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第51話 誰もいない部屋


「ミオン様?」


その声は、誰もいない部屋に不安気に響いた。


後で、ミーシャさんに聞いた所によると、お使いから帰って来たのは11時30分。私が部屋にいないので衛士のお兄さんに聞いて、私が出掛けたのがミーシャさんが出かけてすぐだった事を聞いて不安になったそう。お昼はもう近い。私の性格上、ミーシャさんに心配かけるような外出の仕方をしないだろうって思ってくれたのね。そこで気になったのがエヴェンジェリンちゃん………結局はイリアナさんだったんだけど、の手紙。読めば綺麗な字でお花畑で待っているとある。この字がイリアナさんのものだと分かったミーシャさん。慌ててお花畑へ。

そこにはもちろん誰もいなくて、靄の晴れたお花畑には私の引きちぎられたチョーカーだけが落ちていたと。今度は急いで事情を知っているであろうイリアナさんの家へ。そこではイリアナさんだけでなくエヴァンジェリンちゃんが行方不明で大騒ぎ。どうしようもないのでミーシャさんはディーさんの執務室へ駆け込んだ。


「ディーク!!!」


余程慌てていたんだろう。レンブラントさんとリン先生が驚く顔をするのも構わず、昔呼んでた愛称を叫びながら掛け込んだミーシャさん。震える手の中に握りしめた手紙とチョーカーを差し出した。


「………ミーシャ?コレは??」


手紙を読んだディーさん。顔色がどんどん青ざめる。


「どうしましょう!!!イリアナもエヴェンジェリンも行方が分からないと………」


「ミーシャさん、落ち着いて」


泣きだしてしまったミーシャさんの肩を抱いてリン先生が言う。そこでミーシャさんリン先生に促されて最初から、何があったのか話たらしい。


「イリアナの家に行くぞ」


話を聞き終えたディーさん、厳しい顔をして席を立った。その後にレンブラントさん、リン先生とミーシャさんが続く。

ヴァルレア公はイリアナさんがいない事にはいつもの事だと楽観視していたみたいだけど、エヴェンジェリンちゃんがいなくなったのは初めてだったので動揺中、更にディーさんの訪問を受けて卒倒しそうになったらしい。よもや妃殿下失踪の原因を自分の娘が作ったなんて、小心者のヴァルレア公にしてみたら心臓が止まりそうだったに違いない。イリアナさんとエヴェンジェリンちゃんの行方が分からないのも偶然とは思えず、許可を貰ってそれぞれの部屋を家探しする事に。そこで出て来たのはエヴェンジェリンちゃんの日記。そこにはイリアナさんが隠し通路から度々家の外に出ていた事、城下街の裏街に足しげく通っている事が書かれていた。ディーさんは使いを出して裏町に騎士団を派遣させ、自分達はイリアナさんが帰って来るのを待った。一番確実な事情をしっていると思われたからね。この時のディーさんはかなり怖い形相をしていたらしく、ヴァルレア公の奥方が耐えきれず倒れてその場から退場した。


「ヴァルレア公、あなたはイリアナ嬢が隠し通路の存在を知っているとは気付かなかったのですか???」


「は、はいっ。気付いていたらこの部屋には近づけさせませんでした!!!」


レンブラントさんがそう聞けば真っ青になったヴァルレア公が今にも倒れそうな顔でそう答える。公は何故娘が隠し通路の存在を知っていたのか分からなかったようだ。後で分かった事によれば、昔、公と奥方がお忍びデートに出かけるときに使っていたこの通路。イリアナさんが見てて使い方を覚えてたと言う事が判明したんだけど………。どうして誰も彼も周りに誰もいない事を良く確認しないのか………。隠し通路の意味が無い気がする。

ピリピリした空気の中、部屋の中の本棚が動いて裏から出て来たイリアナさん。部屋の中を見て凍りついた。まさかこんな大人数に迎えられるとは思ってなかったはずだしね。とっさに逃げようとした所をディーさんに掴まれそのまま引きずり出される。


「どういう事か説明しろ………イリアナ」


その言葉にイリアナさんは黙ったままだった。


「ミオンは何処だっ!!!」


そうディーさんが叫んだ瞬間イリアナさんの形相が変わった。


「ミオン!!!ミオンミオンミオン!!!!」


誰も彼もあの女の事ばかり!!!泣きながらそう言うとイリアナさんはディーさんの手を振り払う。


「何故、私ではなくあの女なのです???せめてミーシャお姉さまのような方だったら許せたのに!!!あんな女消えてしまえばいいんだわ!!!」


癇癪を起こしたようにそう言うと、泣き叫びながらディーさんを叩き続けたイリアナさん。イリアナさんの気持ちを知っていたミーシャさん達は複雑な気持ちで、初めてイリアナさんの気持ちを知ったディーさんは茫然とした面持ちで、その言葉を受け止めた。

短くて済みません(汗)次の話はディーさん視点で。

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