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第33話 不思議な力に呼ばれた気がする

ディーさんとミーシャさんを呼んで手紙を見せる、それからちょっと慌ただしくなった。その手紙の書き手の真偽が問題となり図書館の館長さんが呼ばれその手紙を持って行った。その際に頼んでいた本を何冊か持ってきてくれる。専門の鑑定士に見せるのだ。去り際に館長さんが言ったのはディークラウド・ウル・ガ・エルディス・ルーヴェンシアと言う名の少年が、確かに呪いの王子の息子であるという事。こんな偶然てあるんだろうか?今まで誰も見つけられなかったその手紙を、私が発見する。しかも、そこにはディークラウド………ディーさんと同じ名前。何か不思議な力に呼ばれた気がして思わずゾクリと寒気が走る。


「だけど、あの手紙が本物なら呪いの王子が泉をつくったかもしれないっていうのは分かったよね」


「確かにな。問題は何処につくったかだ。つくるぐらいだから、そんなに遠くにはつくらせないと思うんだが………おかしな事に、リンに調べて貰った時、王家指導のもとつくられた泉の記録は森の物しかない………」


「記録に残してないか、つくらなかったって事?」


「ミオンの夢に出てくる位だ、つくらなかったという事はないだろう。記録に残してないんだな」


「結局、振り出しかぁ………泉の場所は特定できてないしね」


「そうですねぇ。やはり隠し部屋を探すしかないみたいですね」


三人一緒に溜息を吐く。呪いの王子、なかなか面倒な事をしてくれる。他にも、何かないか持ってきてもらった本をめくるが今度は全く進展はない。神話の考察だったり、呪いの王子が王になった時残した実績だったり、その息子、ディークラウド王子の残した実績だったりロマンスだったり。まったく役には立たなかった。そんな感じで午後は過ぎ今日はあっけなく終わった。


次の日は、ディーさんがお仕事に行った午前中、ヨランダさんが部屋に来た。一応、おかげん窺いという事だったけど、前にミーシャさんに頼んで、ヨランダさんに仕事出来るとこないかと聞いて貰ったので来てくれたらしい。今の体調じゃ、ヨランダさんの工房になんて行けないもんね。


「はぁ~。そんな事があったのねぇ。神話って当てにならないわぁ………」


しみじみと言うヨランダさん。さっき昨日の手紙の話をし終わったとこ。


「うう。可哀想な少年、もといオウジサマ。お母さんには会えなかったのねぇ」


ハンカチを目に当てて涙ぐむ。ヨランダさん意外と涙もろいらしい。


「多分、会えてたら呪いも解けてるだろうからね………会えなかったんだと思うよ。せめてあの手紙を呪いの女神に渡してあげたいんだけど………」


「泉の場所がわからない、と。そちらの方は、私も取引のある商人に聞いておくわ。商人だったら色々な所に行くし、まれに新しい泉や湖、鉱泉なんかを見つけて文化技術省に登録に行くって話を聞くもの」


その言葉に両手をあげて喜びの意を示す。もう、抱きつきたい位。


「ヨランダさんありがとー!!!そうして貰えると助かる。ディーさんは城からそんなに離れた所にはないだろうって言ってたんだけど皆目見当つかないしさぁ」


「情報はあって困る事はないもの。もしかしたら、どこかで当たりが引っかかるかもしれないし?早く呪いの王子の隠し部屋が見つかるといいわねぇ」


「うん。なんとか見つかるといいんだけど」


そう言ってミーシャさんの淹れてくれたお茶を飲む。


「そうだったわ!!今日来たのはミオン様が仕事を探したいって聞いたからなんだケド」


話はかわり今日の本題へ。何かお仕事出来るといいんだけど。


「うん。もうすぐディーさんの誕生日だって言うから。何かあげたいんだけど軍資金が無くて」


「妃殿下がお仕事って難しいわよね?立場もあるし………それで考えたんだけど、私のドレスのアドバイザーをして貰えないかと思って」


「アドバイザー?!」


「実はミオン様に前々からお願いしようと思ってて。新しいブランドを立ち上げようかと思うの。そこで異世界のファッションを取り入れられたらと思って」


モジモジと言うヨランダ。はぁ成る程。


「私そんなにファッションとか詳しくないよ?」


「それでも構わないわ。使い古しの視点じゃなくて新しい視点が欲しいの。ミオン様が適役なのよ!!」


その熱意に負けました。キラッキラの目で訴えられるとこちらが弱い。


「私で良かったら全然構わないけど………」


「嬉しいっ☆後、ミオン様の世界にあって便利だったなと思えるものでこちらの世界でもつくれそうな物があったら教えてちょうだい☆」


ヨランダさん、商魂たくましいな。つくれそうなものなんかあったかしら?取りあえず、思った事を口にする。


「色々な作家さんとコラボしたら面白そうだね」


「コラボ?」


「うーんと、別のブランド同士が協力し合う事?例えば、ヨランダさんのドレスにワンポイントでつける装飾品を別ブランドの銀細工職人さんやガラス職人さんに頼むとか。そうするとのブランド価値がかわるじゃない?」


「ふむふむ。それはそれで面白そうねぇ。ただし、値段の折り合わせが大変そうだけど」


「確かにねぇ。でも目新しくはなるよね?こっちって完全に畑が分かれてるから………服は服、靴は靴みたいな」


「そうねぇ、ミオン様のブーツも私の服に合うように外注したものだしねぇ」


「別の畑の人達が寄り集まって一つの作品をつくるのもきっと面白いよ」


私がそう言うと、ヨランダさん真剣に考え込む。


「賛同者が必要だわ。色々な所に声をかけてみる………そう言えばミオン様素敵な首飾りをしてるわね。陛下からでしょう?見せてもらっても?」


私はうん。というとチョーカーをはずしてヨランダさんへ。


「いい細工だわ」


「まだ無名の作家さんだって」


「後ろに名前が書いてあるわね………ロペス………ジョージ・ロペス」


「無名の作家さんとかから探した方が面白いかもよ?ガッチガチの職人さんより柔軟性があるかもしれないし、無名だから名前を売りたいと思うしね。ヨランダさんのブランドに参加できるなら名前が売れるじゃない?」


私がそう言うと、ヨランダさんハッとしたような顔をしてこちらを見る。


「そうね、それがいいかもしれないわ。私の方もその方がコストも抑えられるし。やっぱり有名ブランド同士だと、主導権を握るのはどっちだとか、プライドがあるからこんな値段じゃ出せないとか色々出てくるしねぇ………」


一度、似たような事をしようと思ったんだって。それはイベントでって話だったけど、色々折り合わず頓挫したそう。


「その時は、出来ないのが当たり前と思って諦めたケド。私の発案でもなかったしね。今回は色々頑張ってみるわっ。ミオン様、有難う☆」


ブランドの方向性がヨランダさんの中で決まって来たらしい。良かった良かった。と言うわけで、ヨランダブランドのアドバイザーに就任決定しました。なんか、報酬に凄い額提示されたけど怖かったので断ったら逆に怒られた。自分の価値を安売りするなって。安売りする気はないけれど、果たしてそれだけの価値があるのか分からないと言ったら、価値を決めるのは第三者と言われてしまった。確かに。なんか、野球選手になった気分。ちゃんと自重せねば。

異世界にて深音の仕事が見つかりました☆

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