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第22話 前向きに行こう

その日の夜、どうやら私の様子はおかしかったらしい。ディーさんに何度も「ミオンどうした?」「大丈夫か?」を連呼される。そんなに変だったかな?


まぁ、でもちょっと落ち込んでいたのは事実。万人に好かれたいとは思ってないけどさ。イリアナさんの拒絶は他の人みたく誤解を解いていけるレベルじゃない気がして正直痛い。

そんなにディーさんが好きなんだなぁ………とも思う。ディーさん、もちろんいい人だし私も好きだけど、好きの方向性が違うしね。

あちらさんから見たら私なんて綺麗な花についた害虫だろう。

それより第2、第3のイリアナさんが出てきたらどうしよう………。だってディーさんモテルってこの前ヨランダさんがいってたもん!!! 呪い持ちじゃなかったらきっととっくに結婚して子供もいるんだろうな………。いかん。思考が後ろ向き?? 気にしたって始まらないんだ。前向きに行こう。


というわけで一夜明けた今日の午後はディーさんと、ミーシャさんと厨房に顔を出す事になった。

昨日ミーシャさんと話して宿題の量が減ったから空き時間に行こうって事になったんだ。宿題も終わったので今からディーさんの執務室にお迎えに行く所。

今は、厨房はお昼休みの時間。邪魔をするのは申し訳ない気がしたんだけど、もっと後になると夕飯の支度の為に戦場になるそう。流石にその時間に行くのは邪魔だろう。

延々と長い廊下を絵とか置物を観察しながら進んでるとヨランダさんともう一人背の高い美人さんと行きあった。


「ミオンさまっ☆今日も虎の子のようでらっしゃる!!! 私のつくった服がこんなに似合うなんてミオンさまだけよぉ☆」


相変わらずのくねくねぶりに思わず三人顔を見合わせて苦笑してしまった。


「妃殿下、初めてお目にかかります。私の名はエルザスと申します」


そこで、私の頭は? になった。何故ならその美人さん、エルザスさんの服はショートパンツに、ニーハイブーツ、軍服を着て腰から剣を下げてるけど………胸があったから。


「エルザスって男の人の名前ですよね?」


私が不思議そうな顔をして言うとエルザスさんが爽やかに笑って答えてくれた。


「ええ。うちはヨランダと逆なんです。男兄弟ばかりの真ん中でね。父はこの名前しか用意してなかった。親しいものはエルザと呼びます。妃殿下もよろしければそうお呼び下さい」


そう言って歯がキランと光る様は宝塚歌劇☆の男役の人みたい。つまりは下手な男よりかっこいい。


「ふふ。エルザは白鳥騎士団の団長なんです。ミオン様が他国に行く時警護するのは彼女達になるのでここでお会いできたのは良かったですね」


そう言ったミーシャさんとエルザさんが並ぶとお似合いに見えてしまうのが不思議です。


「そうなんだ! エルザさん、当分ないとは思いますがその時は宜しくお願いします」


「お噂に違わず礼儀正しい方だ。あなたのような方が主で良かった」


そう言うとエルザさん私の手を取って口付けた。ヨランダさんが隣でキャーキャー言ってる。

ディーさんといい、エルザさんといいこっちの世界で帯剣されてる方は皆こうなのかな?! 

うう………ちょっと恥ずかしいよう。


「紅くなられたお顔もお可愛らしい」


うわーん。イタタマレナイヨウ。そんな事を思っていたら横から誰かに掻っ攫われました。


「遅いと思ったらこんな所で何をしてるんだ? エルザ、お前もからかうな」


あ、ディーさん。逞しい腕と広い胸は疲れた感じのディーさんだった。心なしか息があがってる?


「済みません。陛下が見えたのでつい」


クスクスと笑うエルザさん。どうやらあれは悪戯だったらしい。

ディーさんをからかうのに私をダシにするのは絶対に間違ってると思う。ビックリしましたよ。


「なぁに? 陛下とミオン様はこれからデェトだったのかしらん?」


ワクワクした感じでヨランダさん。


「デェトというか厨房を見学に行くんだよ」


楽しみ☆というとヨランダがチッチと横に指を振る。


「ノン!! ミオン様! 二人で行けばどこでもデェト☆」


「え? そうなの??」


そう言ってディーさんを見上げて首を傾げればディーさん、また視線を逸らし気味でデェトか、と呟いている。大丈夫デスカ??


「脳内花畑のヨランダはお気になさらず。そう言う事でしたら、厨房の者たちの休憩時間が終わる前に行かなければなりませんね。では、邪魔ものは退散致しようか?」


そう言ってエルザさんヨランダさんに目配せをする。


「そうねぇ。お邪魔虫は退散しなきゃ☆じゃあ、陛下、ミオン様楽しいデェトにしてきてね☆じゃあねミーシャ☆」


「では失礼します」


そう言って二人は風のように去って行きました。


「相変わらず、慌ただしいお二人ですね」


「そうだな。特にヨランダが」


ミーシャさんとディーさんがお互いに頷きあう。


「ちょっと恥ずかしかったけど、私は楽しかったかなぁ?」


そう言ったらディーさんの悪戯っぽい笑み………?


「これの事か?」


そう言ってディーさんまで私の手を取り口付しやがりましたの事よ?!


「んなっ!!!」


思わず変な叫び声をあげてしまった!!! こんちくしょうと睨んでペシペシ叩いたら笑われました。

そんな私達を微笑ましいと言う感じにミーシャさんが見ている。


「今のは尊敬のキスだな」


それで私は元いた世界の格言を思い出した。


手の上なら尊敬のキス。

額の上なら友情のキス。

頬の上なら厚情のキス。

唇の上なら愛情のキス。

閉じた目の上なら憧憬のキス。

掌の上なら懇願のキス。

腕と首なら欲望のキス。

さてそのほかはみな狂気の沙汰。


―――と言うもの。この世界にも似たような格言があるんだろうか。

どっちにしても私は、どれもごめん被りたい。だって恥ずかしいもの。

この格言ちょっと好き。

実は額にするか迷ったんですよね。尊敬のキスで良かったね深音w

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