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メイド勇者とホスト魔王  作者: わったん
第一章 勇者と魔王 転移編
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第12話 魔王と地雷系女子!

 開店時間を迎えたペルソナはオープンからほぼ満席という繁盛っぷりであった。様々なホストが姫を出迎えて、お酒を交わしながら楽しそうに話をしている。それを白石と共に見ていたアルマは、続々とやって来る姫の大群に戦々恐々としていた。


「これほどの数の姫がいるとは…我が転移されたこの地には星の数ほどの王国が乱立しておるのか…。しかもなんか…ちょっとガラの悪い姫が多いな…。」


「アルマさん、何を言っているのか分かりませんがあそこのテーブルのヘルプに行ってください!ペルソナNo.2の蘭さんの席です!」


「ヘルプ?なんだそれは?」


「さっきのオープン前の講習ちゃんと聞いてましたか!?ホストでは女性のお客様の事を『姫』、その姫が指名しているホストの事を『担当』と呼んでいます。その2人が楽しんでいる席で、雑務などのサポートをしつつ盛り上げてもらうのが『ヘルプ』です!分かったら行って下さい!」


「フハハハ!そんな事か!!我に任せるが良い!白石よ…伝説の始まりをしかと見届けよ…。」


 アルマが高笑いしながら自信満々にそう語る姿を見て、白石は瑠偉と同じようにアルマから何か特別なカリスマ性を感じていた。

 そして、白石はもう一つ言い忘れていた事をアルマに伝える。


「あっ!アルマさん!今から行く席の姫は『地雷系』なのでちょっと気を付けながら話して下さいね!テーブルマナーも教えた通りにお願いしますよ!」


(地雷系だと!?大地と雷の2属性を扱える姫がいるというのか!?しかも大地と雷は相反する属性だ…。それを自在に扱えるとなるととんでもない手練れであるぞ…。)


「その人は病みも凄いので…怒らせないようにして下さいね!」


(闇!?闇属性まで扱えるのか!?人間でか!?そんな者…あちらの世界でも片手の指で数えられる程しかおらんかったぞ!それを…地と雷も同時に…人間の枠を超える化け物か…!)


 『大地と雷を自在に扱える闇属性の地雷系女子』という世にも恐ろしいパワーワードを生み出したアルマは、第一級警戒態勢でその姫の席へと向かう。

 席が近付いてくると、その姫の全貌が明らかになってきた。髪型はツインテールで、髪色は右が赤色で左は黒色をしており、化粧はガッツリ濃いめで顔の数カ所に派手なピアスを付けていた。


(ふむ、あの派手な出で立ちはどこか遠い辺境の地の部族の姫といったところか。タイプではないが中々可愛いではないか。だが奴は化け物だ!騙されぬぞ!)


 そして緊張感を保ったまま、アルマは指示されたテーブルへと着いた。

 本来ヘルプはその姫と担当の対面に座るのが常識だが、アルマはうっかりその姫の隣へと座ってしまった。

 そんな状況をアルマが心配で遠くから見ていた白石は慌てふためく。


(いや!どこ座ってんのアルマさん!!ガチガチじゃん!!伝説を見届けよとか言ってたくせにガッチガチじゃん!!)


 地雷系の姫は、突然座ってきたアルマを怪訝そうな顔で見る。


「え?誰…?」


「魔王アルマでぶしゅ。」


「は?デブって言った?デブスって言った?」


 緊張で自己紹介を噛んでしまったアルマは、さっそく地雷系女子の地雷を踏んでしまう。


「なんなのこいつ!?ムカつくんだけど!!キレそうなんですけど!!」


(ハッ!?怒らせてしまったのか!?何を使ってくる!?闇か地か雷か…どれなのだ…嫌な3択を突きつけてきおる!やはり化け物級だな!)


 そんなやり取りを笑いながら見ていた蘭は、頬をプクーっと膨らませた地雷系女子の肩を抱き寄せて彼女の耳元で囁いた。


「ダーメだよ!怒っちゃ!可愛い顔が台無しじゃん。このアルマっちは今日この店に入店したばっかだから許してやってよ!もしほんとに嫌なら…俺の顔だけ見てればいいじゃん…。」


「分かったよ…蘭が言うなら…。」


 思いっきりカッコつけてクサい言葉を並べる蘭と、それにコロッとやられて頬を赤く染める女の子を見て、アルマは全身の鳥肌が止まらなかった。


(こ…こんな事を我もしなければならないのか…。ゴブリンのウ◯コよりもクサかったぞ…。)


 そして、蘭から『アルマっちはそっちね!』と指示されてヘルプ席の方へとアルマは移動した。


「アルマっちは初日だから緊張してんだよねー!だからさー何か飲ませてあげてよ!カンナちゃん!」


「うーん…じゃあさ!」


 カンナと呼ばれた地雷系女子は、楽しそうにアルマへ飲み物を指定してきた。


「テキーラのショットならいいよ!5杯ぐらい持ってきてー!」


(テキーラだと!?あの獄炎ちょ…)【ラヴィと全く同じリアクションなので割愛します。】


「いいねー!アルマっちいっちゃお!!」


 アルマは、カンナの口からテキーラと聞いて一層彼女に対し警戒を強めていると、目の前にショットグラスに入ったテキーラが並べられる。

 その1つを恐る恐る手に持ってアルマはその匂いを嗅ぐ。


「くっっっっさっっ!!!」


 ラヴィとここまで同じ行動をとるということは、やはり2人はお似合いなのかもしれない。

 そんなクシャクシャのブサイク顔になったアルマを見てカンナと蘭はケタケタと爆笑している。


「ふん!!テキーラ如き!魔王の我にかかればちょっと火を吹く小鳥のようなものだ!一瞬で飲み干してくれるわ!!」

 10分後、トイレで吐き散らかしたアルマは、店の外階段で三角座りをして遠くを見つめていた。


「もう…なんか…全部どうでもよくなったな…。」


 酒鬱状態でブツブツとアルマが呟いていると、店内に入るための扉が開いて誰かが出てきた。

 アルマはそれが白石か蘭だと思って振り返る。が、そこに居たのは標的である光星だった。

 光星はアルマの目の前まで来てその胸ぐらを掴んだ。


「おい、お前が優愛と歩いてんのを見かけたんだが一体何者なんだよ。優愛に言われて俺に復讐しにきたのか?」


「手を離せ…ゴミが…殺すぞ…。」


 アルマは、光星からの無礼な行いに怒りがマグマのように込み上げてくる。そのおかげで酔いも一瞬で冷めてしまった。

 そんなアルマの怒りと殺気を感じ取った光星は、急いで掴んでいた手を離して後ろへと飛び退いた。


「な…なんだよお前…。」


「丁度良かった…貴様の言う通り、我は貴様に用があったのだからな…。」


 そう言うとアルマはゆっくりと立ち上がり、後退あとずさりをする光星との距離をジリジリと詰める。

 光星のような素人でも分かるぐらいに一段と殺気を強めるアルマ。それを見て身の危険を感じた光星がとった行動は、アルマにスマホの画面を向けるというものだった。

 スマホが何か分からないアルマは、その未知な物を警戒して光星に近付くのを止める。


「そ!それ以上近付くんじゃねーよ!!近付くと…こいつがどうなっても知らねーぞ!!」


 すると、光星が持っていたスマホから優愛の声が聞こえた。誰かと電話が繋がっていてスピーカーフォンの状態なのだろう。


『アルマ!そこに居るの!?ごめんね…あたし…ドジ踏んじゃって捕まっちゃった…。アルマだけでも逃げて!!絶対にここに来ちゃダメ…プツッ…ツー…ツー…。』


 優愛がまだ必死に話している途中で光星は電話を切った。

 突然聞こえた優愛の声と、その声が語る『捕まってしまった』という情報に、アルマは何か考え込むかのように沈黙する。


「どうだ!?これで分かったか!?俺に手を出すと優愛がどんな目に遭うか!分かったら大人しく…」


 話している最中にある事に気付いた光星は、口を開いたまま言葉を失う。その目は大きく見開いて、体中から脂汗のようなものが滝のように流れる。そうなってしまった原因はアルマにあった。


 沈黙していたアルマの頭の中では、色々な考えが目まぐるしく駆け巡っていた。

 『スマホから流れてきた声は本当に優愛のものなのか、何故小さい板から優愛の声が聞こえたのか、本当なら優愛はどこに捕まって監禁されているのか…。』

 だがアルマは、そんな煩わしく面倒臭い考えにすぐに答えを出した。それは魔王アルマらしい傲慢な答えだった。



『我は魔王。何も難しく考えなくて良い。邪魔するものは我が力で全てねじ伏せる。』



 その答えが出た瞬間、まず抑えていた怒りを解放する。魔王への侮辱的な行動、優愛への蛮行、それら全てを怒りに変える。するとたがが外れてアルマの顔は憤怒の表情へと変化した。


 さっき光星が言葉を失ったのは、この憤怒の表情を見てしまったのが原因だったのだ。

 腰が抜けてへたり込んでしまっている光星を見下ろしながらアルマは聞く。


「死ぬか?従うか?どっちだ…?」


 憤怒の魔王からの質問に、光星はただ小便を漏らす事しかできなかった…。

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