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第38話 現状で分かった事をおさらい

ディーさんが帰って来てから、現状で分かった事をおさらい。森の中にもう一つの森が隠れていた事にはビックリしてた。近場にあった事自体は、元々ディーさん予測してたしね。森の奥で迷子になった時の事を聞いてみたけど、やっぱりミーシャさんと同じで泉を見た記憶はないって。私は方位磁石を見せながら森へ入っても磁場が狂ってない限り戻ってこれると力説。ディーさんの予定を調整してから泉の捜索隊を編成して森へ入る事に。捜索隊って言ってもそんな大人数じゃないケドね?


「取りあえず、泉の管理の関係上リンを連れて行く。後、念のためミオンの騎士エルザと、俺の騎士ラムザを連れて行く。ミーシャには済まんが留守番だな」


ふむ。それにディーさんと私を含めて5人か。


「森の中は呪いの王子たちのいた頃とは成長して変わっている。一日じゃ済まないという事も考えられるから野営の準備も必要だな………すまんなミオン。本来なら武官でもない慣れないお前も連れて行くべきじゃないんだろうが………」


「何言ってるの!夢を見たのは私なんだし………私的には王子たちの言葉を女神に伝えるのは私の役目だと思ってる。絶対一緒に行くよ!!」


「わかった………共に行こう」


「呪いを終わらせようね………ディーさん」


ディーさんの目をみつめてそう言えば返ってきたのは力強い頷きで。


「………あぁ。ミオン」


なんだかちょっとシンミリしちゃった。呪いが解けたら、どうなるのかな………。ココにいる事ができるだろうか?いかんいかん。最近どうもその事を考えると後ろ向き。呪いが解けたらきっと皆幸せになれるハズ!!!そう考えないとね。

私は、隠し部屋にあった宝箱をそっと開けると、泉に行く時はこれも持って行こうと思った。きっと大切なものだと思うから。女神に渡してあげなきゃ。

この日はそれで終わり、翌日からディーさんは慌ただしかった。二日程お休みを取るのだもの。仕事を詰め込んで詰め込んでやって行く。流石にちょっと心配になってミーシャさんと執務室に陣中見舞いに行った。ポットに淹れた紅茶と、厨房の片隅を借りて作ったクッキーを持参。執務室を覗き込むと延々と書類にサインしているディーさん。ディーさんの仕事を手伝っていたレンブラントさんが私とミーシャさんに気付いて笑顔で中に入れてくれる。


「ミオン!どうしたんだ?」


「ディーさんが休憩もなくお仕事してるって聞いて陣中見舞い」


「丁度いいではないですか陛下?よもや妃殿下のお心遣いを無にしたりしませんよね??」


なんか含みのある言い方だな?と思ってレンブラントさんの方を見れば、私が休憩しろと言っても聞かなくて、と返ってきた。休憩もとらずにお仕事するディーさんを心配してくれてたんだね。


「ふー。分かった。休憩しよう」


諦めたようなその言葉に、仕事机の前のテーブルにクッキーと紅茶を置く。ミーシャさんがコップを借りてきてくれて3人分の紅茶が淹れられた。


「良かったらレンブラントさんもどうぞ」


「宜しいのですか?」


「ディーさんに付き合って休憩取ってないんじゃないですか?」


そう言うとちょっと目を見開いて驚いた顔をするレンブラントさん


「………良くおわかりになりましたね?」


「ちょっと疲れてそうだったので。ディーさん、周りの人の為にも休憩は取らなきゃ」


言われてディーさんそうだったのか?と眉根を寄せる。


「む。レンブラント、俺の事は気にせず好きに休んでいいんだぞ?」


「そういう訳にはいきません」


少し怒ったようにレンブラントさんが言えば、私もディーさんに釘をさす。


「そうだよ。王様がお仕事してるのに、周りの人が休めるわけ無いじゃん。だから、適度に休憩とって下さい。その方が疲れてお仕事するより効率もあがるよ?」


「………二人がかりで言わんでも………分かった。休憩はこまめにとる」


そう言って、ディーさんチョコチップクッキーを一枚とって口に運んだ。


「これは、ゼファンが作った菓子じゃないな………素朴で美味いが………誰だ?」


「………一応、教えて貰いながら作ったんだけど本当に美味しい?」


「ミオンが作ったのか?!」


「先程、厨房を貸して頂いて作ったんです。ミオン様が、疲れた時には甘いものが良いと」


そう言ってニコニコしながらミーシャさんが紅茶のおかわりを注いでいく。


「それは、それは。私はいい時に執務室にいましたね。とても美味しいです。妃殿下」


「うん。美味しいな。俺はこの菓子が好きだ」


「そう?そう言って貰えると作ってきた甲斐があるって言うか………嬉しいよ」


少し照れながら言うとミーシャさんが良かったですねミオン様、と言ってくれた。


「お仕事まだ沢山あるんだね」


「あぁ。今日中に終われば、なんとか明日には出発できる」


「そうなの?!準備全然してないよ?」


「準備は、リン達に頼んであるから問題ない」


「そうなんだ………なんか手伝える事、あるかな?」


「妃殿下はお気になさいますな。彼等は優秀です。仕事も早い。おそらくはもう準備は終わってます」


そう言ってくれたのはレンブラントさん。そっかぁ、なんかちょっとまかせっきりで申し訳なかったな。


「じゃあ、ディーさん今日は遅いんだね」


「いや、なるべく早く帰る。この前、ミオンが倒れた件があるからな………終わらなかったら仕事を持って帰る事になるが………今のペースだったら夕飯までには終わるだろう。後は突発的な問題が発生しなければ大丈夫だ」


「今日は、特に不安な案件は無かったはずです。まず大丈夫ですよ」


そうディーさんが考えるように言えば、笑いながらレンブラントさんが太鼓判を押してくれる。

ディーさんに心配かけっぱなしだなぁ………。でも、呪いが解ければそんな心配ごとも無くなる。

上手くいって結婚の誓約も解ければ、ディーさんはこの国の誰かと結婚するだろう。この国の誰かと………。不思議と寂しいのは、きっとディーさんを家族みたいに思ってるから。心がザワザワするのはきっと不安があるからだ。もし………もし私とディーさんが同じ種族だったら、また違った未来があったのかな?例えば恋愛したりしたのかな?そしたら、ディーさんと結婚して子供も産まれてたかもしれない。けど、私達は違う種族だ。結ばれる事は決してない。それが何だか寂しかった。

深音の心境にも少し変化が。

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