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第48話 複雑な気分

イリアナさんの事は気になったけど、私が帰れば解決される問題でもある訳で………やっぱり、帰った方がいいんだよね………と複雑な気分。はぁ。でもイリアナさん、早く元に戻ると良いなって思う。

最近はエヴェンジェリンちゃんも暗い。やっぱりイリアナさんが心配なんだよね………。あんなに大好きだったお姉さんが最近は口をきいてくれなくなったらしい。エヴェンジェリンちゃんは何も言わないけど私といた事が原因みたい………。ミーシャさんが言いにくそうに教えてくれた所によると、皆、私に騙されててイリアナさんの味方は誰もいないって考えているみたい。時々、隠れるようにお屋敷の中から姿が見えなくなったりして暫く後にどこかから出てくるんだって。お屋敷も古いから隠し部屋でもあるんじゃないかって言っていた。ディーさんもこの事態には困惑気味。この前、「仲が良かったのではないのか?」と聞かれて曖昧に笑うはめになった。

そんな時だった。エヴァンジェリンちゃんから手紙が届いたのは。


『拝啓、親愛なる妃殿下』


???まずそう出だしが書かれていた。手紙は公式のものだからいつもの呼び方じゃないのかな???


『お姉さまと、陛下………お兄様の事で是非相談したい事がありますの………。内緒で………二人っきりでお話できませんか???明日の朝、10時にお花畑でお待ちしています。来て頂けるまで待ちますから………どうかエヴァンジェリンを見捨てないで』


深刻そうな内容みたい。急にどうしたんだろう???そういえばこの前会った時も何か言いたそうだったな………。本当は相談だったらミーシャさんの方が適任だと思うんだけど………ディーさんの事もあるからかな???あんな小さな子を森で一人きりにする訳にもいかないし、明日、早めに行ってみよう。


「エヴェンジェリンはなんて言ってました???」


「ん?あぁ………また今度遊びに行っていいかって。そうだミーシャさん明日なんだけどお使い頼んでもいい???」


「いいですよ?何でしょうか??」


「ヨランダさんとジョージさんの所に行ってどんな進み具合か見てきて欲しいんだ。後出来ればどんな感じかヨランダさんに絵を描いて貰ってきて欲しいの。それから、この前ミーシャさんが言ってた今が時期のマレネーって花を見てみたくて………それも買ってきて欲しいなぁって」


「それだと、お昼位までかかってしまいますが………」


「へーき、へーき大人しくしてるから」


にっこり笑ってお願いする。ミーシャさんに初めて嘘を吐いてしまった。チクリと心が痛むけど、エヴァンジェリンちゃんの為だしょうがない。


「わかりましたわ。他にも良さそうなお花があれば買ってきますね」


「うん。お願いします」


よし。これで、森に出かける理由を話さなくて済む。ミーシャさんが帰って来る前に私も帰って来ないとな。そんな事を考えながら紅茶を飲んだ。

夜になり、ディーさんが帰って来ると久しぶりに落ち着いた感じのお夕飯。今日の料理は、マーロウという動物のお肉のステーキ。ホコホコの温野菜が添えられて、更にかぼちゃっぽい味のスープ、ジュレ状のドレッシングのかかったサラダ等、美味しく頂く。最近、ディーさんとはゆっくりご飯できてなかったから楽しい。執務が忙しかったり、石化されてた姫君の問題とかが色々あって。そう言えば石化されていた姫君、名前はレイリアさんというらしいんだけど、ディーさんを見るのは嫌だって言って………まぁセイウスさんを思い出すからだと思うけど。レンブラントさんが対応にあたっていたのね?そしたら気に入られちゃったらしくってレンブラントさんが困ってるらしい。レンブラントさんが対応に困る事なんてめったにないので少し面白かったってディーさんが教えてくれた。それでも、レンブラントさんには幼馴染の許嫁がいるらしいので、これからのお世話は女官長のジラルダさんが主にするそう。


「レンブラントが言いにくそうに俺に担当を替えてくれと言った時には槍が降るかと思ったぞ?なんでもそつなくこなす男だからな………女官の話によるとレイリア姫がレンブラントを押し倒さんばかりの勢いだったらしいから、流石に危機感を覚えたんだろう………」


「はぁ………レイリア姫、逞しいね………」


「あぁ、あの嘆きようは何だったのかと思う………正直、ああいうタイプの女性は苦手だ」


よっぽどトラウマなのかなぁ………。ディーさん。


「それと、女神の泉を調査に行っていたリンが帰ってきたぞ?女神の泉までの道は整備して、柵は取り払う事になりそうだ」


「そうなんだ!!良かった。確かにあの道は行きにくかったものね。整備されれば遊びに行きやすくなるね!!!」


「遊びにか???」


「そうだよ!!!ディーさん、ティレンカ女神の子孫なんだから、たまには顔出してあげなくちゃ」


「む。そうか?」


「きっと喜んでくれると思うけど」


笑ってそう言えば、そうだな………とディーさん。ディーさんが時々顔を出してあげればやっぱり嬉しいと思うんだよね。そうやってティレンカ女神といい関係を築いていって欲しい。今までの哀しい歴史が、楽しい思い出に変わればいいなって思う。

そんな事を考えながら今日は終わり、エヴァンジェリンちゃんと約束したお花畑で待ち合わせをした日になった………。

ティレンカ女神と新しい関係が築けるといいね。

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