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第47話 石化されていた姫君

石化されていた姫君が見つかったらしい。らしいって言うのはディーさんが中々話したがらないから。ディーさんが帰って来てからすぐにレンブラントさんとリン先生、ラムザさんと石像が安置されていた部屋に行ったみたい。呪いが解けたと言ってもどんな状態か分からないしね。かくして姫君は無事だった。ただ、手のつけられようもない位にパニックだったらしいケド。この後の話は、たまたま廊下で会ったラムザさんが疲れた顔して教えてくれた事なんだけど。


『セイウス様?!あの女は誰ですの!!!私をこんな所に閉じ込めてなんのつもり?!!!』


まず最初にディーさんをセイウスさんと勘違いして往復ビンタをかまし、後は詰るわ叩くわで男性陣の説明ができるようになるまでかなりの時間がかかったらしい。

説明ができる状態になってからがまた大変だった。最初、姫君はその説明を信じようとせず、裏切り者、と嘘つきの一点張り。まぁ………彼女にしてみれば、王の間にいたはずなのに目が覚めたら、薄暗い倉庫みたいな所にいたんだから時間が取り返しもつかない位経ってるなんて認識できるはずもない。

しょうがないので外に出して、今のお城を見せたらしい。何百年もの間に改装したり増築したりしてるから雰囲気も変わってるしね。そこで、姫君は崩れ落ちた。


『なんてこと………』


そこで、彼女は誰に喧嘩を売ったか理解したらしい。ティレンカ女神に、『下賤の者が一時の夢を見せて貰ったのだと理解なさいな。その汚らわしい子供共々、何処へでもお行き』と言ったらしいので。

他にもその場にセイウス王子がいない事を良い事に王様共々かなり酷い事を言ったみたいね。結果姫君はもう二度と家族に会えない………自分の事を知っている人もいない、自分が知っている人もいない未来に放り出されてしまったのだ。後は、王様を呪うわセイウスさんを呪うわ自分を呪うわで泣き喚き、男性陣は宥める事も出来ず………手がつけられない様だったらしい………泣き疲れて最終的に甲高い悲鳴をあげて気絶するまでその状態。その後は、侍医さんと当面お世話をする侍女さんにだけ事情を説明して今は夏の離宮にいるそう。落ち着くまでと、ディーさんの呪いが解けた事を発表するまで、ね。その後は基本、本人の意志に任せるそうだけど………おそらくは姫君のお兄さんの血筋が残っているそうなので、そのお家に行く事になると思うとの事。………みんな御苦労様でした。ディーさんが話してくれなかったのはどうやら、彼女の事をあまり思い出したくなかったからみたい。元々、泣き喚く女性が苦手って言ってたし。往復ビンタされてかなり詰られればそうもなるなぁ?

石化されてた姫君の問題は一応、解決。私の方は、まだ時間がかかりそうです。はぁ。

今は午後、ミーシャさんにお茶を入れて貰い、慌ただしかったせいで持って帰ってきちゃったティレンカ女神に返そうと思ってた櫛と、ピアスを眺めてます。実はこれ、今日手元に戻って来たもの。王家の遺物等を扱う博物館の館長さんがレプリカつくるって言うんで宝箱共々貸し出してました。日記の方も内容写して本物は女神へ………という運びになったみたい。次に女神の泉に行く時はこれらを持っていく予定。今度そ返さないと!

後、ディーさんが、呪いが解けた事を公表する時に実際に何があって呪いがかけられたのか本当の話も公表するって言ってた。新しい呪いの王子のお話の絵本とかをつくるみたいね。自分と同じ名前のディークラウド王子が望んでいた事………父親の真実を知って欲しい………と言うのを実現してあげるんだって。


「ふー、美味しい。今日のは何て言うお茶っ葉なの?」


「今日のは子兎族ラーレンジオ産のラーレシアですわ。お砂糖を入れなくても甘味がありますでしょう?茶葉自体が糖分を含んでいて甘いんです」


今日の紅茶は仄かなピンク色なのも可愛らしい。


「ミーシャさんが、お砂糖入れてくれたのかと思ってたよ。自然でこの甘さなんだ………」


はぁ、自然て不思議だなぁ。そんな事を考えながら花瓶を見ると、レンカや他の花が綺麗に咲き誇る中、横に飾ってある昨日の花冠も目に入り、思わず溜息。昨日帰って来た時、ミーシャさんは踏みつぶされた花冠と、私がエヴェンジェリンちゃんにあげたはずの花冠を見て何か察したようだった。そのまま、何も言わずこちらも飾っておきましょうと花瓶の横の壁に立てかけてくれた。


「ねぇ、ミーシャさん………ディーさんの呪いが解けたのと、私とディーさんの結婚の誓約が解消されたのってまだ皆知らないよね?」


「はい。そのはずですよ?どこからか漏れたという噂も聞きませんし………どうされました?」


「う………ん。イリアナさんがさぁ、何か知ってるみたいだったんだよね………」


「まさか!!!イリアナは知る立場にありませんもの………知らないと思うのですけど………」


「だよねぇ?そんな噂あったら一気に広がるだろうし。誰か話す人も思い浮かばないしなぁ」


でも、知ってる風だったんだよねぇ、と言うとミーシャさんも思案顔。


「一応陛下に報告しておきますか?」


「うーん、気の所為かもしれないしいいよ」


間違ってたら要らない心配をディーさん達がしなきゃならないしね。そんな会話があってから二日位経って………私はヨランダさんからイリアナさんの様子が変だという話を聞いた。


「かなり、キてるって噂よぅ………何があったのか知らないけれど、かなり情緒不安定みたいね。ミオン様の事もかなり悪く言っているみたいだし………何もなければいいけど、一応気を付けた方がいいかと思って………」


ヨランダさんが私の心配するほどイリアナさんの様子が変って事か………。その言葉にミーシャさんを見ると………。


「はい………お恥ずかしい話、何か思い詰める事があったらしく………私にも会ってくれないんです」


意気消沈したミーシャさんの話す所によると………ミーシャさんは私の味方だから会いたくないって言って門前払いなのだそうだ。エヴァンジェリンちゃんとは話せたらしいのだけど、誰彼かまわず私の悪口を言おうとしたりいきなり泣いたり怒ったりするので今は家に軟禁状態なのだとか。一体どうしたと言うんだろう………。この前会った時はむしろ、余裕があって私を見下す位だったのに………。


「外には出られませんし、ミオン様に何かしようとしてもできないとは思いますが………」


ミーシャさん自身、従姉妹がこの状態なのには心を痛めているみたい。悪口を言われてる身だけれど、私も心配になってきてしまった。大丈夫なの?イリアナさん??

イリアナさんご乱心。これからどうなるのでしょう?

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