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メイド勇者とホスト魔王  作者: わったん
第四章 悪神との戦い 真相編
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第48話 勇者と継承した信念

 聖剣を高く振りかざすラヴィをミユミユは不思議そうな顔で見ている。


「は?何するつもりだてめぇ…。まさかとは思うが…。」


 そんなミユミユの予想は的中し、勇者のオーラ全開でラヴィは聖剣をそのまま力任せに振り下ろした。


「どっせぇぇぇぇいっ!!!!おらぁぁぁ!!!!吹き飛べやぁぁぁ!!!!」


 そんなメイドらしからぬ、祭りのおっさん顔負けの掛け声と共に振り下ろされた聖剣は、爆風を伴いながら地面のアスファルトを砕き、それだけでは収まらず、もっと奥深くまでクレーターを作っていく。


 そのクレーターも、空高く立ち上がった柱のような青いオーラと共に周囲の建造物を薙ぎ倒しながらどんどん大きくなっていく。


 周囲を飲み込む光と、まるで強大な威力の爆弾が爆発したような爆風を腕で避けながら、ミユミユも吹き飛ばされないように踏ん張っている。


「ば…!化け物かこいつ!!」


「そい!そい!そぉぉぉぉいっ!!!!(き…きもっちえぇ…。)」


 久しぶりの力の解放が気持ち良過ぎて悦に浸っているラヴィは、正気を保つために段々とその力を緩めていく。

 そして徐々にオーラも収まっていき、土煙が晴れていくと、ミユミユの目に飛び込んてきたのは巨大なクレーターの真ん中でガクガクしているラヴィと、せっかく仕掛けた支配の力の罠が粉々にされている光景だった。


「お…お前…勇者なんじゃないのか…。なんて戦い方をしやがる…。」


「ふぃ〜…。気持ち良かった〜〜。

すまなかったな…。力の解放はお久しぶりだったので加減が分からなかった。だが何も気にせず解放できたのもお前が時空分離をしてくれているおかげだ!ありがとう!」


「うるせーよ!そんなの関係なしに破壊し過ぎだろうが!」


「ハハハ!これが原因で私は前の世界を追放されたのだ!聞いた所によると、嫌われまくって色んな国を知らない内に出禁になっていたらしい!勇者なのにだぞ!

……………うぇ…うぇ…。」


 陽気に喋っていると思っていたら、心の傷が開いたのだろうか、ラヴィは突然泣き出す。


「情緒不安定過ぎるだろ!

チッ!用意したもんは全部無駄になったみたいだな…。まぁ良い!直接てめぇをやってやる!」


 ミユミユは黒い翼を大きく広げて空高く舞い上がると、ラヴィへ向かって滑空していく。


「来るか!人がトラウマにより泣いているというのに!」


「うるせぇ!よく分からんが出禁については絶対てめぇが悪い!」


 かなりのスピードで滑空してくるミユミユだったが、今のラヴィからすれば充分捉えられる動きだったので聖剣で迎え討つ準備をする。

 だが、ラヴィの両サイドから黒い霧が現れると、両腕に絡んで迎撃出来ないようにしてくる。


「がーっ!本当に鬱陶しい能力だな!」


「お褒めの言葉ありがとうな!」


 両腕を捕らえられてしまい、ラヴィの無防備になった胸部へと支配の力を纏ったミユミユの一撃が打ち込まれる。

 しかし、その寸前でラヴィは青いオーラを胸部に集中させてガードをする。そのおかげでダメージは最小限で済んだようだ。


「甘かったな!私にダメージはほとんど通っていないぞ!」


「キャハハ!オーラであたしの支配の力に触れたな!?」


 攻撃は失敗に終わったと思っていたが、逆にミユミユは作戦通りといったリアクションを見せる。


「あたしが直接支配の力をぶち込んだんだ!遠隔操作とは段違いの支配力でてめぇのオーラを操ってやる!」


「なんだと!?そんな事できるわけないだろう!」


 ラヴィは自分のオーラを全開にして、両腕に絡んでいた黒い霧を『ブチブチッ』と無理矢理断ち切る。


「どうだ!勇者の力をもってすればこんな拘束屁でもないぞ!」


「はいはい、あっそ。じゃあこれは?」


 拘束から逃げたラヴィにミユミユが手をかざすと、青いオーラが不安定な動きを見せて自由に動かす事ができなくなった。


「なんだと!?本当に私のオーラまでも…!」


「キャハハハ!さっきまでの威勢はどうした!?もう打つ手がないなら決めさせてもらうからな!オーラのないてめぇなんか敵じゃねぇ!」


 ミユミユはまたもやラヴィの四肢を黒い霧で拘束すると、ラヴィに向けて強烈なラッシュを打ち込み始める。

 ラヴィはオーラを動かしてガードをしようとするが全く反応がない。

 拳に黒い霧を強固に纏わせたミユミユの一撃一撃がラヴィの身体に重いダメージを与えていく。いつの間にかメイド服もボロボロの状態になっている。


(くそっ…!決して油断していたわけではない!こいつの強さが異常なのだ!どうにかしなければ本当にこのままやられてしまう…!)


「あたし相手によく頑張った方だよ!じゃあな!クサレ勇者!!」


 ミユミユはトドメの一撃に、黒竜が持つような尻尾の先端でラヴィの身体を貫こうとする。


(考えろ!支配に対抗する力を!こいつが直接私を操れない理由に何かヒントがあるはずだ!15年前にネネはこいつを一度倒しているはず!

ネネにあって私に足りないもの…。それは…。)


 すると、降って湧いたようにラヴィの中で一つの答えが出る。それはネネから最後に貰った善の力を思い出したからだ。


(分かったぞ…!支配に対抗するために必要なのは『揺るぎない信念』だ!!

悪に支配などされない程の信念!それが私に足りなかったんだ!)


 尻尾が当たる寸前でミユミユがラヴィの目を見ると、その目には絶望も諦めも無かった。

 傷だらけになった顔の奥で光るラヴィの目は笑っているかのようにも見える。


「何を考えてんのか知らねぇが!もう何をしても手遅れなんだよ!」


「手遅れなんかではない!私は勇者として皆を守り!そしてこの世界を守る!

それがネネから受け継いだ私の『信念』だ!!」


 そんな揺るぎないラヴィの想いに呼応して宝玉が力強く光ると、ネネから貰った『信念』の力によって支配の力を跳ね除ける。

 自由を取り戻したラヴィは、直ぐ様聖剣でミユミユの迫りくる尻尾を斬り落とす。


「何っ!?支配を打ち破るだと!?てめぇのどこにそんな力が!!」


 ラヴィの底力に驚愕したミユミユは、追撃を警戒すると共に、状況を整理するために尻尾を再生させながら空中へと逃げた。


「ふぅー!ギリギリだったな!」


「てめぇ…何をした…?」


「ネネから最後に貰った力を思い出したんだ!

揺るぎない信念はたとえお前でも支配などできはしない!!だからお前は15年前ネネに勝てなかったんだ!!」


「てめぇ如きがネネと同じ高みにいるっていうのか!?ありえねぇ!!

こうなったら遊びは終わりだ!悪の宝玉を使って早々にこの忌々しい世界を終わらせてやる!」


「それを大人しく私が見ているとでも思っているのか!私はもう負けないぞ!!」


 ラヴィの覚醒によって2人の決着が付こうとする中、その場に近付く気配が2つあった。

 一つはラヴィを助けるため急ぐセリーナ達であったが、もう一つは突然新たに現れた謎の気配であった。

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