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第1話 右も左もわかりません

いやぁ………。精巧な着ぐるみですな。と思っていたら虎さん達が動揺しているように見えた。そりゃあ洞窟のど真ん中にトイレっておかしいよね?わかるわかる。つーか、この扉とかトイレってどうなってるの??? 某、どこでもドアみたいなんですが。

多分あれだな、トイレで寝たんだ。それにしても何時の間にこんな精巧な夢を見るスキルを手に入れたんだろう。やるな。私。とか思っていると。虎さん達が何か話し出した。


「ΓΛΘ、τζ?」


私の方を指さしながら何か言う。


「は? 何語?? ………夢にしちゃぁ言葉通じないとか現実的よね?」


「Д!」


「δ。ΨπΩυ、ξЮБщμжЁ、Жё」


わお、リアル~っ。つーかあの口でどうやって発音してるんだろう???

そんな事を思ってると銀色の綺麗な毛の虎さんがこっちに来て私の手を掴んで指をさす。


「ΓΛΘ、τζ?」


なんかちょっと失礼な事言われてる気がする。てか、そもそもいきなり手を掴んで指をさすこと自体が失礼だが。


―――ん?


妙な事に気付いて私は虎さんの手を見た。―――。暖かい。ましてやもっふもふ~な毛の感触がある………。


―――あれれ?これ夢だよね?


夢って温度とかあったっけ? そんな事を思っていると虎さんから天日干しした干し草みたいな香りがした。更に気付く。洞窟の中だけあって肌に湿気と寒さを感じる。私こんな精巧な夢を見るスキル………あるわけないしっ! じゃぁあこれは?? この虎さん達も………?


「本物?!」


思わず、手を振り払ったら「ガルルル」と唸られました。そこだけはわかる。不快だったんですね。


「これってあれ? 異世界召喚?? てかなんで虎??? 言葉も分かんないしっ!!!!」


軽くパニック状態です。身振り手振りで示しても虎さん達には伝わらない様子。異文化すぎてコミュニケーション失敗。不思議と肉食獣なのに食べられる気がしないのは二足歩行で言葉しゃべって服を着ているからか?


「くそう! 駅前留学だってやくにたたないよっ!! ボディランゲージなんてもう信用しないぞ!!!」


そんな事を叫んでいたらなにやらブツブツ呟いた虎さんにいきなり唇を奪われました。これはあれか、舐められたと思った方がいいのか。いや、まがりまちがってもファーストちゅう。こんの………!


「馬鹿虎がっ!」


殴りかかったらそのまま手を捕まえられました。


「誰が虎か。誓約の儀をしただけだ。いちいち騒ぐな」


不機嫌そうに言う虎さん。言う………あれ?


「言葉がわかる?」


「誓約の儀をしたと言った」


「は? そんなの分かんないし。ワタクシの方の文化にはそんなものアリマセン!」


思わず涙目になってしまった。虎がファーストキスって。あ、でも動物だからノーカン?!


「誓約の儀は、異世界の者がこの国の言葉を理解するために神々が定めた約定だ」


「異世界?! それって夕飯までに帰れるの?」


「………無理だ」


「じゃあ、使命を果たせば帰れる………とか?」


「無理だ。だがそうだな使命はある」


「なにそれ?! じゃあ何すれば帰れるの?」


「帰れない。お前は神々が定めた俺の妻だ」


はい??


諦めたような口調でそう言われました。デモ、シュゾクチガイマスヨ???

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