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メイド勇者とホスト魔王  作者: わったん
第四章 悪神との戦い 真相編
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第51話 魔王、共闘する!

 アルマ達と瑠偉の戦いはレナの特攻で始まろうとしている。


「ニャハ!一番槍もーらい!」


 そう言って踏み込む構えに入ろうとしたレナの肩を掴んでアルマが止める。


「待て!猫娘!あいつに無闇に突っ込むな!」


「ニャ!?なんで!?」


「あいつの黒いオーラに触れると猛毒のように恐怖が全身を侵食する!貴様らだとそれだけでアウトだ!」


「じゃあどうやってアルマは戦ってたのさ!?」


「侵食された部分を切断して、また再生してを繰り返していた。」


「あー!だからそのダッサイファッションなんだ!ごめんね!趣味悪いとか言って♪」


「こんのクソ猫がぁー!」


 アルマとレナが言い合っている所に、瑠偉の黒いオーラが2人を飲み込むように襲い掛かる。


「ンニャ!危ない!」


「オーラのカケラにも当たるんじゃないぞ!」


 2人は大袈裟と言っていいほどの距離を後ろに飛んで躱す。

 それはシルヴィアとノンノが居る後衛にまで下がるほどだった。まだ瑠偉の力を知らないシルヴィアが慌ててアルマに質問をする。


「ちょっと!そんなオーバーに躱す必要があるの!?」


「なんかね!アルマが言うにはあれに触れたら終わりなんだって!」


 レナがさっき聞いた情報を手短にシルヴィアとノンノに説明をする。


「そんなのこっちから攻撃できないじゃない!」


「いや、我に少し考えがある。おい猫娘よ、あの道の端にある残骸をあいつに投げてみよ。」


 そう言いながらアルマは落ちているコンクリートの塊を指差す。大きさは直径1メートル程あり、それはアルマの攻撃で破壊された建物の一部だと考えられる。


「ニャ?良いけどどうせさっきみたいに避けられると思うよ…。」


「良いから投げてみよ!確かめたい事があるのだ!」


「はいはい…。レナだって女の子なんだからあんな重い物をほいほい投げれるわけないんだよ!」


 ブツブツ言いながらもレナはその塊を軽々と持ち上げると、そのまま高くジャンプしてから瑠偉目掛けて思いっ切り投げる。


「どこが女の子だ…。化け物ではないか…。」


 高い位置から放たれた塊は、しっかりと狙い通りに瑠偉へと物凄いスピードで向かっていく。


「またそれかい?」


 瑠偉は自分へと迫る巨大な塊を見ても至って冷静であった。それは、レナの塊を投げるモーションも大きく、距離もあったため避けやすかったのが要因だろう。

 あっさりと瑠偉に避けられた塊は、虚しく破片を飛び散らせながら地面に激突する。


「アルマちゃんは何がしたいの?僕に近付くのが怖くなっちゃった?」


「くくく…。やはりな!貴様の黒いオーラは意志あるモノにしか恐怖を与える事ができない!

しかもあの勢いで迫る塊は、オーラをクッション代わりにしても本体にまでダメージを与えるだろうしな!だから先程と同じ様に避けるしかなかったのだ!」


「ニャニャー!アルマってちゃんとしてるんだ!」


「良くやったぞ!猫娘よ!これで…」


「これで?どう攻めるの?作戦は?」


「こ…これで…。」


 レナの質問に答えが詰まるアルマ。顔だけはなんとか格好をつけたまま維持している。


「ニャー!!なんも考えてないの!?ちょっとカッコ良かったのに!!」


「う…うるさいわ!これから考えるのだ!」


「アハハハ!アルマちゃんは面白いなぁ!

さっき言ってた事は当たってるけどさ、それだけじゃ僕を攻略するのは無理だもんね!

遠距離攻撃さえ気を付けてれば君達は攻撃できないんだから!」


「避けられなければ良いんでしょ?」


 高笑いを上げる瑠偉へ向かってシルヴィアが弓を構えている。


「エルフの女の子か…。そんな矢が飛んでこようが僕に当たるわけ…え…?なんだこれ…?」


 瑠偉が上を見上げると、やじりまで木で出来た矢が数十本も浮かびながら自分へと狙いを定めている。


「いつのまにこれだけの矢を…。」


「この世界樹の幹から作られた弓は、その本体から私のオーラを糧に矢を生む事ができるの。」


 シルヴィアはそう言うと、弓から枝が生えるように矢を作り出した。


「それをあなたに気付かれないようにオーラを纏わせて空中に浮かばせ配置した。これだけの矢を避けられる?」


「ちょっと…厳しいかなぁ…。」


「そう。それなら良かった。」


 そう言ってニコリと笑うと、シルヴィアが手元の矢を放つ。すると、それと同時に空中で待機していた矢も瑠偉を狙って放たれる。


「ニャー!いけー!!」


「やるではないか!エルフの娘よ!」


 アルマやレナの目から見ても、この矢の数ではいかに瑠偉とはいえ為す術はないだろうと思っていた。


「うわぁぁぁぁ!!!!」


 瑠偉が迫りくる矢に怯えるかのように叫び声をあげる。


「なんちゃって♪」


 怯える表情から一転して、瑠偉はペロリと舌を出しておどけてみせた。

 そして瑠偉は瞬速の矢が届く前に、黒いオーラを半径5メートルほどのドーム状に大きく広げる。


 黒いオーラに飲み込まれた矢であったが、その貫通力でなんとか瑠偉を討つためその中を進んでいく。

 しかし、オーラの粘度に絡め取られて、瑠偉本体へ後一歩という所で全ての矢の動きが止まってしまった。


「惜しかったねー!もう少し距離が近ければ僕のオーラでも防げなかったよ!」


「く…、気付かれないようにするためとはいえ…配置する位置が遠かったみたいね…。本当に厄介な力だわ!」


 その時、悔しがるシルヴィアの前にいたアルマが突然瑠偉へ向かって突撃を始める。


「いや!よくやったぞ!後は我にまかせよ!」


 そう言ってアルマは赤いオーラを限界まで広げて自分を包み込むと、そのまま瑠偉のオーラの中へと入っていく。


「えっ!?何をする気なの!?」


 シルヴィアの驚きの声を背に、アルマはどんどん瑠偉へ近付いていく。

 しかし、オーラを限界まで広げたとはいえ、オーラはどんどん侵食されていき、後数秒でアルマの体にまで届いてしまう。

 それでもアルマは手を伸ばして、瑠偉のオーラの中に留まっていた世界樹の矢を手に取った。


「これでは避ける事はできまい!我が直接この矢で貴様を貫いてやろう!」


「ははは…、この恐怖のドームに飛び込んでくるなんて…本当にアルマちゃんはクレイジーだね…。」


「我は魔王だからな!」


 そして、アルマは掴んだ矢を瑠偉の胸へと突き刺す。それはトドメの一撃に匹敵するものであった。

 だが、後もう少しで瑠偉の体を貫通するという所で、アルマのオーラも限界を迎えていたため止む無く黒いオーラから脱出する。


「ガッ…!ハッ…!」


 アルマの決死の攻撃により、戦いが始まってから初めて瑠偉が膝をつく。


「はぁ…はぁ…。どうだ!我の特攻は!効いたであろうが!」


「ウニャー!アルマやるじゃん!でも結局レナは何もしてない…。」


「魔王というのは頭がおかしいのね…。でも私の矢が無駄にならなくて良かったわ!」


 そしてノンノがアルマの元へ向かうと、腐敗の力を利用して所々負ったアルマの傷を治そうと手を触れる。


「ほら!ノンノに傷見せて!治してあげるから!」


「ほ〜、魔女っ娘よ…。苦しゅうないぞ。」


 そうやって勝利を確信したように騒ぐ4人の上に、何か大きなモノが覆いかぶさり、光を遮ってその場に暗闇が訪れる。


 全員が今まで味わった事がないレベルの悪寒に襲われる。抗う事などできぬと思わせる圧力に体の震えが止まらない。


 そして、アルマ達が恐る恐る上空を見上げると、そこには空が闇に飲み込まれたかのように広範囲が黒一色となっていた。

 その正体は瑠偉が黒いオーラを広げて4人の上に移動させたのだ。


「油断…し過ぎだよね。」


 瑠偉は胸に刺さった矢を抜くと、それを握って『バキッ!』と折る。その姿に黒いオーラは纏われておらず、恐らく全てのオーラを4人の頭上へと移動したのだろう。


「確か…今日の天気は夜から雨だったはずなんだよね…。

あはは…一本橋は黒い雨にご注意を…。」


 瑠偉のその言葉の意味にいち早く気付いたアルマは血の気が引く。


「貴様…まさか…!!」


 時は既に遅く、全てを無に帰す『ザーーー』という雨音が天から振り注ぎ始めた。

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