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第4話 いつの間にか寝てました

おっと、よだれが………。気付いてみたらどうやら寝てたみたいだ。

フコフコのベットに寝かされてました。


うーん。ディーさんに質問攻めにあった所までは覚えてる。途中で説明するのが面倒になって………どうやら私の瞼と瞼は友達になる事を選んだようだ。


一応ね? どんなとこに行くかも分かんないしさ、起きてようと努力はしたんですよ? 遠のく意識とこれでもかってぐらい戦いましたとも。ガックンガックン頭揺らして。何回か後頭部ぶつけたし。しまいにはディーさんに強制的に寝ろと言われた気がする。つーか、ふこふこの物体が枕替わりになってた気が………。いやいやいや。忘れよう。意外と疲れてたんだなぁ。幸い、頭にコブはできてなかった。頑丈だな私の頭。


でも寝ててかえって良かったのかもしれない。お城に入る時のこの国の人の反応見てたらヘコんでたかも。そんな事を考えてたら部屋の横にある小さいけど豪奢な扉が開いた。


「目が覚めたか」


ディーさんだ。鎧も脱いで先程よりラフな格好になってる。


「うん。おはよう。寝てる間に着いたみたいだね。ディーさんが運んでくれたの?」


「あぁ。ミオンが服を離さなかったしな」


それは大変失礼しました。どうやら、膝枕してもらったのは夢ではなかったらしい。

微妙に嬉しそうなのは何故でしょう?

あれか! 小さい子に懐いてもらった時のあの面映ゆい感覚か?!


「えーと。アリガトウゴザイマス」


なんだか、こっちが照れくさい。


「いやいい。虎の子の面倒を見ているようで気分は悪くなかった」


人でなく!!! 虎の子扱い?! と言うか、私から見たらディーさんが虎さんなんだけど………虎の子って幼児って意味かしらん? でもディーさん確か私が虎さんって言ったら違うって。


「つかぬ事をお伺いしますが虎ってなんですか?」


「虎か? 虎はこれくらいの小さな愛玩動物だ。外見は少し我等に似ている。しかし、四足歩行の上言葉はしゃべらんぞ」


「………あぁ、一番近いの猫ですね」


「ミオンの世界ではネコと言うのか」


なるほど。そりゃあ、虎って言ったら違うって回答になるわ。

………そんで私は猫扱いだった訳か。幼児と猫どっちがましか。微妙。


「ミオンはまだ宮廷作法等も分からなかろうから食事暫くはこの部屋に運ばせる事にした。腹が減っただろう。今運ばせる」


「ぐきゅるる~」


言葉より、お腹の方が正直でした。ディーさんにスマンと言われながら笑われる。

うう。我ながら正直者な腹め。

私のご飯を指でパッチンとか、手を叩いて呼ぶのかと思ったらディーさんは私の枕元にあったベルを鳴らして外に合図した。給仕のお姉さん………多分、達が静々と料理を運んでくる。


「ディーさん、さすがにこんなに食べられないよ」


「俺の食事もある。多ければ残せば良い」


ほっかほかの湯気が立つ大量のご飯。大き目のテーブルに所狭しと並んでる。

残せば良いとはさすが王様。しかし庶民の感覚からするともったいない。そう言ったら、残ったものは飛竜のご飯に混ぜられるんだって。失礼しました。竜かぁ、後でみてみたいなぁ。


「さぁ、食べるがいい」


「じゃあ遠慮なくいただきます」


宮廷マナーとやらがどんなのか分かりはしないけれどナイフとフォークとスプーンがあるんだから大して違いはなかろうと食べ始める。


「よかったぁ………生肉ばっかりだったらどうしようかと」


「ミオンは可笑しなことを言うな。生肉は余程新鮮なものでないと腹を壊す。あまり食べんぞ」


「ごめん。ディーさん達って私の世界でいう虎に似てるんだよね。で、虎の主食が生肉なもんでつい………」


「ふむ。ミオンの世界の虎とはこちらで言う地竜のような物なのかもな」


竜………はうちの世界いないなぁ………サイズも違うんじゃなかろうかと思ったけどあえてつっこまず。ご飯は大変美味しゅうございました。お肉もトロトロ。何の肉かわかんないけど。野菜類も良くわからないものだらけでしたが味はカブに似てたりジャガイモだったりでちょっと安心。

ちゃんとご飯もありました。ちょっと色が緑だったけど。やっぱ日本人。お米は必要でしょう。


「ごちそうさまでした」


丁寧に頭を下げて手を合わせると観察するディーさんと目が合いました。


「ソレがミオンの世界の作法か。どういう意味があるんだ?」


「うーん、私は農家の人とか、食材になったもの自体に有難うございますって意味を込めてやるって聞いたけど」


「ふむ。成る程な」


こうか、と言ってやるでディーさん。ちょっと可愛い。手は人間に似てるんだけど、毛がもふっとしてて薄い肉球みたいなものもついてるのでぽふって音がしそうだった。

こうして見ると、ディーさんて綺麗な毛並みをしてるのね。さらっふわの銀色の毛に薄いブルーの眼。

きっと人間だったらカッコよかったんだろうなぁ………残念。

対して私は肩甲骨のあたりまである黒髪に黒い眼。一般的な日本人顔。しいて言えばキツクない程度に釣り目。美少女とかだったらこういう状況サマになるんだろうけど。こちらも残念ながらそうはいかない。


「さて、ミオンが召喚された理由を話しておこう」


口を拭き拭きしてから、女官さん達に皿を下げさせてディーさんがいう。


「王妃探しなんじゃないの?」


だってそう言ってたよね? 他になんかあるんだろうか。


「そうだが、一応理由があってな」


真剣な顔していうディーさんが私を見ながら話し始める―――そんでもって聞いた理由はとんでもなく傍迷惑なモノだった………。



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