第14話 10時のピクニックが楽しみです
朝ですョ。今日もディーさんは抱き枕でした。駄目だね。無意識のうちだからどうにもなんない。
幸いディーさんは何とも思ってない上に、私の大根足なぞ軽過ぎて寝るのが邪魔にならないらしいので気にせず抱きついて寝る事にしました。ごめんねディーさん(笑)
さてディーさんはお仕事に、私は10時のピクニックにレッツゴ―☆です。
「はぁ………お城の裏ってちょっと行ったら森だったんだね?」
「森と言うか、これも庭の一部ですミオン様。確か5代前の王が、王子様達にせがまれてつくったのです。外の森は危険な動物が多くて王子様達が行く事はできないですからね」
はぁ。なんつー甘やかし方。でも王様だもんそんなもんなのかなぁ………。
「森には、小動物もいますからね。途中で見れるかも知れません」
「普通に気になったんだけど、結構大きいよねこの森………迷子になったりしないの?」
「なりますねぇ。奥に行けば、ですけど。子供の頃、兄さんと陛下と一緒に迷子になりました。森には目印の木があるのですけど、子供の頃は知らなかったですし。2日迷子になって凄く怒られましたわ」
「そうなんだ?! 以外。皆、やんちゃだったんだねぇ」
「子供のころですから」
そういうとミーシャさんは恥ずかしそうに笑った。
二人でてくてく歩いて行くと広葉樹のなかに時々針葉樹が混じっている事に気がついた。
「目印の木ってこれかなぁ」
「はい。後は果実の木が出てきたらこれ以上奥には行かないようにという意味です」
「へえ………」
どうやら針葉樹は、今日行く泉への目印らしい。時折、頭上でリスや小鳥が私達を不思議そうに見ていた。
「あぁ、小川にぶつかればもうすぐですわ」
泉から流れてる小川なんですとミーシャさん。
木漏れ日にキラキラ反射して流れて行くのがとっても綺麗。
「うわぁ、綺麗だねぇ………」
「泉はもっと綺麗ですよ?」
「へぇ、楽しみ~v」
そんな会話をしながら二人、泉へと向かう。それにしても、この森をつくった人は凄いなぁ。つくられたとは思えないほど森らしい。そう言えば、管理されない森には動物が住めなくなるって聞いたけど本当だろうか? だとしたらこの森を管理する人がいるんだろうし、それも大変そうだなぁ。そんな事を思いながら歩いていると、開けた場所に出た。泉だ。
「うわぁーっ」
私の口から出たのはそれだけで………。あまりにも綺麗な光景がそこにはあった。
こんこんとわき出る水は透明度が高く、泉の底まではっきりと見える。水の中では見た事のない藻がユラユラと揺れ黄色い花が水中に咲いていた。泉の周りには秋と言う季節にも関わらず、花が咲き乱れ蝶まで飛んでいる。そこに鹿がやってきて水を飲んでいた。なんて綺麗な泉なんだろう。
「ミーシャさん有難う。こんなにきれいな場所初めて!!」
「ミオン様にそういって頂ければ嬉しいです。私の好きな場所をミオン様にも好きになって頂けて良かったですわ」
そう言うと、ミーシャさんはにっこり微笑んでからお茶の支度をはじめた。綺麗な花を踏みつけるのは可哀想なので木の根もとに大きな布を敷くのを手伝いながら私は今日ここに来れた事を感謝した。
ミーシャさんがいつものように紅茶を注いでくれる。今日のお菓子はマカロンみたいなやつとサクサクのクッキーみたいなやつ。どちらも甘くて紅茶が美味しく感じる。
今日ばかりはミーシャさんも一緒にお茶をする。一人で飲むのは嫌だと事前にダダをこねたから(笑)最初は渋っていたミーシャさんだったが、誰もいない所でならいいじゃんと悪魔のささやきをした所、最終的には折れてくれました。私がしつこかったとも言う。ごめんねミーシャさん。
だけど、こんないい所で一人でお茶なんてもったいないよ。
「あのね、私、ミーシャさんに言っておかなきゃいけない事があるんだ。その………妃殿下の事で」
「? あらたまってどうしたんですか? ミオン様??」
私が、正座の形に坐りなおして言った事でミーシャさんが不思議そうに首をかしげる。
「その………ミーシャさん達が、私の事妃殿下って認識してくれてるのは分かってるんだけど………私自身、まだ納得できてる訳じゃなくてね? 種族も違うしさ………」
「それは………難しいのは分かっています………突然召喚されてこのような事態になれば誰でも。ミオン様は頑張ってらっしゃると思いますわ。でも………陛下の事がお嫌いという事ではもちろんないですよね?」
少し不安そうにミーシャさんが私の方を見た。
「あぁ、それはないない。あんなに良くして貰ってるのに………。この事はディーさんにも言ってあるんだけど、私、この国の人と違う種族なのに召喚された事に意味があるんじゃないかって………例えば、女神様の呪いを解くため、だとか」
「まさか」
「分かんないけど、そういう可能性もあるかなって。だからそう言う事もリン先生の勉強の中でヒントを探してみたり、図書館で調べたりするつもり。ミーシャさんにはいずればれちゃうと思ったから先に言っとくね? ………やっぱりがっかりした??」
そう言うとミーシャさんは一瞬黙ったけど意を決したように顔をあげた。
「それは………えぇ………少しは。でもミオン様が陛下をお嫌いじゃないのならいいんです。出来る事があれば私もお手伝いいたしますね? ………それと私にちゃんとおっしゃってくれて有難うございます」
少し、寂しげに笑ってミーシャさんが言う。チクリと良心の痛みを感じながら私は頷いた。だって授業の時にいきなりそういう話になった方が傷つくきがしたから………。
これで良かったのかは分かんないけどね。