーヴェンシアの名において神々に誓う。我が妻ミオンに嘘を吐かず、知らぬからと言って勝手に事を進めない。また、危険が無い限りにおいてミオンの行動を制限しない。バルドゥ・オンアーク」
妻の所に若干引っかかりを覚えたものの、ディーさんはそう言うと私の右手の指先に口付けた。
「………最後のバルドゥなんとかって何?」
「あれは古語でな。『誓いを護らない者に災いを』という意味だ」
「へぇ………ちなみに護らないとどうなるの?」
「誓いの重さによる。酷ければ死ぬな」
一瞬思考が止まったよ。もっと軽く考えてマシタ。
ディーさんそれって軽々しくしていいもんじゃないよね?
「そんな重大な事、軽っとしちゃっていいの?!」
「腕の一本や二本でミオンの信頼が得られるなら安いものだ」
そう言ったディーさんは満足そう。
腕の一本や二本コースなんだこの誓い。はわわわ。
これからはディーさんが誓約っていったら誓約を破った結果を聞いた方が良さそう。
てか、もう二度と誓約させない方が良さそうだ。




