第11話 ドレスはディーさんのポケットマネー
ヨランダさんが帰ったに後には一枚、最初に描いてもらった一番お気に入りのドレスの絵。
ディーさんにも見せてあげたくてもう一枚描いてもらっちゃったモノです。
『陛下にも見てもらいたいなんていじらしー☆陛下ったら果報者っ☆』なんて怖ろしい事を言われましたが。いや。つくってもらう費用はディーさんのポケットマネーから出るそうだし、こんなの出来ますよって教えてあげたいだけだったんだが。
「もうそろそろ陛下もいらっしゃるでしょうし楽しみですねミオン様」
こちらもちょっと勘違いしてるミーシャさんに笑顔で言われました。
そのディーさんと結婚しない方法も探す気ですっていったらショックを受けられそう………。
「うん。見せるのは楽しみだけど、ねぇ」
あはははと笑ってごまかす私。どうせ、授業受けるようになったんならバレるんだけど。
そんな事を考えてたらディーさんがやってきました。手にはまだ資料を持ってて見知らぬ虎さんが後ろを着いてきてる。
「駄目だ、これじゃあ認可できん。バイクロフトに地竜の生態を研究したければそれなりの隊員のリスクも書けと言っておけ」
そういって資料をポンと渡す。みしらぬ虎さん、しょんぼりお帰りです。
「ディーさんお疲れ様」
「あぁ。ミオン。ドレスはどうだった? ヨランダの奴ヒ☆ミ☆ツ☆とかいいながら報告にならない報告で帰って行ったからな。全くわからん」
その物まねに思わず爆笑してしまった。だって似てるんだもん。ヨランダさんってば私がディーさんにも見せたいって言ったから黙って帰ってくれたんだ。いい奴~!!
ミーシャさんと他の女官さんが料理を持ってきてくれる間、一枚、書いてもらったデザイン画を見せました。
「一番気に入ったのだけ描いて貰ったんだ。ディーさんに見せようと思って。ヨランダさんは知ってたから黙って帰ったんだよ。怒らないであげてね?」
「そうか。別に怒ったりはしないが」
どうどう? と聞くと。うむ。と一言。
「いいと思うぞ?可愛らしいが子供っぽくない………ミオンの虎の子のような良さが出る。これを着たミオンが早く見てみたい」
うおぉディーさん流石にそれはこっ恥ずかしい!!! と思ってたら動きを止めて眼をキラキラさせた女官さんとミーシャさんと眼があった。私と眼が合うと慌てて仕事を再開する。
その頬は薔薇色に染まって………心の中のキャーって声まで聞こえてきそう。
誤解ってこうやって産まれるんだなって瞬間でした。
「それは良かったヨ」
「どうしたミオン? 急に元気がないな?」
この件は夜にでも話し合うべきだろう。でもディーさん天然ぽいからなぁ………。なんとなく他の場面でもやらかしてくれそうだ。
「いやいや。お腹へったなーって」
「そうか? 今日はゴウザの山にある幻とも言われるキノコが手に入ったと料理長が言っていた。あれはうまいぞ?」
「へえ、どんなのだろう」
「目の前にあるだろう? それだ」
「え?! 肉かと思ってた………これ?」
「キノコだが、肉のように脂が乗っていて美味いんだ」
ディーさん涎が見えそうです。そんなに美味しいんだぁ………楽しみっ。
―――絶品でした。
口の中に入ると蕩けるキノコってどうよ?ほんと特上の肉みたい。またこのソースと相まって………料理長!! あんたいい仕事人だよ!!! 今度会って直にお礼いいたい。もぐもぐ。
「そう言えばミーシャさんは?」
「控えの間で昼を食べてるだろう。何か用事か? なら呼ぶが」
ベルを取ろうとするディーさんを慌てて止めました。
「いいの。姿が見えないからどうしたのかなって。一緒に食べればいいのに………、あ、仕来たりとかで駄目?」
ちょっと上目ずかいで言ってみた。私の上目づかいじゃたかが知れてるがな!!!
「む………。―――残念だがそうだな。王族と女官達がテーブルを共にすることはできない」
ディーさんどうしたんだろう?なんかプルプル震えてこちらを見ようとしない。
「どしたの? 寒いの?」
小首を傾げて聞いたら、大丈夫なんでもないって。本当どうしたんだろう。
虎の子スキーには十分効果があるでしょう。