第13.5話 ※小話※ディーさんの独り言
ミオンは今日も愛らしい。
最初見たときは、全く毛のない有様に哀れと思っていたのだが、ミオンの世界ではあれが普通らしい。
面白い世界もあるものだ。ミオンは虎の子に似ている。あの零れそうな大きな目、少し釣り上がっている所もそうだが、何よりあのシナヤカな手足。寝ている姿などまさしく虎の子。
その愛らしさにミオンのシンパが出来つつあるとミーシャとヨランダが言っていた。
俺は、ミオンをまだ妻として見れているわけではないが護りたいと思うほどにはあの娘が好きだ。
来たのがミオンで良かったとすら思える。一番最初の出会いを考えれば信じがたい事だ。
あの時は俺も取りみだした。なんせ、同じ人種のものが来ると思ってたからな。
ミオンは最初の混乱を超えてしまえば至極冷静で………それで俺も冷静になる事が出来た。
王家のみに伝わる秘匿された伝承では、他の者は皆泣き喚き、最初は手が着けられなかったという。
それを考えればミオンを子供だと思っていたから余計に驚いた。
ミオンは全くそのような事はなく、―――もうすでに婚姻の誓約をしたと言った時は取り乱し怒っていたが………それを引きずることもなかった。
そう言った意味で、俺はミオンを尊敬している。
そしてだからこそ誓ったのだ。この愛らしい少女にもう嘘は吐くまいと。
―――まぁ本来は女性と言うべきなのだろうが。
我が国では15才になったら成人だ。ミオンは19であと少しで成人すると言っていた。しかしどうもその小さな体躯と大きな目をみると子供のように扱ってしまう。先程もそれで怒られた。膝の上に乗せてご飯を食べたのだがお気に召さなかったようだ。
まぁ、確かに19のレディーにする事ではない。………思わず、忘れていたのだ年齢を。新しいドレスを着たミオンはそれは愛らしかった。くるくると回って『どう?』と言う様は皆に見せてやりたいほどだ。
まるで虎の子の人形にドレスを着せたようで………膝の上でご飯を食べさせたくなったのは俺が悪いのだろうか??? 食べさせる事は断固拒否されたが。こう書くと俺がまるでヨランダのようだ。虎の子に似てれば誰彼構わずやろうと言うわけではないので、そこを勘違いしないでもらいたい。
あと注意されたのが言動か。俺は特に恥ずかしい事を言っている気はせんのだが。ミオンからすると『こっ恥ずかしい』のだそうだ。取りあえず、皆の前ではやらないようにすると誓う。ただ、どれがミオンの『こっ恥ずかしい』に該当するかがよくわからないので注意が必要だな。
ミオンといると新しい発見や異世界の珍しいものの話が聞けて大変楽しい。ミオンは思う所があったらしく明後日からリンと勉強を始める。しかし、まだこの世界に慣れてはいないであろうミオンを思うと少し心配だ。無理をしなければ良いが………。
ちょっとディーさんの心境を綴ってみました。