第14話 女神、降臨
優愛の事件から数日後、アルマはなんとまだ『ペルソナ アルクス』でホストをしていた。
理由はいくつかある。
・この世界の情報を集めるのに便利。
・マジメにやればちょこちょこと『善の力』が手に入る。
・住む場所がなかったが、白石の家に無理矢理転がりこんだ。
・白石からいらないスマホを奪い取った。
と、こういった理由で柄にもなくせっせっと働いているのだ。
瑠偉もあれから店には全然顔を出さず、アルマにちょっかいをかけてくる気配もないのでひとまずは衣食住を確保でき安心している。
そして今日は、優愛から『仕事が見つかった』という連絡がきたので、アルマは出勤前にその優愛が働く所にやって来たのだった。
アルマが言われた住所に着くと、そこには小さな花屋さんがあった。店の前でアルマが看板を見上げていると、中から優愛が飛び出してきてアルマに抱きつく。
「来てくれたんだ!ありがとう!」
「もう貴様からのありがとうはいらん!あと抱きつくな!」
すっかり元気を取り戻した優愛を見てアルマはホッとする。
「ふむ、花屋を選んだのだな。」
「うん、やっぱり夢は諦められないから!ここからまたいっぱい働いて必ず自分でお店を出すんだ!」
「そうか、ならばまた困った事があれば我を頼るがよい!貴様はもう我の配下なのだからな!」
「ありがとう!配下は他にいるの?」
「白石だな。」
「白石さんかわいそー!」
そんな他愛もない会話を交わしていると、遅刻しそうな事にアルマは気付く。
「優愛よ!すまぬな!そろそろ行かねばまた白石にブツブツ言われるので失礼するぞ!」
「うん!気を付けてね!いってらっしゃい!」
そうしてアルマと別れて優愛が店の中に入ると、女性の店長がニヤニヤしながら優愛に聞いてきた。
「あれが優愛ちゃんの王子様?結構カッコいいじゃん!」
「うーーん。ちょっと違うんですよねー。」
「あら?違うの?」
「はい!あの人は王子様じゃなくて、魔王様なんです!」
「へ…へー、ちょっと私には分かんないや…。」
すると、優愛の体からとても大きな光の塊が現れる。人間には見えないその光は、フワフワと店の外に出るとアルマの方へと向かい、追いつくとそのまま宝玉の中に吸い込まれていく。
【善の力を手に入れました。 種類は真の愛。】
突然の宝玉からの声にビックリしたアルマは辺りを慌てて見渡すが何もない。
「なんだ!なぜ急に『善の力』を手に入れたのだ!クソ!謎だらけだ!」
何も分からずイライラしながらまた歩き出すアルマ。
優愛の本当の気持ちを彼が知るのはまだ先のようだ。
・
・
・
ラヴィもアルマもこの世界に慣れだした頃、深夜の高層ビルの屋上に『コスモゲート』による小さな光の渦が現れる。
その中から出てきたのは『エルサンガ大陸』での用事が終わった女神だった。だが、容姿は7歳くらいの幼女の姿をしている。
「ふー!やっとあのバカ共の所に来れたわい!しかし、力を抑えると見た目が子供になるのが難点じゃのー。」
そして、ポリポリと頭を掻きながら愚痴る女神に声を掛けてくる者があった。
「やぁ!セリーナ!久しぶりだね!」
女神をセリーナと呼ぶ彼もまた幼い男児の姿をしている。
「おー!ヤオか!久しぶりじゃのー!」
ヤオと呼ばれた男児、彼はこの世界を担当している神である。セリーナとは昔から縁があり、お茶友達として時々こうやって会っている。
「すまんのーヤオよ。わしの世界の勇者と魔王を送り込んでしまって…。あやつらは真面目にやっておるか?」
「別にいいよ!セリーナのお願いだし、それはお互い様じゃないか!2人とも四苦八苦してるけど、順調に『善の力』を集めてるみたいだよ。」
「そうかそうか、それなら良かったわい。ヤオの所でしかこんな反則みたいな『善の力』の集め方はできんからのー。
まぁアルマのバカだけはボッコボコにするがの…。あやつ…何回わしを『ババア』呼ばわりしとるか…。」
「ハハハ!相変わらずセリーナは楽しそうだね!たぶんこんなに『善の力』を集めやすいのはこの世界が唯一だと思う、特にこの街がね。」
「やはり、色んな神々が来よるのか?」
「うん、ほとんど断っているけど…たまに悪神が紛れ込む…。今も1柱の悪神がいるはずなんだけど、中々尻尾を掴ませないね。」
「そうか…わしがこちらにおる間は協力するからの!」
「ありがとう!でもね、たぶんその悪神の企みの渦中にラヴィちゃんとアルマ君がいるっぽいんだよね。」
「ほー…ならば…当初の予定通り、『善の力』を集めさせてもらっておる恩をあやつらが返してくれるかのー。」
「なんだかあの2人ならなんとかしてくれそうな気がするなー!まぁでも悪神が動き出すまでもう少し時間あるみたいだし、大人しく見守ってるよ!」
「ならばわしはあやつらと会ってみるかのー。宝玉の具合も見たいしの!ではヤオ、また後でな!」
「うん、また後でね!」
ヤオとセリーナの会話に出てきた『悪神』と『人の欲望と悪意』が混ざり合い、街全体を巻き込んだ戦いが今始まろうとしている。
果たして、ラヴィとアルマは悪神と戦い、そして街を守り抜く事ができるのか!?




