第12話 ギャフンと言うまで言い返したい
さて、お昼が終わったら再び散策。ディーさんはもちろんお仕事に。図書館とか謁見の間とか見に行きました。庭は明日のお楽しみ。10時のおやつを持ってく予定。このお城、どこもかしこも絢爛豪華。でも嫌味な所が無いのが救い。見どころも満点だしね。
お城の皆さんには通達が行っているのか会う人会う人に頭を下げられ大変恐縮。中には嫌~な感じの人もいたけどねっ!!! あっきらかに小馬鹿にした感じでこっちをみるおっさんとか!! 何言ってるか意味分からなかったけど。さりげなーく嫌味を言って来るおばはんとかっ!!!
馬鹿な子の振りしてにっこり笑ってやりました。この国の知識を手に入れたらギャフンというまで言い返してやりたい。ええい、知らないだろうって態度が見え見え。ミーシャさんも苦虫を噛み潰したようなお顔。私のために怒ってくれる人がいるんだからまぁいいか。顔と名前はしっかり覚えたし。
オボエテロ。
「決めた。決めたよミーシャさん。リン先生の都合が合えば明日からでも勉強する」
「申し訳ありませんミオン様。躾の行き届いていない者が失礼を………。ですが、その姿勢、流石ミオン様です。後で、このミーシャ、ウェリン様に連絡しておきますわ」
ミーシャさん………躾って随分厳しい事いうね? でもその気持ち嬉しいよ………。二人でがっしと手を握り合いました。
―――実のところミーシャさんの肩身も狭くなる気がするんだよね。私についてくれた事で。『ミーシャ様のような方が馬鹿な主人を持って云々』っていう囁きもさっき聞こえたし。ミーシャさん、多分位の高い貴族のお嬢さんのような気がする。所作とか見てると、その辺の女官さんとちょっと違うんだよね。多分、本当に私の為だけに女官になってくれたんじゃないかなぁ………もちろん、私の為って言うよりディーさんの為って方が正解だと思うけど。
こっちで色々お世話になる身としてはディーさんやミーシャさんに恥をかかせないようにちゃんと勉強するのが唯一できる恩返しだと思うのね? 皆が皆、私を歓迎してくれてるんじゃないんだし。
後で聞いて分かった事によると、ディーさんてかなりの有望株で良い王様なわけで、虎さんしようではあるけれどかなりの美丈夫なんだって。でも残念ながら呪い持ち。そんでもって召喚されてきたのが私みたいなのだって言うんでかなり色んなところからヤッカミがあったみたい。
お嬢さん達はクヤシーって感じで、オジ様達はこんなのが王の………って感じね。ディーさんてば愛されてるね!!! ちょっと嬉しくなった私はお馬鹿でしょうか?
「あ、いたいた☆ミオン様ぁ~☆」
くねくなしながら駆けてくるアレはヨランダさんだ。
「あれ? ヨランダさんだ。どうしたんだろうね?」
「ミオンさまお気に入りの一着が出来たのよう☆試着してみてくれる?」
「えっ?!こんな短時間で?!!!」
「うふふふふ、ムカツク事言ってる連中がいたから全部の仕事後回しにしちゃった☆倍速で急いでやっちゃいました!うふ☆」
うふふふふの所がちょっと怖かったです。ヨランダさん怨念こめたよね?! 今っ! しかし、ムカツク事言ってる連中ってもしかして………。
「もしかして、また私の事で誰かなんかいってた???」
「ま・たですってぇ~~ッ」
ヨランダさん、きーっと言わんばかり………背後に般若が見えました。ひいっ!!!
「ヨランダ。ミオン様が怯えてます」
「あらっごめんなさい☆ミオン様っ大丈夫ョ!! 一部の馬鹿者どもが何と言おうとこのお城の大半はミオン様の味方よっ。そもそもミオン様のこのキュートな魅力が分からない奴らなんて毛ほども気にかける必要なんてないわっ☆」
「ヨランダさん………有難う………」
そう私が言うと、ミーシャさんとヨランダさんが、がっしりと以下略。
熱い友情が生まれた瞬間を見ましたョ。うーん。しかし結構色んなところで言われてるんだなぁ………。面と向かって言われるのはまだ平気なんだけど蔭口は………ちょっと傷つく。
「でも良かったの? 全部の仕事、後回しにしちゃって?? てか、大丈夫なの???」
「いいのよう☆文句言われるような仕事しないもの私。嫌ならへたっぴいな服つくる他の店に行けばいいのよ。どっちみち優先順位はミオン様の方が高かったわけだし。なんてったって妃殿下ですもの」
そうじゃった。皆の認識は妃殿下でした。
「ヨランダの腕はこの国一ですからね。おいそれと文句を言って服をつくって貰えなくなるよりは黙って受け入れるでしょう」
ヨランダさんできる男だ。貴族の人が文句を言えないってまるで影の支配者みたい。
折角服が出来たと言うんでこの後、部屋に戻って試着させて頂きました。予想以上に可愛かったです。
ヨランダさん本当にできる男☆
ミーシャさんとヨランダのタッグが誕生。深音を護る最強の盾になりそうです。