表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メイド勇者とホスト魔王  作者: わったん
第二章 嵐の前の静けさ編
22/32

第22話 勇者、初指名は魔王!? ①

 ここはホストクラブ『ペルソナ アルクス』。その店内でホストクラブではあり得ない程バチバチに睨み合っている2人がいる。


「おい…クソ勇者…貴様が何故ここにいる…。」


「それはこっちのセリフだカス魔王…。私の目の前から消え去れ。いや、勇者の私が消し去ってやろう。」


 セリーナが居ないと混ぜるな危険のこの2人が相対している理由…それは…。



――2時間前。

 ラヴィがどり〜むは〜との閉店作業中の事だった。「ラヴィちゃ〜ん!!」と駆け寄ってくる女の子がいる。それは赤と黒のツートンカラーをしたツインテールの女の子『カンナ』である。カンナとは、アルマがホストになった初日にヘルプについた蘭指名の地雷系姫だ。実はどり〜むは〜とのメイドさんだったのだ。


「ねーねー!ラヴィちゃん!今日この後暇!?」


「あぁ、特に何もないが…。」


「じゃあさ!飲みに行かない!?良い所あるんだ!」


「別に構わないぞ。どこに行くのだ?」


「ホ…ス…ト♪」


「ホ…ス…ト?焼き鳥の部位か?美味そうだな!行こう!」


「いや…違うけど…。まぁいっか!行こ!!」


 こうしてラヴィは勘違いの中、初ホストに行く羽目になってしまったのだ。



――そして現在。

 カンナの横には蘭が座り、ラヴィの対面にアルマがいる。ヤンキー顔負けの睨み合いを続ける2人に、蘭が場を和まそうと話題を振る。


「えっと、2人は知り合いだったの?」


「知りません。こんな陰気臭いハエのようなクズは知りません。」


「我もこんな貧乳クソガキ女は知らぬな。」


「貧乳じゃない!!デカくもないが貧乳では断じてない!!」


「お?効いておるのか?どうだ?この『効いてんの?』は最近覚えたのだ。ムカつくであろう?ん?貧乳と言われて効いておるのか?」


「殺す。」


 怒りを通り越して無感情の顔で立ち上がるラヴィをカンナと蘭が必死で止める。


「ストップストップ!!ラヴィちゃん!!1回座ろう?ね?だからその棍棒みたいに持ってるハウスボトル置いて!!」


「アルマっち!姫にそんな事言ったらダメだって!貧乳も可愛いでしょ!」


「あん?」


「ごめん…フォローを入れようとして…そんなつもりでは…。」


 No.2としてあるまじき失言をした蘭に対しても殺気ダダ漏れのラヴィ、それをカンナが無理矢理座らせる。


「の…飲も!ね?飲んだら楽しくなるって!」


「そうだな、私は客だぞ。姫だぞ。敬えよ、クソ野郎。飲めよ。飲んで楽しませろよ。」


「貴様が姫だと?ハッ!笑わせよるわ!姫扱いしてほしければ他の者にしてもらえ!我はもう行く!」


 ラヴィを姫扱いで接客するなど、天地がひっくり返っても無理なアルマは席を立とうとする。だが、アルマのその行動に蘭がポツリと一言漏らす。


「あ〜あ…アルマっちはこれでまたトイレ掃除か〜。最近全然指名取れてないもんね〜…。」


 蘭のその言葉を聞いてアルマの動きが止まる。何かと葛藤しているのか、身体がプルプルと震えている。そして、『バンッ』とテーブルに両手を付くとラヴィにある提案をする。


「我と勝負しろ!それで我が勝ったら我を指名するのだ!」


「私が勝ったら?」


「え…。」


「私が勝ったら何をしてくれるのだ?」


「それは…えっと…飲み代…奢るよ…。」


「ダメだな。私が勝ったら私の事を『巨乳様』と呼べ。そして崇めよ。それなら勝負を受けてやろう。」


「「うわ〜〜〜。」」


 ドン引きの蘭とカンナの横で、貧乳と言われた事を根に持っているのか、ラヴィはとんでもない事を言い出した。


「我に嘘をつけと言うのか!?百歩…いや!万歩譲っても『巨』ではないだろう!!」


「なら話は終わりだ。明日からトイレ掃除頑張れ。トイレを掃除する魔王か…お前ぐらいだろうな。プププ♪」


「ぬぉぉぉぉ!!分かった!!負けたら巨乳でも爆乳でも呼んでやろうではないか!!」


「いや、爆乳はいい。そこまではデカくない。」


((巨乳でもないだろうが!))


 蘭とカンナはラヴィの発言に心の中で同時にツッコミを入れる。


「で?何で勝負をするのだ?」


「フハハハ!テキーラのショットを相手より飲めた方が勝ちというのはどうだ!?」


「テキーラか!まさかお前も経験していたとはな…。」


「どうした?獄炎鳥にはさすがの勇者も手が出んか?」


「ぬかすな!!私はテキーラ観覧車を経験済みだ!!」


「な…なんだそれは!?」


 獄炎鳥で盛り上がるバカ2人に、蘭が申し訳なさそうに話に入る。


「あー!ごめんね!テキーラは今切らしててさ!注文したけど酒屋さんがまだ持ってきてないんだ!ショットなら…『コカボム』ならいけるけど!」


――『コカボム』それはパリピ達の間で流行った悪魔のようなお酒である。

 『コカレロ』をベースに『エナージードリンク』で割るお酒で、特徴的なひょうたん型のボムグラスという専用のショットグラスを使う。

 下の層には『エナージードリンク』、上の層に『コカレロ』が入れられる。飲みやすく、黄色と緑色の美しい見た目が目を奪う。


 だが!!そんな可愛らしい見た目と飲みやすさで騙されてはいけない!!

 アルコール度数29%のコカレロに、エナージードリンクのカフェインによっていつのまにか死体の山を築く恐ろしいお酒なのである。


 そうとは知らず、アルマに弱みを見せたくないラヴィは意味の分からない虚勢を張る。


「コ…コカボムな!あれだな!爆裂系のなにかかな!ボムだもんな!わ…私は勇者だ!なんでも持ってこい!!」


「おい!蘭よ!我はそんなもの知らんぞ!殺す気か!?貴様は我を!殺す気か!?」


 文明の利器を恐れる原住民のようなリアクションを取るバカ2人に、『コカボム』による最悪の地獄が始まるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ